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社会的責任投資(年表 ・海外国内 / 文献 / 報告書
Socially Responsible Investment (SRI)



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◆ウェブサイト

ATC Green Eco Plaza

CSR Achieve Ecology Symphony 「CSRって何? 第4回 SRI指標を見る」

◆後藤 敏彦 「第6回 社会的責任投資フォーラム(SIF-Japan)」

◆Shell Report 2001 People, Planet & Profit(Shell社のSusTainability Report)   [PDF File]

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◆朝日ライフアセットマネジメント 「あすのはね」

オンブズネット・ファイナンス

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◆Quick マネーラインテレレート 佐々木 政洋(株式会社QUICK 情報本部)「マーケットの言葉 (第7回)・社会的責任投資

◆国際連合広報センター(国連on line)「世界社会開発サミットの成果実施と一層のイニシアチブに関する国際連合特別総会」(ジュネーブ、スイス、2000年6月26_30日)

住友アセットマネジメント  SRI

◆GRIガイドラインを読む会(第二回) [PDF File]

◆全日本金属産業労働組合協議会(IMF−JC)企業行動規範の取り組み

◆損保ジャパン「社会的責任投資とエコファンド」2003  [PDF File]

◆大和総研コラム 壁谷 洋和 「社会的責任投資の現状(2004.2.13)」

◆ナレッジジャングル 知っておきたい時事用語社会的責任投資

◆日本経団連1%(ワンパーセント)クラブ

◆日本総研研究所・創発戦略センター CSR情報提供サイト

◆日本能率協会 ISO・マネジメントシステム事業部 CSRの基礎知識

特定非営利活動法人パブリックリソースセンター

◆ヒューマンライツ大阪 菱山隆二「企業の取り組みが変わる」

◆部落解放・人権研究所 企業部会・学習会報告企業と人権をめぐるグローバルな動き

◆ふらっとプレス(2003/10/31号)「企業の社会的責任」

◆宮坂純一 経営倫理学への招待グローバルな倫理綱領

モーニングスター社会的責任投資株価指数(MS-SRI)

◆レアリゼ(Webマガジン) 渡辺さりな「SRI(社会責任投資)

 


【論】

◆Lowry, R P. (1991). Good Money: A Guide to Profitable Social Inversting in the '90. W W Norton & Co Inc. (= 1992 平野秀秋 訳 『グッド・マネー――資本主義は倫理的でありうるか』 晶文社)


1 お金をニュー・ファッションにする
2 金融エキスパート 対 社会に責任を持つ投資(SRI)
3 社会的投資の目的
4 責任ある企業の定義
5 SRIを実行するには
6 億万長者になる必要はない
7 だれの時代かを考える
8 国際的SRI
9 九十年代以降に向けて

プロローグ
 

(東洋の昔話より)ある男が、生きているうちに天国と地獄の両方を見学することを許された。かれはまず地獄を見ることをえらんだ。行ってみると、おどろいたことに、大勢のひとが宴会に集まっていた。みんな長いテーブルについて、想像もつかない珍味を前にしていた。それなのに、大勢が大声で泣き叫んだり嘆いたりしており、全員が飢え死にしそうな様子であった。その光景を見ると、テーブルについている全員の食器は柄があまりにも長すぎて、食べ物を口に入れることができないのだった。重い心で男は地獄を離れて天国に向かった。ところがかれはそこでも同じ光景を目撃した。ご馳走がいっぱいのテーブルに、長すぎる柄の食器が置かれていた。ところが、ここでは人々は楽しそうに談笑していた。彼らは自分の口に食べ物を運ぶ代わりに、みんなでおたがいに食べさせあっていた(p14 )。

 1 お金をニュー・ファッションにする

ベトナム戦争中に、投資とビジネスに関する意志決定を社会的意思決定から隔離するわけにはいかないと感じる投資家やビジネスマンがSRI運動を始めた(18)。米国企業に対して南アフリカから手を引けと要求するのは、企業の経営者や従業員を攻撃しているわけではなく、企業が人種差別と抑圧政策を行う政府に協力しないことを要求している。

