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企業倫理の制度
(イニシアティブ・第三者評価・説明責任…)
Institutions of Business Ethics
Initiative, Certification, Accountability, and so on・・・

文献 / 年表 / 資料 

 

文献

AccountAbility Promoting Accountability: Innovations for Sustainable Development
AA1000 Accountability Principles Standard 2008 (PDF)/『日本語翻訳版(PDF)』
AA1000 Assurance Standard 2008PDF)/『日本語翻訳版(PDF)』
AA1000 Stakeholder Engagement Standard. Exposure Draft (PDF)/『日本語翻訳版(PDF)』
The Stakeholder Engagement Manual (PDF(Vol.1)PDF(Vol.2)) / 『実務者のためのステークホルダーエンゲージメント・ハンドブック(日本語翻訳版)(PDF(第2巻))』
The Materiality Report: Aligning Strategy, Performance and Reporting (PDF) / 『日本語翻訳版(PDF)』

◆出見世信之 (2002) 「企業倫理の制度化」, 『明大商學論叢』, 84(3):441-455

◆Jennifer A. Zerk (2006). Multinationals and Corporate Social Responsibility: Limitations and Opportunities in International Law (Cambridge Studies in International and Comparative Law), Cambridge University Press.

◆国際労働機関(International Labour Organiztion: ILO)・駐日事務所

◆宮坂純一 (since 1998)「経営倫理学の招待グローバルな倫理綱領

日本ILO協会

◆the International Organization for Standardization: ISO(国際標準化機構) "Social Responsibility (ISO 26000)" ISO/SR 国内委員会

◆特定非営利活動法人(NPO法人)「サスティナビリティ日本フォーラム

◆梅津光弘 (2005) 「改正連邦量刑ガイドラインとその背景――企業倫理の制度化との関係から」, 『三田商学研究』, 48(1):147-158

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年表


1947 国際標準化機構(International Organization for Standardization:ISO)設立。

1974 国連が経済社会理事会のもとに多国籍企業センター(Centre on Transnational Corporation)と多国籍企業委員会(Commission on Transnational Corporation)を設置する。多国籍企業の行動綱領を策定する作業を政府間で開始する。

1976 OECD 多国籍企業行動指針

1977 The Sullivan Principles(サリバン原則:南アフリカ共和国に、提携案系会社(企業)、系列会社、関連会社、子会社、支部等々を有し事業を展開しているアメリカ企業によって声明された諸原則)発表。レオン・サリバンが、南アフリカのアパルトヘイトに対する黒人への待遇とアメリカ企業の事業展開を問題視し提唱した倫理綱領(江橋 編, 2009, p.93)

1977 ILO理事会で、"Tripartite Declaration of Principles Concerning Multinational Enterprises and Social Policy" (ILO・多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言)が採択される(2000年に第4版に改訂される)。雇用、訓練、労使関係に関する指針で、企業、労働者、政府の三者が合意した多国籍企業の社会政策に関する任意的な指針。59項目からなる宣言。(江橋 編, 2009, p.96)

1977  Grobal Reporting Initiative: GRI。セリーズ(Coalition for Environmentally Responsible Economics: CERES)と、国際連合開発計画United Nations Development Programme: UNDP)の協力で設立される(江橋 編, 2009, p.96)。

1983 国連多国籍企業委員会が、「国連多国籍企業行動綱領草案(The draft United Nations Code of Conduct on Transnational Corporations )」を公表。1990年に改定版を公表(PDFファイル)。→行動綱領採択の交渉で難航する。多国籍企業と先進国とその他の政府との利害対立が解消されず。(江橋 編, 2009, p.100)

1993 国連の財政難と構造改革によって、多国籍企業センター廃止。多国籍企業は国連貿易開発会議(United Nations Conference on Trade and Development: UNCTAD)の国際投資・多国籍企業委員会となる(江橋 編, 2009, p.100)

1994 Caux Round Table, CRTコー円卓会議・ビジネスに関する原則)公表。オランダ・フィリップ社のフィリップス元会長の呼びかけで、1986年に欧米のビジネスリーダーが集まって組織される。(江橋 編, 2009, pp.93-94)

1995 国連 国連・世界社会開発サミット(コペンハーゲン)開催。貧困の克服、雇用状況の改善、社会的排除の克服を通じて社会的統合の実現を目指す社会開発戦略の確立を確認(江橋 編, 2009, p.82)

