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フェアトレード・倫理的な消費
Fair Trade/ Ethical Consumption

【文献】

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◆鈴木深雪 (2002) 『消費生活論――消費者政策 改訂版』, 尚学社

◆Thirsk, Joan, (1978). Economic Policy an Projects, Oxford: Clarendon Press.
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◆Wilhelms, F., Heimerl, R., & Jelly, H. (1966). Consumer Economics third ed.. New York: McGraw-Hill. (= 1969 国民生活研究所 訳 『消費者経済学』, 至誠堂)

◆チャールズ・ヤン 編 (1974). 『マーケティングと社会責任』, 日本経済新聞社、日経新書210

◆ハリスン、モリー 著 工藤 政司 訳 =1990. 『買い物の社会史』, 法政大学出版局

◆ハリスン、モリー 著 小林 裕子 訳 =1993. 『台所の文化史』, 法政大学出版局

◆バックホーン、巻 正平 訳 『ネーダー――アメリカを変えつつある男』, 日本経済新聞社

◆ホリヨーク ジョージ ヤコブ 著 財団法人協同組合経営研究所訳 =1968 『ロッチデールの先駆者たち』

◆マッカリー著、深尾凱子 訳 『怪物ネーダー――市民運動を演出する男の執念』 実業之日本社

◆阿部周造・新倉貴士 編 (2004) 『消費者行動研究の新展開』, 千倉書房

◆五島茂 (1943) 「協同組合の原基形態」,『経済学雑誌』大阪商科大学(大阪市立大学), 15-40.

◆池尾恭一 (1991) 『消費者行動とマーケティング戦略』, 千倉書房

◆伊藤敦 (2005) 「商業高校のビジネス教育とコンシューマーリテラシー」 『愛知産業大学紀要 』, 13, 89-94.

◆宇野政雄 監修 ダイヤモンド社編 (1953) 『家庭の商品知識』

◆久保村隆祐 代表編集・田中幸一 編 (1969) 『現代マーケティングの構図2――買い手行動の構造』, 三秀舎

◆近藤康男 (1966) 『新版協脹組合の理論』, 御茶の水書房

◆境井孝行 (2002) 「国際消者運動――国際関係のフロンティア」, 大学教育出版

◆塩田静雄 (1970) 『消費者行動』, ミネルヴァ書房

◆清水聰 (1999) 『新しい消費者行動』, 千倉書房

◆杉団淳子・村岡健二・川北稔 (1989) 『現代消費生活論』 建帛社

◆芹沢俊介 編 (1991) 『消費資本主義論 −変容するシステムと欲望の行方』, 新曜社 ISBN4-7885-0389-1

◆高岡伸行 (2003) 「コンシューマーリズムとグリーンコンシューマーリズム」, 『東南アジア研究年報』, 44

◆野村かつ (1971) 『アメリカの消費者運動』 新時代者

◆福田敬太郎 (1952) 『消費経済学』

◆長屋祐二 (1949) 『消費経済論』

◆中西克己 (2004) 「オピニオン――消費者の消費ストレス軽減にむけての提言」, 『Direct marketing review』, 3, 日本ダイレクトマーケティング学会, 43-60.

◆巻正平 (1987) 『消費者問題読本 第2版』 東洋経済新報社

◆三上富三郎 (1981) 「もう一つのマーケティング」をめざして――Alternative Marketing」, 『明大商学論叢』, 68(7・8)

◆宮坂純一 (2004) 「消費者の権利について」, 『産業と経済』, 19 1

◆宮崎健一 (1980) 「不確実性と保険および企業責任ルール」, 『一橋ビジネスレビュー』, 23(2)

◆宮崎犀一 「近代英国株式会社形成史論」, 『國學院大學政経論叢』, 5(3,4,6-1)

◆向井鹿松 編 (1952) 『消費者の経済学』

◆村田武 (2005) 『コーヒーとフェアトレード』, 筑摩書房

◆渡辺龍也 (2010) 『フェアトレード学――私たちが創る新経済秩序』, 新評社

◆横山真一郎・増田浩通・関哲朗 (2000) 「社会品質としての安全性」, 『電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性』, 99(690), 社団法人電子情報通信学会, 7-13.

◆吉田正昭・村田昭治・井関利明 編 (1969) 『消費者行動の理論』, 丸善

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【年表】


1266 英 パン公定価格条例(Assize of Bread)。→1815年まで、パンの価格と品質が統制される。五島 (1943, p.17)

1316 英 製造者、販売者の不正行為に厳しい刑罰が科された記録。あるパン屋が不法な材料を用いてパンを作ったかどでさらし台につけられる。境井(2002, p.13)

1666,67,90 英 会員相互の経済上の扶助、社交上の親睦を目的とする友愛組合(society of goodfellowship; Victualling Society, Friendly Victualling Society)が、ロンドン、スコットランド・リンギスゴーに設立される。疾病、葬式、結婚、出産金融として以後、発展する。→1800年代から1900年代にかけて、一般互助から限定互助に代わり、組合員の死亡時の葬式墓碑費用、寡婦孤児の生活費の脅威どう支払いを主な事業とするようになる。五島 (1943, p.34)

1756-8,1772-4,1795-1800 英 議会がS印で公認する「標準パン」(standard bread)の販売。五島 (1943, p.24)

1760 英 協同組合にもとづく穀物製粉所設立。造船所で働く政府雇用の労働者が、当時地域的独占を握っていた穀物製粉業者の高価格経営政策に反対する。境井(2002, p.13)

1800 英 ロバートオーエンがスコットランド・ニューラーナク New Lanark において生活共同体による紡績会社を設立する。境井(2002, p.16)

1825 米 ロバートオーエンがアメリカ北部、ニューハーモニー村に理想社会として平等村を建設する。鈴木ほか(1994, p.132)

