うまなり[Home] / 世代間倫理
intergeneration ethics
環境倫理学の三つの主張の一つで、「未来世代の生存権を保障する責任が現在の世代にある」という考え方。現在の人々の活動による資源の枯渇および環境破壊は、未来の人々を被害者とする犯罪行為であるといわれる。自然資源の過剰な消費は「世代間格差」を生じ、核廃棄物の地中貯蔵は子孫へ管理を強要することとなる。この世代間倫理の根拠の基本は社会正義の一つである「平等」を時間的に広げたものと考えることができる。経済学との関連では、この世代間倫理は、未来の世代の利益を損なうことなく現在の必要を満たすという意味で、「持続可能な開発」の概念と共通であるといえる。将来の世代の価値観を理解することは不可能であるが、将来の世代にとって少なくともマイナスの価値でないものは(不明なものは)残しておかなければならないという考え方に基づいている。環境価値の概念における利用価値の「オプション価値」および非利用価値の「遺贈価値」は同様な考え方である。
「世代間倫理」は、「将来の世代に対して健全な自然環境と資源を引き継ぐこと」という、環境倫理学の主要な主張の一つであるが、「世代内倫理」は、「同世代のあいだで環境問題の不公平が生じないように努力すべきである」ことを主張するものである。現在生じつつある不公平に対しては、「環境正義」の追究として、@国内所得階層別の環境被害問題(低所得層に被害が集中する傾向、エリート主義、環境レイシズム)、Aグリーバルナ問題として先進国と発展途上国の配分問題(南北問題)、などとして対処の必要が叫ばれている。また、「環境価値の概念」の議論においても、自分には医療価値はないが、自分以外の同世代の人々が環境剤を利用する権利を保障するために保留する利他的な価値として「代償的利用価値」(altruistic value)」を認めている。
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