 2 金融エキスパート 対 社会に責任をもつ投資(SRI)

SRIは企業の政策や活動を変えさせ、またおそらくそれ以上に重要なこととして、経済という資源を主要な社会活動の創造的解決のために利用する必要について、市民の関心を養うことができる(P.41)。

市場効用理論には根本に欠陥がある。それは市場とは合理的なプロセスだと仮定している。すなわち、すべての投資家が同じ種類の情報を用いて同じように思慮深い意志決定をすると仮定する。現実が教えるものはこの過程と非常に異なるものである。全部とはいわないまでもほとんどの投資家や投資のプロは、部分的で偏見のある情報と誤った理論をもとに拙劣な決定をする。そのうえ、好成績を収めたいというプレッシャーは投資に当たって群集心理と呼ばれる行動をとらせることになる(45-6)。

群集心理には遠い歴史的な前例がある。賢人の原則と呼ばれる観念は、19世紀にマサチューセッツ州最高裁が、金銭を運用するものが他の賢い人々すべてがやっていることをやって、その結果を思慮に欠けていたと訴えられることはない、という判決を下したときまでさかのぼる。そのときから、ほとんどの投資信託業者やファンド・マネージャーはこの原則を自分の投資行動を正当化する口実として常に利用してきた。単純に他の業者がやっている行動を真似し、他者がやっていることをやってさえいれば、経営責任を追求されることはないのである(46-7)

少なくとも、投資のさいに社会的選択をおこなえば経済的報酬を放棄することになるなどという理由も必然性もないことをはっきり知ることができる(P58)。

SRIが1987年の株価暴落ににもかかわらず、SRIの被害が少なかったことについて、ジョセフ・キーナンは、「SRIが非常に慎重であり、これらの資金が選好する小規模企業の投機的でない株式は売りに出る傾向が少ないので、乱調な市況の中で変動しにくいのだ」と述べる(64)

SRI投資家が伝統的な投資家と違って激しい会市場の投機熱にほとんど振り回されることがないことを示している。(・・・)社会的投資家は短期の利食いを慎み、長期に安定した利得を追求し、社会が切実に必要とする商品・サービスを提供sるうき業を支援する。これまでの投資業界と業界紙が理解できなかったのは、まさにSRIのこのような経済的保守主義なのである(65)。

3 社会的投資の目標
  SRIの目標…経済の民主化 

1 女性と少数民族の雇用を促進し、維持し保護すること、および米国の企業社会における勤労者の持ち分を増やすことである。SRIは産業の進歩に対して職場で支払われた人間的価値を認識しつつ、労働環境の人間化を促進しようとする(67)。

民主主義と平等という価値に重きを置いているにもかかわらず、現在経済は人間の暮らす場所のなかでいちばん民主的でなく、いちばん平等でない場所になった。経済から追い出される市民の数が増え続け、大きな社会問題の解決に必要な富がほとんど得られなくなる(68)。

2 職場の人間化 そのための方策のなかには、伝統的な流れ作業にたいする代替案の模索、清潔で安全で価値ある労働環境創出を促進すること、も含まれる(67)。

企業は従業員の生活を向上させながら同時に生産性(したがって収益)を向上させることができる。職場の人間化という問題は、たんに職場の健康条件と安全性という問題にとどまらない複雑さを持っている。得に心理的要因が決め手になる。ほとんどの職場は従業員に積極的参加でなく受け身の対応を要求する。このことが欠勤率を高め、生産性を落とし、作業能率を低くし、それがまた収益を引き下げ、室の悪い或いは危険な製品・サービスを生み出し、その結果労働生活全体の質を堕落させる(77)。

職場の民主化と仁原価をおこなう運動のひとつは、労働参加或いは従業員参加と呼ばれる。これは経営者と従業員の双方が共同の意思決定に達するためにチームとなって働くことを意味する。