1840's 英 「飢餓の40年代」。ジャガイモ凶作。ブリテン島における労働者階級の窮乏化。

1844 英 ロッチデール公正先駆者組合(Rochdale Society of Equitable Pioneers)発足ロッチデールで28人の貧しい機織職人が生活協同組合の基本となる行動を起こす(ロッチデール原則)。28人のパン焼き店からはじめ、日用雑貨品にも品揃えを拡大させる。当時のながい経済不況の下で低賃金と失業に苦しむ工場労働者の生活を支援する。「生産」協同組合ではなく「消費」協同組合として。品質保証、詐欺や法外な価格の防止。
ロッチデール7原則。1.開放組合員主義・だれでも自由に加盟できる。2.民主的運営ー一人一票の原則が適用される。株式会社との相違。3.利用主義・購買額に応ずる剰余金の分配制度。4.制限配当主義・出資額に対する配当の制限。5.中立主義・政治および宗教における中立・6.現金取引主義。7.教育促進主義。
小山 (1981, p.113), Warne & Morse (1993=1996, p.31), 境井(2002, p.15) 角野 鈴木 編 (2000, p.162), 鈴木ほか (1994, p.132)、三上 (1982, p.15)

1852 英 産業・節約組合法 Industrial and Provident Societies Act制定。最初の協同組合法。境井(2002, p.17)

1869 英 第1回イギリス共同組合大会開催(ロンドン)。境井(2002, p.16)

1870 日 売薬取締規則。鈴木 (2002, p.28)

1872 米 アイオワ州立大学 大学において初の家政学課程開設。Warne & Morse(1993=1996, p.29)

1874 米 イリノイ産業大学(現イリノイ州立大学)において、初の家政学課程(4年制)開設。Warne & Morse(1993=1996, p.29)

1878 英 度量衡法(Weights and Measure Act 1878)制定。Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.131)

1879 米 エレン・スワロー(Ellen Swallow)が、消費者教育運動を始める。誇大広告と勧誘販売が消費者に不確かな情報にもとづく購買を促すものだと主張する。鈴木(2002,p.8)

1879 日 福澤諭吉の門下生が地域生協(共立商社)を設立する。鈴木 (2002, p.8)

1888 米 エドワード・ベラミー『顧みれば』(Looking Backward)出版。Warne & Morse(1993=1996, p.285)

1890 米 シャーマン法制定

1893 英 動産売買法(Sales of Goods Act 1893)制定。バーミンガム三番所マッケンジー・チャーマーズ(Sir Mackenzie Chalmers)卿起草。1890年代の慣習法が明文化される。 Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.B,55,67)

1895 英 国際協同組合同盟(International Co-operative Alliance, ICA)設立(ロンドン)。境井(2002, p.17)

1897−8 米 カンザス州立農業大学(カンザス州立大学)で1873年から「女性向け教育課程」が設置され、その後家政学の独立コースが設立されるWarne & Morse(1993=1996, p.29)

1899 米 アメリカ家政学会開設。レイク・プラシッド会議から生まれる。1909年法人化。Warne & Morse(1993=1996, p.29)

1899 米 全米消費者連盟(National Consumer League, p. NCL)設立。ジョセヒン・ショウ・ロウェルによって組織される。ボイコットを主な戦術として、労働条件の改善や消費者保護を訴える団体。Warne & Morse(1993=1996, p.28)、境井(2002, p.19)

1899 米 理論経済学者ソースタイン・ヴェヴレン『有閑階級の理論』(The theory of the Leisure Class)出版Warne & Morse(1993=1996, p.285)

1899 米 NCL(National Consumers League)結成。「商品の生産工場基準の改善と児童労働廃止が掲げられる。ジョセフィン・ショー・ローウェル、ジョン・グラハム・ブルックス、フローレンス・ケリーらによる。Warne & Morse(1993=1996, p.285)

1899-1908 米 レーク・プラッシッド会議(Lake Placid Conference)。アメリカ家政学会(American Home Economics Association=AHEA, 1909-)の前身。リチャーズ(Richards, Ellen H.)、ベンジャミン・アンドリュースらの提唱による。第1回会議の出席者は11人。 Warne & Morse (1993=1996, p285), 日本消費経済学会 編 (1993, p.87)

1899 米 初めての自動車死亡事故。ニューヨークの市電を降りたH.H.ブリス氏が、一人の婦人客が降りるのに手を貸しているあいだに、”馬なしの馬車”(=自動車)にはねられて命を落とす。(Nader(1965=1969, p.243)。

1900 日 食品其ノ他物品取締ニ関スル法律。鈴木 (2002, p.28)

1901 米 商務省規格局(National Bureau of Standards=NBS)創設。 Warne & Morse(1993=1996, p.285)

1902 米 レーク・プラッシッド会議、第4回大会で家政学の定義が提案される。「最も包括的な意味での家政学は、一方では人間の直接関わる物質的環境に、他方では社会的存在としての人間の本質に関する法則、条件、原理、および理想(理念)の研究であり、またとりわけこの2つの要素のあいだの関係の研究である 日本消費経済学会 編 (1993, p.88)

1906 米  アプトン・シンクレア(Upton Sinclair)『ジャングル』(The Jungle)出版。食肉加工業者のスキャンダルと食品の不衛生・安全性に関わる問題を暴く。(角野 鈴木(2000, p.163)

1906 米 「食品医薬品品質法」(Pure Food and Drug Act of 1906)制定。「食肉検査法」制定。Warne & Morse(1993=1996, p.285)

1908 スイス 第1回国際家政学会開催。日本消費経済学会 編 (1993, p.87)

1909 米 アメリカ家政学会(American Home Economics Association=AHEA)。日本消費経済学会 編 (1993, pp.87-88)

1912 米 ウェスリー・クレア・ミッチェル『お金の後ろ向きの使い方』(The Backward Art of Spending Money)出版。Warne & Morse(1993=1996, p.285)

1912 米 民間の非営利組織、全米商事改善協会(National Better Business Bureau=BBB)創設→ 1970年 商事改善協議会に統合(Council of Better Business Bureaus)Warne & Morse(1993=1996, p.286),林田(1995, p.61-)

1914 米 連邦取引委員会法(Federal Trade Commision Act)。特定の重大な公益が何らかの非倫理的慣行とかかわっている場合に消費者を保護する目的で定められる。(Anderson(1989=1994, p.225),角野 鈴木(2000, p.164)

1916 米 合衆国生協連盟(Cooperative League of the USA)創設。ジェームス・ワーバッシー夫妻による。Warne & Morse(1993=1996, p.286)

1916 米 Better Business Bureau設立。

1919 米  アメリカ工業規格委員会設立(→1928年 アメリカ規格協会に改称)。Warne & Morse(1993=1996, p.)