1994 経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD・(外務省サイト) ) 理事会決議。外国公務員に対する賄賂を加盟国内の法律で規制することを勧告。(功刀・野村 編, 2008, p.174)

1994 ILOの「児童労働撤廃国際計画」(International Programme on the Elimination of Child Labour: IPEC)が、経済優先度評議会に企業の児童労働問題に関する調査を委託する。→1997年、SA8000策定の契機となる。(功刀・野村 編, 2008, p.248)

1994 経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD・(外務省サイト) ) 理事会決議。賄賂の支払いへの税控除の廃止を求める。(功刀・野村 編, 2008, p.174)

1996 WTO第一回閣僚委員会で、労働問題に関してはILOが専門的に取り扱うことを確認する。(江橋 編, 2009, p.82)

1996 国連総会採択(12月16日)。国際商取引における腐敗および贈収賄に反対する国際連合宣言。公務員のための国際的行動規範(International Code of Conduct for Public Officials)を採択。(功刀・野村 編, 2008, p.174)

1996 米州機構が米州腐敗防止条約採択。外国公民への賄賂、国内の国務院に化かwる贈収賄、不正蓄財について犯罪化することを締結国に義務付ける国際的文書。(功刀・野村 編, 2008, p.175)

1996 公正労働協会(The Fair Labor Association: FLA)が、衣服・衣料産業と靴産業の労働者の人権と労働環境の改善を目的として設立される。FLA職場での行動規範(FLA's Workplace Code of Conduct) )作成。強制労働の禁止、児童就労の禁止、ハラスメント・虐待の禁止、差別の禁止、安全と健康、結社の自由と団体交渉の権利、報酬と手当、労働時間、残業手当など(功刀・野村 編, 2008, p.252)

1996 アンダーソンが、援助と紛争の相関関係を論じるうえで用いた危害禁止の概念(Do No Harm)を契機として、国際的な援助者関係のあいだで広く共有されるようになる。(功刀・野村 編, 2008, p.59)(Mary B. Anderson. (1999). Do no harm: how aid can support peace or war. Boulder, Colo. : Lynne Rienner Publishers. = 2006 大平剛 訳 『諸刃の援助――紛争地での援助の二面性(明石ライブラリー93)』, 明石書店)

1997 SA8000(社会的説明責任(Social Accountability)の規格)発表。経済優先度調査会(Council on Economic Priorities Accreditation Agency: CEPAA)を中心にコンサルティング会社、監査法人、人権団体、労働組合、大学、小売業者、製造業者などの代表が策定した労働環境に関する国際規格。CEPAAは、2000年にSocial Accountability International: SAIに改称したNGO(非政府組織)。(江橋 編, 2009, pp.93-94)

1997 経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD・(外務省サイト) ) 理事会採択。国際商取引における外国公務員に対する賄賂防止に関する条約(外国公民賄賂禁止条約)。(功刀・野村 編, 2008, p.174)

1997Social Accountability International:SAI)が、労働に関する説明責任規格(Social Accountability 8000(SA8000))策定。2001年に第1回改訂。2008年に改訂。(功刀・野村 編, 2008, p.174)

1997 欧州連合理事会採択。欧州共同体の職員または欧州連合加盟国の公務員に関わる腐敗の防止に関する条約。(功刀・野村 編, 2008, p.175)

1997 Global Reporting Initiative(GRI)がボストンで設立される。環境報告書について、全世界で通用する報告のためのガイドラインの立案を目的とする。米国でセリーズ原則を策定したCERES国連環境計画United Nations Environment Programme: UNEP)が中心となって設立する(功刀・野村 編, 2008, p.193)

1998 ILO ILO総会で、「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」とフォローアップを採択する(江橋 編, 2009, p.82, 97)。「結社の自由及び団体交渉権」「強制労働」「児童労働」「職業・雇用上の差別」の4分野の8条約は、ILO加盟国は条約を批准していなくとも尊重、促進、実現する義務を負う(功刀・野村編, 2008, p.145)

1998 倫理貿易イニシアチブ(Ethical Trading Initiative: ETI)設立(イギリス)。流通事業の労働環境や人権を改善することを目的とする。強制労働の禁止、結社の自由と団体交渉権、安全と衛生、児童労働の禁止、基本的な生活を満たす報酬、適正な労働時間、差別の禁止、常用雇用の提供、非人道的な扱いの禁止。(功刀・野村 編, 2008, p.252)