3利潤が使用され分配されてきた伝統的方法を考え直す(68)。

4ビジネス社会に対して企業の両親は経済的にも得になることを確信させる(68)。

セクシズムや人種主義は、功利主義的観点から見ると人的資源の浪費であり、米国企業にはそのような浪費を許容する余裕はない。

 4 責任ある企業の定義

SRIが無責任だといい、その理由として次のような例を挙げている「セメント産業は最も汚染の多いものだ。ではアナタは、セメントがなくなれべきだというのだろうか。道路もビルもいらないというのだろうか」。このような態度が紋dないなのは、それが本当に重要な次の質問を回避してしまうからである。セメント産業には汚染が避けられないのだろうか。それとも汚染はコントロールできるのだろうか。汚染の制御に限界があるとすれば、環境への損害が少ないところ立地させることはできるだろうか。将来セメントに変わる素材を開発、創造することが可能だろうか。(96-7)。

社会的な意志決定を行うにあたっても、投資するときの留意点は経済的に成功することだということを決して忘れてはならない。二つが一致することについて肯定的な証拠が次第に増えている。社会問題に関して「真剣に努力する」企業は、無責任あるいは無関心な企業よりも、長期的にはるかに好成績である。(104)

倫理的、社会的な関心を持つ投資家の関心は伝統的な基礎指標主義者の主流と一致しているという事実である。その意味で彼らは金融面の要因を排除しているのではなく、むしろそれと同じくらい大きな別の基礎指標を重視しているのである。それとともに、会社の基礎指標の特徴はその企業の経済的成功と投資家への報酬とに大変関係が深いこともわかる。(127)

SRIの評価軸

@all or nothing 南アにおけるビジネスに従事する全企業を投資から除外すべきか。

A相対許容水準 年間収入の5%以上南アでのビジネスから得る企業を排除すべきか。また製品・サービスのタイプを考慮すべきか。

B産業内ベスト 南アでビジネスをしているが、雇用、訓練、マイノリティの昇進、反アパルトヘイトでよい記録を持つ企業に投資すべきか。

C一次対二次的 多角経営のコンゴロマリットで南アで活動する子会社を持つ可能性がある企業に投資すべきか否か。

D現実対可能性 アパルトヘイト等への関与は不可避だからと言う理由で南アでビジネスをしているが、よい記録を持つ企業を投資対象から排除すべきか否か。(133)

汚染は明らかに社会的コストであるが、その社会的コストには経済的コストも付随しているはずである。従業員の健康状態が悪ければ生産性も悪く、コミュニティーは環境を汚染する企業を歓迎しないはずだ。こうして、汚染防止に金を使うことは、顧客、消費者に幸福を与え、売上を増やし、利潤を高める。言いかえれば、経済行動に倫理的・社会的判断を導入することは、問題を複雑にしたり経済的決定を疎外しないばかりでなく、より良い経済的決定をも可能にするのである。

 6 億万長者になる必要はない

投資のプロセスで社会的判断をおこなうには健全な経済的判断が伴っていなければならない。企業が社会的責任を自覚した行動をするだけで、経営的成功が保証されるものではない。しかし同時に、企業が社会的責任を自覚した行動をとると必ず経済的に破綻するという保証はどこにもない。

ファンドの購入を検討している投資家は、ファンドが社会的スクリーンを持っていると否とにかかわらず、いくつかのことを考慮する必要がある。小さな投資家はファンドを長期利益のために利用すべきであって、短期利益を安直に得るために利用すべきではない。短期利益を目標と宣伝したり口約束したりするファンドには注意したほうがよい。ファンドは資金を長期に渡って保存し将来の必要に供える目的で、投機ではなく保守を目的として利用すべきである。(165)

ファンドはにわか成金になる道ではない。だがあなたが社会的スクリーンを持つファンドに投資しても、在来ファンドに投資するのとほとんど同程度の-あるいはややそれより良好な-成果を上げることができるだろう.(166)

 7 だれの時代かを考える

8 国際的SRI

投資に倫理的制約を課しても、全体としてはポートフォリオと他のスクリーンのない投資とのあいだに何ら優位の差が生じないということになる。成績の善し悪しを左右する最も大きな要素はファンド・マネージャーの手腕であり、社会的判断の有無ではなかった。(201)