1919 日 (大正8年) 12月、家庭購買組合発足(創立代表者 吉野作造)。国民生活センター編 (1996, p.30)

1920 日 (大正9年) 公益社設立。設立者・賀川豊彦。ロッチデール組合の七原則を忠実に従う。横田編 (1976, p.48)

1920 日 (大正9年) 市川房枝、平塚雷鳥、奥むめおが新婦人協会を設立する。「女は政談演説をしても、聞いてもいけない」という治安警察法第5条の法改正運動を始める。国民生活センター編 (1996, p.14)

1921 米 ソースタイン・ヴェヴレン『技術者と価格体制』出版 Warne & Morse(1993=1996, p.)

1921 米 アメリカ工学会連合(Federated American Engineering Societies)が『産業における浪費』(Waste in Industry)出版。Warne & Morse(1993=1996, p.286)

1921 米 商事改善協会連合(Assoiciation of Better Business Bureaus)設立→ 1970年 商事改善協議会に統合(Council of Better Business Bureaus) Warne & Morse(1993=1996, p.285)

1921 日 (大正10年) 神戸購買組合・灘購買組合が発足。国民生活センター編 (1996, p.21)、横田編 (1976, p.48)、水谷ほか編 (1997, p.118), 鈴木 (2002, p.8)

1923 米 ワーバッシー医師『生活協同組合民主主義』(Cooperative Democracy)出版 私有財産の撤廃とボランティア主義にもとづく新体制の到来を主張。Warne & Morse(1993=1996, p.31)

1923 米 ヘーゼル・キルク『消費の理論』(The Theory of Consumptionシカゴ大学での博士論文) Warne & Morse(1993=1996, p.)

1923 日 (大正12年)雑誌『職業婦人』(職業婦人社)創刊(のちに『婦人運動』に改称)。国民生活センター編 (1996, p.15)

1924 米 Harap, Henry The Education of the Consumer(消費者教育)出版 Warne & Morse(1993=1996, p.30,287),土屋(1956, p.198)

1924 日 (大正13年)神戸消費組合に「家庭会」発足。消費組合における初めての婦人組織。国民生活センター編 (1996, p.21)

1925 米 流行作家チェイス『浪費の悲劇』(Tragedy of Waste)出版Warne & Morse(1993=1996, p.287)

1927 米 スチュアート・チェイス(Chase Stuart)とフレデリック・シュリンク(Schlink Frederick)がYour Money's Worth『あなたのお金の価値』(Your Money's Worth)出版。広告は決して消費者に良品廉価を教えてくれないとし、広告主の利潤追求的な態度にたいして批判をあびせた。かかる態度から消費者をあ盛るためには、消費者が自ら立って団結するほかに手がないと説いた。土屋 (1956, p.197), 鈴木 (2002, p.8) )

1927 米 フレデリック・J.シェリング(F.J. Schlink)博士がConsumers Researchを設立。『消費者クラブ商品リスト』(the Consumer Club Commodity List)配布。→『コンシューマーズ・リサーチブレティン』→『コンシューマーズ・リサーチ・マガジン』Warne & Morse(1993=1996, p.24,288)、三上 (1982, p.16)

1929 米 チェイス『人間と機会』(Men and Machines)出版

1929 米 消費者研究所 (Consumer's Research Incorporation, p. CR)がはじめて商品テストを行う。「科学的な商品テストの実施と、その情報提供」。→1935アメリカ消費者同盟へ。 境井 (2002, p.19), 横田編 (1976, p.46)、水谷ほか編 (1997, p.123)

1930(昭和5) 日 全国友の会結成。羽仁とも子による『婦人之友』読者グループ。横田編 (1976, p.46)

1932 米 コンシューマーズリサーチの機密サービス誌(1部2ドル)の購読者数が42,000に達する。

1932 米 生協配送組合(Cooperative Distributiors)設立→1936または40年ごろ崩壊。Warne & Morse(1993=1996, p.288)

1932 米 ジェシー・V.コールズ『消費者向け商品の標準化:消費者購買の奨励』(Standardization of Consumers' Goods, p. An Aid to Consumer-Buying) Warne & Morse(1993=1996, p.)

1932 英 ドナヒュー対スティブンソン事件判決(Donoghue v. Stevenson)。ジンジャービールに困窮した腐ったカタツムリにショックを受け、胃腸炎を惹き起こした責任をビールの製造と瓶づめ責任者であったスティーヴンソンを訴えた。両者のあいだにはなんら契約が存在していなかったが、この判決の結果、製造業者が一般的な注意義務を負っていたと判断した。この判決以降、業者製造物責任がイギリスで広く認められるようになる。Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.20)

1933 米 フレッド・シュリンク(F.J. Schlink)&アーサーカレット『一億人のモルモット』出版。化粧品や医薬品について企業の内実を暴露する。Warne & Morse(1993=1996, p.89,288)

1933 米 ヘーゼル・キルク『家庭の経済問題』(The Economic Problems of the Family)出版 Warne & Morse(1993=1996, p.260)

1933 米 商務省が『消費者ガイド』(Consumer's Guide)出版開始

1934 米 マーガレット・G.リード『家計経済学』(Economics of Household Production) Warne & Morse(1993=1996, p.)