1998 Global Reporting Initiative(GRI)が、環境報告書の基準作りから、持続可能性報告書ガイドライン(Sustainablity Reporting Guidelines)の作成へと活動方針を転換させる。1999年3月にガイドライン草案発表。2000年6月に第1版を発表。2002年に第2版、2006年に第3班を策定(功刀・野村編, 2008, p.193)

1998 クリーン・クローズ・キャンペーン(Clean Clothes Campaign)。ヨーロッパ11カ国を拠点に置き、衣服産業とスポーツウェア産業における労働環境の改善を目的として設立される。(功刀・野村 編, 2008, p.252)

1999 Global Reporting Initiative(GRI)が、トロントの運営委員会会議で常設機関化を決定。2002年に常設機関としてGRIが発足する。(功刀・野村編, 2008, p.194)

1999 The Global Sullivan Principles(グローバルサリバン原則。1977年に制定したサリバン原則の汎用性を高めるべく、再制定された企業倫理原則(江橋 編, 2009, p.95)

1999 ILO事務局長ソマビアが、「ディーセント・ワーク(Decent Work)」(働きがいのある人間らしい仕事)の実現を提唱する。適切な水準の社会保障及び賃金・労働条件が確保された社会的意義のある生産的労働。→2007年、ドイツ・ハイリンゲンダムG8サミットの首脳宣言で言及される。(江橋 編, 2009, p.83: 功刀・野村編 2008, p.144)

1999 国連 世界経済フォーラム(スイス・ダホス会議、1月31日)において、コフィー・アナン事務総長が、国連グローバルコンパクトを提唱する。労働、人権、環境に関する9原則を尊重する企業登録・承認を通じて、公正なグローバル化の実現を目指す。(江橋 編, 2009, p.83)

1999 欧州評議会採択。腐敗に関する刑事法条約(1月)。腐敗に関する民事法条約(11月)。(功刀・野村 編, 2008, p.175)

1999 国連 アナン事務総長の上席顧問、ジョンラギーが、「持続可能な開発のための世界経済会議」(WBCSD)の招待のため来日する際に、日本で初めてグローバルコンパクトに関する説明を行う。(江橋 編, 2009, p.139)。

2000 国連 ミレニアムサミット。国連ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)設定。2015年までの実現目標。国連広報による説明。外務省による説明。国連開発計画(UNDP)東京事務所による説明

2000 国連グローバルコンパクト発足(ニューヨーク国連本部、7月26日)。

2000 経済協力開発機構OECD。外務省による解説。) 「多国籍企業行動指針」を改訂。外務省による仮訳解説1解説2

2000 Global Reporting Initiative(GRI) ガイドライン策定(PDF バージョン3.0  2000-2006)。(日本語サイト。cf.サスティナビリティ日本フォーラムサイト

2001 国際標準化機構(International Organization for Standardization:ISO)理事会が、企業の社会的責任(CSR)規格作成の検討を消費者政策委員会(Committee on consumer policy: COPOLCO)に要請する(功刀・野村編 2008, p.123)。

2001 国際標準化機構(International Organization for Standardization:ISO)が、高等諮問委員会(ISO Strategic Advisory Group:SAG)を設けて、規格化への検討をより深める(功刀・野村編 2008, p.123)。

2001 ILOが感染予防と差別の保護を目的として、「HIV/エイズ年ごとの世界に関する行動規範」を策定(功刀・野村編 2008, p.146)。

2002 GRI日本フォーラムがNPOとして発足(11月)。2007年にサスティナビリティ日本フォーラムに名称変更(功刀・野村編 2008, p.206)。

2002 ILO「グローバル化の社会的側面に関する世界委員会」設置(江橋 編, 2009, p.85)。→2004年に報告書作成。

2003 アフリカ連合採択。腐敗の防止及び腐敗との戦いに関するアフリカ連合条約(2005年9月発効)。(功刀・野村 編, 2008, p.176)

2003 国連「人権の促進及び保護に関する小委員会」(人権小委員会)が、「人権に関する多国籍企業およびその他の企業の責任についての規範」(Norms on the responsibilities of transnational corporations and other business enterprises with regard to human rights)を採択する(江橋 編, 2009, p.101)。(邦訳は 川本紀美子 訳 「資料1 人権に関する多国籍企業およびその他の企業の責任についての規範」,アジア・太平洋人権情報センター 編 (2004) 『アジア・太平洋人権レビュー2004――企業の社会的責任と人権』,現代人文社を参照のこと)