社会に責任を持つ投資と社会に責任を持つ消費とは大きな変化をもたらす力を持っている。世界の抱える社会問題が大きすぎて手におえないとぜつぼうしているひとは、「来世は別の時代にでもなれ」という古い中国の呪いの言葉を呟いて慰めとするしかない。しかし経済行動に根本的な変化をもたらすには時が足りないと絶望するひとは、ドイツの哲学者アルトゥール・ショーペンハウアーのつぎのことばを思い出すほうが善よいだろう。「あらゆる真理の啓示には三つの段階がある。はじめはバカにされる。つぎには抵抗される。三度目には自明のことになる」。SRIの経済的及び社会的有用さにたいする公衆の認識が、急速に第三の段階に進んでいるという信念に対して、本書を献げる。(254)


◆水口剛 國辺克彦 柴田武男 後藤俊彦 1998 『ソーシャルインベストメントとは何か』 日本経済評論社


序章 投資は社会を変える
第一章 社会と関わる投資の専門家 多彩なアメリカの現状
第二章 行動するソーシャル・インベスター 「社会」と「投資」の理念をめぐって
第三章 ソーシャル・スクリーンの実際とその効果
第四章 社会的な株主行動
第五章 日本での可能性と課題
第六章 ソーシャルインベストメントとの現代的意義

 利息の高ばかりでなく、預けた先のお金の使われ方にも思いを致すべきではないのか(p.1)。

 一つは利子や配当という形で、直接、金銭的な見返りにつながるという側面。もう一つは、その資金が何らかの事業に投下され、その事業が結果的に自分や自分の子供たちに跳ね返ってきたり、自分の価値観や倫理観と相容れない事業に関わってしまいかねないという側面である。(p.8)

 たとえばフランクリンは、消費者グループや学生グループから情報を得て、それをソーシャルスクリーンや株主行動に反映させることができる。逆にフランクリンが独自の調査から得た情報を消費者や学生のグループに提供する。そして消費者や学生グループがボイコットのキャンペーンをするときには、フランクリン自身は参加しなくとも、その問題を株主総会の場で取り上げることができる。もしキャンペーンが実際に収益源を招いたり、企業イメージを損なっていたりすれば、そのようなボイコット運動を招来した経営判断の是非が問われることになろう。(p.46)

 だがここではむしろ第二の点に注目したい。この第二の点が意味するのは、銀行に預金し、あるいは株式投資をすることで銀行や企業に資金を提供し、そこから利子や配当を受け取る者は、投資家としてその銀行や企業の活動に責任があるという考え方である。言い換えればそれは、企業に何か社会的な問題がある場合、投資家はいわば共同責任者ではないのか、という認識である。(p.64)

 管理のコストは金額ではなく、融資の件数に左右されるから、効率だけ考えれば、小口の融資をたくさんするよりは、小額の大口融資のほうがよいにきまっている。だから逆に、小口の融資に特化したいわゆるサラ金は高い金利をとってそれを行うのだが、コミュニティ・キャピタル・バンクの場合は、小口だからといって金利を高くしたのでは使命に反する。低金利で小口にも応じるのが彼らの特徴である。(p.85)

 企業倫理に関しては、これまで一般に、経営者の問題と考えられてきた。不祥事が起こると企業経営者の責任が追及されるが、その責任の一端が株主にまで遡及されることは、親子会社関係のような場合を除いてはあまり例をみない。むしろ、企業責任を追及する市民やマスコミも、自らは企業活動の外側に身をおいて、いわば外在的な批判を繰り返す傾向が強かった。これに対して、ソーシャル・インベスターが提起する問題は、企業倫理の担い手が決して経営者だけではなく、投資家もその一翼をになっていることを示している。経営者によては、社会的な株主提案に対しては企業経営に対する不当な干渉として強く反発することも珍しくないが、むしろ企業倫理に対する一つの指針として株主提案を受け止めるならば、ソーシャル・インベスターへの対応も自ずと異なるものとなろう。(p.239-40)


 

◇UP:050222,REV:060412,060525,070526




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