1934 米 全米労使関係委員会(National Labor Relations Bord)創設。Warne & Morse(1993=1996, p.289)

1935 日 電気用品取締規則。鈴木 (2002, p.29)

1936 米 2月6日、アメリカ消費者同盟(Consumers Union of the United States, p. CU)法人化。初代会長コルストン・E、ウォーン(Colston Estey Warne)。アーサー・カレット(Arthur Kallet)所長、デューウィー・パーマー技術主管による。 Warne & Morse(1993=1996, p.24,289)、土屋(1956, p.197)、国民生活センター編 (1996, p.63)、水谷ほか編 (1997, p.123)、境井(2002, p.20)、角野 鈴木編(2000, p.164)、横田編 (1976, p.46)によると1935年設立。三上 (1982, p.16)

1936 米 『コンシューマーズ・ユニオン・リポーツ』(Consumer Reports)創刊号出版(スタッフ10人、購読者3000人規模)Warne & Morse(1993=1996, p.289) , 横田編 (1976, p.46),

1937 米  ミズーリ州コロンビアのスティーブンス大学に消費者教育研究所(Institution for Consumer Education)設立 Warne & Morse(1993=1996, p.103、289)

1938 米 消費者教育協会(Consumer Education Association)組織されるも、第2次世界大戦のため存続できずWarne & Morse(1993=1996, p.289)

1938 米 下院に設置された非米活動調査委員会(Un-American Activeties Committee)からCUが共産主義的であると非難を受ける。境井(2002, p.20)

1938 米 マーガレット・G.リード『消費者と市場』(Consumers and the Market) Warne & Morse(1993=1996, p.261)

1938 米 エリザベス・ホイト『社会と消費』(Consumption in Our Society) Warne & Morse(1993=1996, p.)

1938 米 ジェシー・V.コールズ『買い手消費者と市場』(The Consumer-Buyer and the Market) Warne & Morse(1993=1996, p.261)

1939 米 コンシューマーズ・ユニオンがダイズ委員会(HUAC)に対し、共産主義の表向きの団体だとして告発を受ける。Warne & Morse(1993=1996, p.289)

1942 米 アメリカ教育協会高等学校長部会によって消費者教育研究室(Consumer Education Study)発足。アメリカ商事改善局(Better Business Bureau)から資金を仰ぎBriggs Thomasが代表となる。(土屋(1956, p.198)

1943 米 マーガレット・G.リード『人々の食物』(Food for People) Warne & Morse(1993=1996, p.261)

1943 日 社団法人日本食品衛生協会設立。飲食に起因する伝染病、食中毒などを防止することが目指された。林田(1995, p.110)

1945 日 (昭和20年)8月、戦後対策婦人委員会結成。市川房枝、山高しげり、赤松常子ら。国民生活センター編 (1996, p.208)。10月、米よこせ風呂敷でも。

1946 日 (昭和21年) 「婦人民主クラブ」結成。松岡洋子委員長。他の政党内に婦人部が設置される。国民生活センター編 (1996, p.198)

1946 米 キリスト教メノナイト派の救援開発NGOであるMCCでボランティアをしていた、エドナ・バイラーが、プエルトリコの貧困女性の生計の支援を目的として、刺繍製品を持ち帰り販売する。→1967年、セルフヘルプ・クラフトという自助自立を支援するプログラムに組織化する。→のちにテン・サウザンド・ビレッジに名称変更(渡辺, 2010, p.32,36)

1947 米 全米消費者協会設立 Warne & Morse(1993=1996, p.84)

1947 日 (昭和22年) 独占禁止法施行。公正取引委員会発足。食品衛生法交付。食品衛生監視制度発足。 国民生活センター編 (1996, p.208)

1948 日 9月3日、不良マッチ主婦大会開催。国民生活センター編 (1996, p.198)

1948 日 (昭和23年) 4月、東京都地域婦人団体連盟発足。東京・神田交通博物館にて。国民生活センター編 (1996, p.128)

1948 日 消費生活協同組合法施行。(土屋(1956:204)、国民生活センター編 (1996, p.209)

1948 日 9月、スポンサー広告を掲載しない雑誌『暮らしの手帳』(暮らしの手帳社)第一号発刊。→1954買い物案内や日用品テスト報告などを連載。(土屋(1956, p.204)

1948(昭和23) 日 東京地区の主婦連合会による消費者運動。8月牛肉値下げ運動。9月不良マッチ追放大会(燃えないマッチを持ち寄る会)。10月湯銭値上げストップ。土屋 (1956:202-3)、横田 (1976, p.48)

1949 米 ジェシー・V.コールズ『消費者商品の標準化・ラベル化』(Standards and Labels for Consumers' Goods) Warne & Morse(1993=1996, p.)

1946 ブレザレン協会SERRVが第二次大戦後に難民化したドイツ人の鳩時計を輸入・販売する(渡辺, 2010, p.32)

1948 日 東京地区の主婦連合会による消費者運動。3月「主婦の店」選定運動。9月、米価統制撤廃反対。土屋(1956:203)

1949 日 日本公共広告機構(Japan Advertiseing Review Organizaiton, p. JARO)設立。横田編 (1976, p.71)

1950 日 主婦連、商品テスト開始。水谷ほか編 (1997, p.129)

1951 米 リチャード・L.D.モース『食品調査の促進』(Advance in Food Research) Warne & Morse(1993=1996, p.261)

1951 日 (昭和26年) 3月、日本生活協同組合連合会設立。国民生活センター編 (1996, p.36)

1953 米 コンシューマーズ・ユニオンからの助成金7000ドルで消費者情報協議会(Council on Consumer Information=CCI)設立。→1969年 独立採算制となりアメリカ消費者利益委員会改称。 Warne & Morse(1993=1996, p.161,3)

1953 米 ヘーゼル・キルク『アメリカ経済における家庭』(The Family in the American Economy) Warne & Morse(1993=1996, p.)