2003 日本政府、国連腐敗防止条約に署名。2006年6月に国会で批准承認案可決。だが2008年現在で批准はしていない。理由は、国内法の概念にはない共謀罪を導入することによる。詳しくは(功刀・野村 編, 2008, p.176)参照。

2003 キンバリー・プロセス認証制度(The Kimberley Process: KPCS)発足。紛争ダイヤモンドのとr引きを防ぐため、ダイヤモンドの原石についてフン祖に関わっていないことを証明する国際認証制度。産出国の政府、企業、NGO団体が2000年5月に南アフリカのキンバリーで会議を開き、検討を開始(キンバリープロセス)。日本でもこの制度を導入し、ダイヤモンド原石を輸入するためには輸出国政府の発行するキンバリー・プロセス証明書(紛争ダイヤモンドではないという証明書)の添付を必要と定めた。また日本からダイヤモンドを輸出するためには、経済産業省の輸出承認所とキンバリープロセス証明書および容器の封印が必要とされる(江橋 編, 2009, pp.103-104)。

cf. 経済産業省・キンバリー・プロセス証明制度導入について(2002年12月27日 PDFファイル
植松和彦 (2006) 「国際研究会報告――採取産業透明性イニシアティブ(EITI)の最近の動向」, 『金属資源レポート』, 36(2):346-348. (PDFファイル)
植松和彦 (2006) 「採取産業透明性イニシアティブ(EITI)の概要」, 『金属資源レポート』, 36(4):99-102. (PDFファイル)
採取産業透明性イニシアティブ(Extractive Industries Transparency Initiative : EITI

2003 グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク発足(10月) (江橋 編, 2009, p.147)。

2004 ILO ILO総会で事務局長が「公正なグローバル化とILOの役割」を報告する(江橋 編, 2009, p.85)。

2004 アナン国連事務総長来日。日本経済団体連合会主催の朝食会に出席し、グローバルコンパクトへの積極的な参加を訴える。(江橋 編, 2009, p.141)。

2004 国連グローバルコンパクトに第10番目の原則「腐敗の防止」(UN Global Compact principle against corruption)が掲げられる。

2005 国連 国連人権委員会が69決議において、人権と多国籍企業および、その他の企業の課題に関する検討を、国連事務総長特別代表に要請する(江橋 編, 2009, p.19)。→2008

2005 中国企業連合会グローバル・コンパクト推進オフィス(CEC−CEPO)設置。Memorabilia of Promotion of Global Compact by CEC(江橋 編, 2009, p.149)。

2005 国連 グローバルコンパクト事務所・人権高等弁務官事務所が"Human Rights: It is your Business"を公表(江橋 編, 2009, p.5)。

2005 国連 グローバルコンパクト事務所が第10番目の原則として腐敗の防止を加える。また、報告手続き(Communication on Progress: CoP)を導入。従来、グローバルコンパクト9原則のうち、いずれかの原則について報告を求めていたのに対し、COPではすべての原則に関する実践報告を求める(功刀・野村編 2008, p.185)

2006 国連 Business Leaders Initiative on Human Rightsとの共同で、"A Guide for Integrating Human Rights into Business Management"を公表。→2007 簡略化したポスター"A Human Rights Management Framework"公表。(江橋 編, 2009, p.5)。

2006 川崎市が国連グローバルコンパクトに加盟する。国連グローバルコンパクト庁内推進会議要綱PDFファイル

2006 国連 国連事務総長のイニシアチブとして、責任ある投資原則Principle for Responsible Investment)制定。国連環境計画・金融イニシアチブUNEP−FI)と、グローバルコンパクトが共同で策定する。4月、ニューヨーク証券取引所で公表される(江橋編 ,2008 ,p.27: 江橋 編, 2009, p.8, 115, 144 )。

2006 国連GC事務所と国連アジア太平洋経済社会委員会(The United Nations Economic and Social Commission for Asia and the Pacific: ESCAP)との共催でGCネットワーク・フォーカルポイント地域会議(アジア)を開催(バンコク)(江橋 編, 2009, p.144)。

2006 ILOアジア地域会議「ディーセントワーク実現のアジアの10年」決議(江橋 編, 2009, p.86)。

2006 The Association to Advance Collegiate Schools of Business(AACSB)が、報告書『価値の世界――ビジネス、ビジネススクール、そして平和』(A World of Good: Business, Business School, and Peace)刊行(PDF in English)。(功刀・野村 編, 2008, p.24)。

