第1回復興構想インターゼミナール
- 日時: 2011年9月24日(土)
- 名称: 第1回復興構想インターゼミナール
- 場所: 慶應義塾大学 三田キャンパス・南校舎ホール(東京都港区)
- 主催: 慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所「慶應―国連PRMEプロジェクト」
- 後援: 日本経営倫理学会・経営倫理教育研究部会
- 参加: 全国7大学7ゼミ
- 概容: 東日本を襲った3月の地震は、人びとのきずなと社会の安全・安心について、改めて考える契機となった。記録的な自然災害、センセーショナルな報道、支援・義損活動の現実を通じて、世界は惨禍をさまざまな角度から目の当たりにしている。この震災の経験は、一方で政府と地方公共団体によるこれからの政策や、企業の災害支援と事業継続のありかたに再考を促すとともに、他方で、高等教育と学術研究の今後の方向性にも少なからぬ示唆を与えるだろう。
慶應―国連PRMEプロジェクトでは、9月にインターゼミナールを開催した。共通テーマは「復興構想」。東北、北陸、関東、関西の7大学の教員・学生グループが一堂に会し、現地調査の報告や復興プランを発表した。学生グループの代表が15分間のプレゼンテーションを行ったあと、質疑と講評の機会を設けた。学会、実業界、企業ネットワークから審査委員を招き、鋭い意見をいただいた。震災に関する情報共有と意見交換は懇親会まで続いた。プレゼンテーションのより詳しい内容については、2011年度末に報告書として編集する予定である。
審査と表彰
- 発表時間 :15分間の口頭発表と5分間の質疑応答を予定しています。この時間内を審査対象とします。
- 発表方法 :MS-PowerPointなどで作成したスライドを用い、口頭でご発表ください(動画・音響の使用可)。
- 登壇者の人数:問いません。倫理的考察
審査委員
高橋 浩夫 先生 (日本経営倫理学会会長・白鴎大学教授)
手島 祥行 氏 (経営倫理実践研究センター事務局長)
宮本 武 氏 (国連グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク事務局長)
研究発表
・ゼミの指導教員、および学生代表を主たる審査員としてプレゼンテーションとポスターを評価対象とします。
- 先見的な構想力
- 分析のち密さ
- 整合性
- 倫理的考察
- 発表上の工夫
- チームワークと対応力
第1発表 関西大学社会安全学部 高野一彦ゼミ
「防災教育の重要性 ~ 学校教育再編への提言 ~-東日本大震災をふまえて-」
発表概要
災害に強いまちづくりにむけて、防災教育が鍵を握ることを指摘した。初等・中等教育に防災・減災教育を採り入れる「命を守る授業」を提案。だが防災教育の専門家が不足している現状を踏まえ、大学などの教職課程に防災教育の必修科目を置くなどカリキュラムを見直し、防災・減災のための人材育成の必要性を強調した。
第2報告 金沢工業大学情報学部 岡部幸徳ゼミ
「被災者への心的支援活動 KIT(きいて)プロジェクト ~イマイキラジオが伝える物語~」
発表概要
被災者が前向きになれる支援と震災経験の共有を図るべく、ラジオ番組の制作を企画した。被災者らのインタビューを編集して、コミュニティーラジオ「えふえむ・エヌ・ワン」(fmn1.jp/)での放送を提案。またツイッターや(twitter.com/#!/KITproject)やフェースブックなどで活動を紹介。ラジオ番組をCD-ROMやカセットテープに録音し多くの人たちに配布することも検討。さらに寄付サイトを開設することで、活動資金を得る計画を立てるなど、実現に向けた模索を続けたい。
第3発表 富士常葉大学総合経営学部 文載皓ゼミ
「福島支援プロジェクト 富士常葉大学の福島顔晴ろうプロジェクト」
発表概要
「富士のふもとの大博覧会2011」(5月21,22日開催、富士市)で福島産ジュースを販売した。当日売り場で説明パネルを設置し、福島の農家と風評被害の現状、製造工場の地図に載せるなど、情報提供に務めることで、ジュースの安全・安心をPRした。販売したジュースは、リンゴ、トマト、”さるなし”の実など計1366本。完売することができ、17万円あまりの売り上げになった。今回の活動を通じてNPOや福島県の人たちと交流する機会ができ、新聞にもとりあげられた。
第4発表 東北大学経済学部 高浦康有ゼミ
「震災復興支援案 ~東北コットンプロジェクトをモデルに~」
発表概要
(要旨) 仙台の津波と塩害を被った田畑を利用して、綿花を栽培し、3年をめどに事業化を目指すプロジェクトへの取材を試みた。綿花は比較的塩害に強く、農作物の収穫が難しくなった農地での栽培を見込めることから、紡績メーカーの呼びかけでプロジェクトが始動した。未知へのチャレンジだけに収穫量を読みにくいなど課題はあるものの、ミサンガや衣服の原料に活用する ことで、ブランド化を模索。今後、ボランティアツアーの企画や雇用創出のしくみづくりなど、東北コットンプロジェクトから地域復興への道筋を探りたい。
第5発表 立教大学文学部 河野哲也ゼミ、代理:福士侑生氏
「福島原子力発電所事故から学ぶ環境倫理学テキストの作成」
(要旨) 福島原子力発電所事故から学ぶ環境倫理学テキストの作成
人間と環境を保護することを目的として心理的・社会的に支援するためには、持続可能な政策とシチズンシップ教育が重要であることを指摘。放射能に関する正確な知識、震災被災者に対する倫理的な態度、そしてそれを実現する政治参加に向けて、環境倫理テキストの制作を提案した。テキストの利用者を大学、市民、海外へと幅広く想定し、ユネスコのウェヴサイトへの掲載やSNSの利用、電子図書化による海外配信などを通じ、これからのエネルギー政策と社会のありようについての議論を地球規模で喚起する必要性を提言した。