1953 日 (昭和28年)実質国民所得が戦前の水準を超える。横田編 (1976, p.48)

1954 日 (昭和29年)都市部の消費水準が戦前の水準を超える。横田編 (1976, p.48)

1954 日 (昭和29年)『暮らしの手帳』による商品テスト(12月号)。横田編 (1976, p.48)、水谷ほか編 (1997, p.118)

1955 日 (昭和30年)新生活運動協会・経済企画庁発足。

1955 日 (昭和30年)森永ヒ素ミルク事件。国民生活センター編 (1996, p.201)、角野・鈴木編 (2000, p.165)

1955 日 (昭和30年)日本生産性本部設立。国民生活センター編 (1996, p.65)

1955 日 (昭和30年)ガット(関税及び貿易に関する一般協定 GATT)に加盟。境井 (2002, p.28)

1955 日 (昭和30年)繊維製品品質表示法制定。「熱湯をかけたら縮んだ」というシャツの苦情がきっかけとなる。国民生活センター編 (1996, p.81)

1955 米 クライスラーとフォードが別料金によるオプションとしてシートベルトの装着を発表する。1956年新型オプションとして搭載される。→1964年 すべての新車への標準装備としてシートベルトが採用される。 Nader(1955=1959, p.99)

1955 日 (昭和30年)総理府、新生活運動協会発足。→64年生活学校発足。国民生活センター編 (1996, p.202)

1955 英 イギリス規格協会(British Standards Institution)が、内部に消費者問題協議会(Consumer Advisory Council)を設置する→のちに政府が消費者審議会(Consumer Council)を設置したさいに解消される。Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.23)

1956 ノルウェー 家族・消費者問題省創設 Warne & Morse(1993=1996, p.196)

1956 日 (昭和31年) 全国消費者団体連合会(消団連)結成。国民生活センター編 (1996, p.199)、横田編 (1976, p.49)、水谷ほか編 (1997, p.118)鈴木 (2002, p.10)

1956 日 牛乳1円値上げ反対運動。角野・鈴木編 (2000, p.165)

1957 日 (昭和32年)10月 日本生活協同組合連合会が主催者となり第一回全国消費者大会を開催する。「消費者宣言」採択。『「資本主義は諸刃の剣である。労働者として搾取され、消費者として搾取される」と私たちの先覚者は叫びました…』。国民生活センター編 (1996, p.206)、横田編 (1976, p.49) すべての諸品の価格、品質等の最終的な決定者は消費者である。消費者主権の提唱。消費者被害は消費者の権利の侵害である。鈴木(2002,p.10,20)

1957 英 消費者内部協議会がアメリカの例を倣って、雑誌『買い物ガイド』(Shopper's Guide)を創刊→1963年休刊。Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.23)

1957 英 消費者協会(Consumer Association)結成。機関紙Which?刊行。横田編 (1076, p.50)

1957 日 不当表示ジュース追放運動。角野・鈴木編 (2000, p.165)

1957 英 消費者協会(Consumers' Association)が雑誌『ホィッチ』(Which?)を刊行。Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.23)

1958 日 (昭和33年)日本生産性本部が消費者教育委員会を設置。→1960年に消費者教室を開設。奥むめお主婦連会長を団長として消費者教育専門視察団(9名)をアメリカに派遣。国民生活センター編 (1996, p.200)、横田によると設立は昭和35年。

1958 米 ヴァンス・パッカード『かくれた説得者』(the Hidden Persuader)(=1958 未来社)、『地位を求める人々』(The Status Seeker =1965 ダイヤモンド社)出版

1958 米 アメリカで最初のフェアトレードの店舗が設立される。プエルトリコや他の貧困地域の産品を販売する。(Litvinoff & Madeley, 2006, p.75, p. 渡辺, 2010, p.33)

1950年代後半 英 オックスファムが、オックスファムショップを設立する。寄付された古着の販売からチャリティーをする店舗。中国の難民によって作られた手工芸品の販売(Litvinoff & Madeley (2006, p.75)

1959 英 政府報告書「一般消費者大衆の保護を促進していくために」(勅選弁護人ジョーゼフ・モロニー委員長 Sir Joseph Molony, Q.C.)。Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.E)

1960 米 V.パッカード(Vance Packard)『浪費をつくりだす人々』(The Waste Makers)(=1960 ダイヤモンド社)出版

1960 米 国際消費者機構 (International Organization of Consumers Union, p. IOCU)設立(本部・オランダ、ハーグ)→1995よりConsumer Internationalに改称(本部・ロンドン)。Warne & Morse(1993=1996, p.192,292)、境井(2002, p.20)、横田編 (1976, p.53)

1960 日 (昭和35年)「貿易・為替自由化促進一般協定」を閣議決定する。1962年4月時点で103品目あった農林水産物の非自由化数が、同年12月までに81品目に減少する。1971年までに28品目となり、1992年に13品目となる。境井(2002, p.28)

1960 日 (昭和35年) 薬事法制定。

1960 日 にせ牛缶(偽装表示)事件→『ロース肉大和煮』缶にハエが入っていたという苦情。→調べてみると、鯨の肉だったこと側からい問題化。国民生活センター編 (1996, p.80)、角野・鈴木編 (2000, p.165) 鈴木 (2002, p.37-38)

1961 日 割賦販売法→1984改正。電気用品取締法公布。

1961 日 9月、財団法人 日本消費者協会発足。初代会長は足立正(日本生産性本部会長)。消費者教育機関。商品についての調査研究、情報提供、消費者利益の保護を活動目的とする。機関誌『月刊 消費者』刊行。同年、International Organization of Consumers Unions(IOCU→1995年に国際消費者機構Consumers Internationalに(CI)改称)に加盟。国民生活センター編 (1996, p.56,59,63),日本国民センター編(1981, p.19)

1961 国連OECD内に「消費者政策委員会」設置。横田編 (1976, p.53)

1961 英 消費者保護法(Consumer Protection Act 1961)制定。商品欠陥による訴訟の正当性を認める。「売主が、当該用件に違反または一致しないことによって、影響を受けるいかなる人に対しても負っている義務であり、その義務の違反は訴訟の原因となるものである。(但し、制定上の義務違反を理由とする訴訟に適用される、抗弁その他の付随条件に従うものとする)」 Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.152)