2006 Global Reporting Initiative: GRI日本語 版)が、持続可能性報告書ガイドライン(Sustainability Reporting Guidelines)を作成する。(江橋 編, 2009, p.96)

2007 法政大学現代法研究所に国連グローバルコンパクト研究センター設立。

2007 責任ある経営者教育プログラム(Principle for Responsible Management Education: PRME)採択・発足。

2007 国連グローバル・コンパクト・リーダーズ・サミット開催(The Global Compact Leaders Summit. Facing Realites: Getting Down to Business)。責任あるビジネス実践に関する 宣言ジュネーブ宣言)を採択。(ジュネーブ・7月5-6日)。

2008 国連 国連人権委員会が69決議を受けて、国連事務総長特別代表のジョン・ラギー(John Ruggie)が、「保護、尊重および救済――ビジネスと人権のための枠組み」報告書を作成する(江橋 編, 2009, p.19)。

2008Social Accountability International:SAI)が、労働に関する説明責任規格(Social Accountability 8000(SA8000))を改訂。あらたサステナビリティが、日本語訳(pdf)公表

2008 国連経済社会理事会ハイレベル会合の合意において、ILOの主張が取り入れられる。「完全で生産的な雇用、及び女性と若者を含むすべての人へのディーセントワーク」を、ミレニアム開発目標の達成に向けた努力の一環として決意する。関連する国内及び国際の政策並びに貧困削減戦略を含む国の開発戦略の中心的な目的にすることを働きかける。(功刀・野村編 2008, p.144)

2008 慶應義塾大学 グローバルセキュリティー研究所G−SEC)に、慶應―国連グローバルコンパクトプロジェクト発足。

2008 グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワークの推進体制を経営トップ主導型のネットワーク新体制に再編(江橋 編, 2009, p.147)。

2008 CSRフォーラム(韓国京畿道水原市)(江橋 編, 2009, p.2)。

2008 インドネシア CSRアジアフォーラム2008(ジャカルタ)(江橋 編, 2009, p.2)。

2008 ILO ILO総会で、公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言、グローバル化の状況におけるILOの目的達成に向けた加盟国の取り組みを支援するためのILOの機能強化に関する決議が採択される(江橋 編, 2009, p.89)。

2010 国連グローバル・コンパクト、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク、東京大学、敬愛大学が、「途上国の発展と企業の成長をめざして〜MDGs、BOPビジネスの視点から〜」開催(4月26日) 。(案内 PFDファイル)。

 

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資料

・サリバン原則(1977年)
原則T 食堂、娯楽施設、作業施設において人種差別をしないこと。
原則U すべての従業員を平等にかつ公平に処遇する。
原則V 等しい仕事あるいは同等の仕事を同一の時間でおこなっているすべての従業員に対して同額の支払をすること。
原則W かなりの数のブラックやその他の有色人種が監督職・管理職・クラ−ク職・技術職に就けるように職業訓練プログラムを開始し発達させること。
原則X 管理職や監督職に就くブラックやその他の有色人種の人数を増やすこと。
原則Y 住宅、交通、教育、レクレ−ション、健康施設、のような労働環境以外の従業員の生活の質を改善すること。
原則Z 社会的、経済的そして政治的正義の実現を妨げているような法律及び習慣を撤廃するように努めること。

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◆功刀達朗・野村彰男 (2008) 『社会的責任の時代――企業・市民社会・国連のシナジー』, 東信堂
序章 グローバル公共政策の戦略とリーダーシップ
第1部 協働的人間の安全保障
 1章 平和構築への企業貢献 佐藤安信・水田愼一
 2章 軍縮の担い手としての市民社会 川崎哲
 3章 国連平和活動へのビジネスの参画 上杉勇司

第2部 広がる社会的責任の裾野
 4章 格差と環境危機が求める経営革新 フレデリック・ドュビー
 5章 日本企業の伝統とGC の普遍的原則 有馬利男
 6章 金融が仲介する官民パートナーシップ 末吉竹二郎
 7章 ISO26000(社会的責任規格)策定とその意義 関正雄

第3部 官と民のシナジーを促進する国連システム
 8章 ディーセント・ワークの実現を目指すILO 長谷川真一
 9章 「ポスト京都」の情勢変化と企業の温暖化戦略 鈴木政史・蟹江憲史
 10章 腐敗防止の国際的潮流 梅田徹