1962 米 消費者諮問協議会(Consumer Advisory Council:CAC)設立

1962 英 割賦販売法(Hire-Purchase Act 1964)制定 Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.B)

1962 米 レイチェル・カーソン(Rachel L. Carson)『沈黙の春』(Silent Spring)割賦販売法(Hire-Purchase Act 1964)制定 Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.B)

1962 日 (昭和37年) 5月、景品表示法。不当景品類及び不当表示防止法。家庭用品品質表示法。1958年の鯨肉牛缶事件をきっかけとする。 。コンシューマーズユニオン理事・コーネル大学ニューヨーク州立カレッジ家政学部部長ヘレン・キャノイアーが会長に就任する。 Warne & Morse(1993=1996, p.175)

1962 欧州連合組織BEUC(Bureau Europeen des Unions de Consummateurs)設立。横田編 (1976, p.53)

1962 日 (昭和37年)サリドマイド事件。角野・鈴木編 (2000, p.165)

1962 日 (昭和37年)東京都地域婦人団体連盟(ちふれ)が100円化粧品「ハイム化粧品」を製造販売する。国民生活センター編 (1996, p.130)

1962 米 「四つの権利」教書(消費者の利益保護に関する大統領特別教書)。ケネディ(John F.Kennedy)大統領による。企業の消費者の権利の遵守を求める。四つの権利(消費者主権 Consumer sovereignty)= 安全を求める権利(The right to safety)、知らされる権利(The right to be informed)、選ぶ権利(The right to choose)、意見を聞き届けられる権利(The right to be heard)。→1975年フォード大統領が「消費者教育をうける権利」(the Right to Consumer Education)を加える。(下垣内 (1994, p.42-3), 境井 (2002, p.22)、横田編 (1976, p.46)、鈴木(2002, p.21))

1963 米 コンシューマーズ・ユニオン、コロンビア大学社会学部による「貧しきものの無駄な出費」研究を助成(The Poor Pay More)Warne & Morse(1993=1996, p.165-6)

1963 米 連邦通称委員会法のホイーラー=リー修正条項が可決される。FTCに消費者保護を目的とした不正な行為や慣行に関する司法権が与えられる。おとり販売(低価格商品を宣伝し、客を填補に引き寄せてから高額商品を購入させる販売方法)、ローボーリング(実際に請求される価格よりも低い価格で広告に出すこと)、押し売り、ねずみ講式販売、フリーギフト。(Anderson(1989=1994, p.232)

1963 米 グリーンマン事件(Greenman v. Yuba Power Products, Inc.)。カリフォルニア最高裁判所は、アメリカで製造物責任が認められ、製品の欠陥を立証すれば生産者の責任を問える判断を下す。クリスマスプレゼントの電動工具を操作中に木片が頭部に当たり、重傷を負ったことに対して工具の製造業者を訴える。角野・鈴木編 (2000, p.165)

1963(昭和38) 日 国民生活向上対策委員会。商品についての適正品質、適正な価格・取引条件、適正な情報が消費者の3つの権利として提唱される。水谷ほか編 (1997, p.94)

1964 英 最初のフェアトレード組織「オックスファム・トレーディング」設立。(Litvinoff & Madeley. (2007, p.75-76)

1964 蘭 フェアトレード協会設立。サトウキビにメッセージをつけて販売する。「あなたがサトウキビを買うことで、貧しい国々の人々を経済的豊かさという太陽の下におくことができます」(Litvinoff & Madeley. (2007, p.76)

1965 米 11月、ラルフ・ネーダー(Nader Ralph)『どんなスピードでも自動車は危険だ』(UNSAFE AT ANY SPEED)出版。販売部数45万部。GM社製コルベアの欠陥を指摘する。Warne & Morse(1993=1996, p.223,293)、境井(2002, p.22)、角野・鈴木編 (2000, p.165)

1965 日 経済企画庁に国民生活局設置。

1965 日 兵庫県「神戸生活科学センター」開設。消費者から相談・苦情の応対、商品テスト、消費者教育、情報提供。鈴木 (2002, p.40)

1965 英 法律委員会(Law Commission)設置。Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.B)

1966 米 ラルフ・ネーダーがゼネラル・モーターズに2600万ドルの損害賠償を求めた訴訟を提訴する(11月)。→1970年歳場院外で若い。42万5000ドルを受け取る。Warne & Morse(1993=1996, p.225)

1966 米 ハイウェイ安全法(Fighway Safety Act)制定。境井(2002, p.23)、角野・鈴木編 (2000, p.165)

1966 米 公正包装および内容表示法。パッケージごとに最低限の信頼できる情報の記載を求める。のちに内容が改正され、食品の等級づけ、あらゆる原材料の表示、栄養価、製造業者k、包装業者、食肉加工業者、販売業者の身分証明、賞味期限の記載が義務付けられた。(Anderson(1989=1994, p.231)、境井(2002, p.23)

1966 米 タバコ有害広告表示開始。水谷ほか編 (1997, p.129)

1966 日 ユリア樹脂製品のホルマリン溶出問題動。角野・鈴木編 (2000, p.165)

1967 米 消費者情報協議会(Council on Consumer Information)が『ジャーナル・オブ・コンシューマー・アフェアーズ』発刊。Warne & Morse(1993=1996, p.293)

1968 日 消費者センター設立。林田(1995, p.114)

1968 米 アメリカ消費者連合(CFA)設立。 Warne & Morse(1993=1996, p.181,293)

1968 英 取引表示法(Trade Descriptions Act of 1968)制定。 Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.56)

1967 英 不実表示法(Misrepresentation Act 1967)制定。過失による不実表示が損害賠償請求の対象とできるようになる。 Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.59-60)

1967 日 ポッカレモン事件。角野・鈴木編 (2000, p.165)

1968 英 取引表示法(Trade Descriptions Act 1968)制定 (1964,1968,1973=1975, p.B,147)

1968 日 カネミ油症事件。国民生活センター編 (1996, p.60),角野・鈴木編 (2000, p.165)

1968 日 (昭和43年) 消費者保護基本法制定。「消費者利益の擁護および増進」、「消費者の保護」という用語の明記、ただし「消費者の権利・主権」ということばは明記されず。(水谷ほか編, 1997, p.95)。第一回消費者保護会議開催。

1969 日 (昭和44年) 全国スモンの会結成。国民生活センター編 (1996, p.201)

1969 日 (昭和44年) 日本消費者連盟創立委員会結成。国民生活センター編 (1996, p.150,202)、横田編 (1976, p.54)

1969 米 ラルフ・ネーダーが市民のための法律研究センター(The Center for the Study of Responsive Law, p.CSRL)設立。その部局に消費者苦情研究センタープロジェクト(Center Complaint Profect)、水質汚染防止行動プロジェクト(Clean Water Action Project)、情報公開交換所(Freedom of Information Cleringhouse)が含まれる。 Warne & Morse(1993=1996, p.213)

1969 米 ニクソン大統領が、ケネディ大統領の「4つの教書演説」に加えて、第5の権利として「被害者救済の権利」を提唱する。水谷ほか編 (1997, p.94)

1969 米 ニューヨーク国際自動車ショーで、30人の開業医が自動車の安全設計を要求してピケを貼る(Nader(1965=1969, p.A)。

1969 米 ニューヨークタイムズが日本のトヨタと日産が欠陥車の回収を進めているのにそれを公表していないことを避難する記事を掲載(正田(1972, p.15-6)。

1969 米 合成甘味料チクロに発がん性物質含有の恐れから10月から前面使用禁止。日本では翌70年9月まで回収期限を延期すると厚生省が定める。国民生活センター編 (1996, p.47)

1969 米 環境基準審議会(CEQ)設立。(松野ほか(2006, p.113)

1969 日 (昭和44年) 社団法人北海道消費者センター開設。道費5000万円を投じて「商品テスト室」設置。国民生活センター編 (1996, p.64)

1970 米 環境保護庁(EPA)設立。(松野ほか(2006, p.113)

1970 日 国民生活センター設立。

1970 日 ブリタニカ事件。百科事典ブリタニカの強引な訪問販売。→割賦販売法改正。クーリングオフを含め消費者保護せ策のための「訪問販売等に関する法律」→2001年特定商取引に関する法律に改正。鈴木(2002, p.46)

1970 日 通産省が電子レンジのテストをおこない、うち6割に安全性に問題があることを公表する。(正田(1972, p.49)

1970 日 (昭和45年ごろ)過剰包装追放運動。国民生活センター編 (1996, p.72)

1970 日 (昭和45年) カラーテレビ不買運動。「定価」から大幅な値引き価格が表示される「二重価格」が問題となる。国民生活センター編 (1996, p.48)

1970 日 全国婦人対話集会(第一回生活を守る全国婦人対話集会)開催。国民生活センター編 (1996, p.115)

1970 日 再販売課価格維持制度追放運動(正田(1972, p.98)

1970 日 日本銀行・貯蓄増強垂心中央委員会主催による全国婦人の集いで、再販売価格維持が行なわれている商品(化粧品など)の不買運動を決議する。(正田(1972, p.181)

1970 日 日本家政学会が家政学の意義を発表する。「家政学は、家庭生活を中心として、これと密接な関係にある社会事象に延長し、さらに人と環境との相互作用について、人的・物質的両面から研究して、家庭生活の向上とともに人間開発を図り、人類幸福増進に貢献する実証的・実践的科学である」 日本消費経済学会 編 (1993, p.89)

1970 英 食品表示規則(Labelling of Food Regulations 1970)制定。Borrie and Diamond (1964,1968,1973=1975, p.B)

1970 米 MACAP(Major Appliance Consumer Action Panel)創設。家電業界のクレーム処理機関。(松野ほか(2006, p.113)

1971 日 ラルフ・ネーダーが、アメリカ金融独占ファーストナショナル・シティ銀行(FMCB)の告発書を発表する。FNCBが大企業融資を優先していること、ニューヨーク市の住宅難を無視していること、黒人、女性、ユダヤ人の昇進を制限していること。近藤(1973, p.19)

1971 日 消費者大阪府民会議結成。下垣内(1991, p.111)

1971 日 10月17日、日本有機農業研究会発足。一楽照雄が、北海道で「機農学校」を作った黒澤酉造を訪問した際、漢書に「天地、機あり」という言葉があることを知り、有機農業を主張し始める。自然の秩序に則った農業という意味をこめる。国民生活センター編 (1996, p.165)

1972 バングラディシュ 国際協力NGO・シャプラニール設立。→1974年から村民の教育と経済活動を支援すべく、女性の手工芸図くりと生産協同組合作りを始める。(渡辺, 2010, p.48)

1972 米 大気汚染防止法制定(松野ほか(2006, p.113)

1972 米 消費者製品安全法(Anderson(1989=1994, p.234)

1972 日 タバコ有害広告表示開始。水谷ほか編 (1997, p.129)

1973 日 10月、第四時中東戦争を契機に第一次オイルショック。物価狂乱。

1973 スウェーデン National Bord for Consumer Policies, p.NBCP創設 Warne & Morse(1993=1996, p.197)

1973 EC ヨーロッパ共同体委員会。「消費者保護と消費者情報のための基本計画案」採択。→1975 EC委員会理事会で承認。1 健康と安全を保護される権利。2 経済的利益を保護される権利。3 損害に対する救済を受ける権利。4 情報と教育を受ける権利。 5 代表を送る権利(意見を尊重される権利)。 水谷ほか編 (1997, p.98)

1973 日 消費生活用製品安全法→特別認可法人製品安全協会によるSGマークの認証開始。林田(1995, p.132)国民生活安定緊急措置法。

1973 日 建設省(当時)所管の財団法人ベターリビングがBLマーク制度を開始。システムキッチンや浴室ユニットなどの住宅要員を対象とする品質保証を目的とする。林田(1995, p.134)