第4部 民間組織のイニシアチブ
 11章 GRIガイドラインの方向性 後藤敏彦
 12章 変わる投資判断と企業の姿勢 河口真理子
 13章 気候変動と企業行動 鮎川ゆりか
 14章 労働・人権分野の NGOイニシアチブ 黒田かをり

終章 展望―グローバル市民社会の創造と協働 野村彰男
資料編

 「国際的な援助が、暴力を伴う紛争状況下にもたらされると、援助はその状況の一部となってしまい、そのために紛争の一部ともなる」といった認識の下、援助を受ける社会に害をもたらさず、適切な援助を行うための具体的な方策を、これまでの経験から導きだしたのが、Do-No-Harmの行動指針である。指針では、人々を分断し戦争へと向かう力と、人々をつなぎとめ平和時へと向かう力を見極めて援助を計画・実施・監視すべきであるとする。援助物資が略奪され、戦争継続のための資金繰りに利用されることがよくあるが、それで援助そのものを停止するのではなく、略奪されない工夫を試みるといった点がDo-No-Harmの行動指針の特徴といえる(3章 p.58)

 紛争予防配慮に関しては、Do-No-Harm行動指針がもっとも適切ではないだろうか。紛争地で取引をする企業の社会的責任つぉいて、慈善活動や地域貢献活動をするのではなく、Do-No-Harm行動指針に則した企業活動をおこなうことが、企業の最低限の役割であると位置づけていくことが大切である。さらに、Do-No-Harm行動指針に基づく企業活動は、違法取引を行う企業だけでなく、合法的に経済活動を展開する企業にも適用しなくてはならない。Do-No-Harm(3章 p.60)

日本のCSRの課題
@CSRを経営者の倫理観や義務感で捉える傾向が強く、経済行為としての位置付けが弱い。そのため景気や業績が悪化すると、簡単に活動が低下する。”しぶとい””サスティナブルな”CSRにならない。
A視点が企業のなかから外を見ているため企業の内輪の価値の範囲での>95>CSRになる。そのため、本当の社会のニーズに根差し、社会システムを巻き込んだ大きなスケールのCSRにならない。(第5章 p.95-96)

 実は、お客様の省エネを実現するには、古い商品を新しい技術を盛り込んだ商品に入れ替える必要がある。その際にリプレースされた旧機は、そのまま何もしなければ無駄なごみになってしまう。富士ゼロックスはその旧機や使い終わったカートリッジをすべて引き取って、リユースとリサイクルをすることで廃棄ゼロとCO2の削減を実現している。例えば、2006年にリサイクルによって削減したCO2は日本国内で約22,000トン、これは自社の削減数値に算入された。(p.99)

 ある企業が贈賄防止体制を構築したことを第三者的に確認することしても、ISOのような認証制度にすると、認証を付与する機関(認証機関)の側にリスクが発生する。つまり認証を与えられた企業があとに贈賄問題を起こした場合、その認証機関の信頼に影響が及ぶことは避けられない。こうした抵抗が出ることは当初からある程度、予想された。そのためTPR(Third Party Reivewの略:第三者確認)の提案では抗弁を用意していた。TPRを実施した事実の説明は、対象となった企業が将来に渡って贈収賄に関与しないことの保障を約束する性質のものではなく、その企業の総収賄防止体制がビジネス原則の規定に合致していた>185>ことを示すステイトメントを発行するだけにとどめるというものであった。(第10章 p.185-186)

 しかし、どんなに熟練した社会監査人が監査を実施したとしても、監査自体にもリスクは存在する。時間や費用の制約などから、十分に監査が行いえないままに適合評価を行うことも少なくない。複数の施設や農園などをもつ事業主の場合はサンプリングを用いて監査をするのが一般的だが、重大な不適合のある施設を見落としてしまい、その事業体がSA8000を取得したのちに労働問題が発覚したケースもある。(第14章 p.254)

 SAIは、苦情を以下の4つのタイプに分け、それぞれの対応方法を示したガイドラインに則して対応を行う。SAIが認証をした認証機関により監査やサーベイランス、SAIが提供するサービスについて申し立てられるもの(タイプ1A)、あるいはSAIの認定に関して申し立てられるもの(タイプ1B)と、認証を取得した事業体あるいは他の利害関係者からSAIが認定している認証機関について申し立てられるもの(タイプ2)、あるいは、利害関係者から認証を受けた事業体について申し立てられるもの(タイプ3)である。(第14章 p.257)

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◆UP:100413,0428,0522,0524,0601