1973 日 (昭和48年)東京都地域消費者団体連絡会(都地消連)結成。国民生活センター編 (1996, p.140)

1973 日 (昭和48年)第6回消費者保護会議で、消費者の基本的権利として「安全と選択の権利確保」と「売り手危険負担原則」(売り手責任主義)が強調される。水谷ほか編 (1997, p.95)

1973 蘭 フェアトレード協会が最初の「公正に貿易された」コーヒーをグアテマラの小規模農民生産者協同組合から購入する。(Litvinoff & Madeley. (2007, p.76)

1974 米 米国公益事業市民監視グループ(The United States Public Inerest Research)創設。 Warne & Morse(1993=1996, p.215)

1974 日 (昭和49年)神戸市民の暮らしを守る条例制定。日本ではじめての消費者保護条例。消費者の権利保護を規定する。1 消費者の生命、身体または生活環境に危害または不利益を及ぼす欠陥商品の規制。2その安全が社会的に確定していない不安商品に対する措置。3商品のせいぶん、性能、用途、貯蔵法、製造年月日などの事項の適正な表示。4 価格表示および単位価格表示。5 事業者名などの表示。6 保証書の添付義務。7 消費者包装の適正化と安全性の確保、過大包装の基準設定。8 消費生活相談所の設置など苦情処理機関の整備拡充と消費者訴訟の援助を行う制度の設置。水谷ほか編 (1997, p.95)

1974 日 日本広告審査機構JARO設立。水谷ほか編 (1997, p.129)

1975 日 東京都が消費者条例(東京と生活物資等の危害の防止、表示等の事業行為の適正化および消費者被害救済に関する条例)を制定(→1994 東京都消費生活条例に改正)国民生活センター編 (1996, p.19)、水谷ほか編 (1997, p.97)

1975 日 (昭和50年)東京都地域消費者団体連絡会が第一回「消費者から見た欠陥商品展」を開催。国民生活センター編 (1996, p.144)

1975 米 フォード大統領が、ケネディ大統領の「4つの教書演説」、ニクソン大統領の第5の権利に加えて、第6の権利として「消費者教育を受ける権利」(the Right to Consumer Education)を提唱する。水谷ほか編 (1997, p.94)

1976 日 (昭和51年)訪問販売等に関する法律制定

1977 日 (昭和52年) 消費者規格運動開始。→消費者テスト。国民生活センター編 (1996, p.73)

1978 日 (昭和53年)無限連鎖講の防止に関する法律制定。国民生活センター編 (1996, p.182)、鈴木 (2002,p.46)

1978 日 5月30日。第一回消費者の日。林田(1995, p.114)

1979 日 日本百貨店協会が、消費者専門委員会、品質管理委員会を発足。(林田(1995, p.105)

1979 日 医薬品副作用被害救済基金法→1987年 医薬品副作用被害救済・研究振興基金法に改正。 鈴木(2002,p.47)

1979 日 エネルギーの使用の合理化に関する法律公布

1979 米 国際NGO・CI(Consumers Inter Naltonal)が発展途上国をも含めた世界共通の消費者の権利として8つの権利を提唱する。消費者の基本的ニーズが保障される権利(The Right to Basic Needs)、安全である権利(the Right to be Safety)、知らされる権利(the Right to be Informed)、選ぶ権利(the Right to Choose)、意見が反映される権利(the Right to be Heard)、補償を受ける権利(the Right to Redress)、消費者教育をうける権利(the Right to Consumer Education)、健全な環境の中で働き生活する権利(the Right to Healthy Environment)。消費者の責任:批判意識(Critical Awareness)、自己主張と行動(Action and Involvement)、社会的関心(Soicial Responsibility)、環境への自覚(Ecological responsibility)、連帯(Solidarity)。鈴木 (2002, p.21)

1980 日 消費生活アドバイザー制度発足。鈴木(2002, p.49)

1980 日 (昭和55年) 「情報公開を求める市民運動」結成。国民生活センター編 (1996, p.91)

1983 米 ノーマン・I.シルバー『商品テストと主張』(Test and Protest)出版。Warne & Morse(1993=1996, p.259)

1983 日 (昭和58年) 海外先物取引規正法制定。国民生活センター編 (1996, p.183)

1983 米 アメリカンエクスプレスが全国的なコーズリレイティッドマーケティング(Cause Related Marketing: CRM)をはじめる。同社カードの利用ごとに自由の女神像の修復事業に1セントを寄付する名目で寄付金170万ドルを集める。Anderson (1989=1994, p.332),Maher(1984).

1983 コーヒー生産者組合連合(Union of Indigenous Communities in the Isthmus Region: UCIRI)設立。適正な価格でコーヒーを販売するシステムを模索する。→1988年、「マックス・ハーヴェラー(Maz Hvelaar)」というフェアトレードコーヒーラベルの開発、公正な価格、労働条件の順守、環境への配慮の基準を満たして生産・流通・加工されたコーヒーをマックス・ハーヴェラー財団が「フェア」であると認証し、ラベルを付与する。認証ラベルを得たコーヒーを、店舗の所在地を問わず販売することが可能となる。(渡辺, 2010, p.43)

1984 米 コンシューマーズ・ユニオンが501(c)(3)税金免除組織として認定される。Warne & Morse(1993=1996, p.294)

1984 欧州 フェアトレードのネットワーク。ワールドショップ会議が開催される。(Litvinoff & Madeley. (2007, p.77)

1985 国連 OECD「消費者保護ガイドライン」。@物理的安全性 A消費者の経済的利益の促進と保護 B消費者用製品とサービスの安全性および品質の基準 C基本的な消費者用製品およびサービスのための流通制度 D消費者に対する救済措置 E教育および情報提供のプログラム F特定領域に関する基準。角野・鈴木編 (2000, p.168)

1985 マイケルブラウンが、大ロンドン日を開催した生協関係者の会議でオルタナティヴトレードを「フェアトレード」と呼び、以後、急速に広がる。(渡辺, 2010, p.41)

1985 日 豊田商事事件。金の延べ板を買うと設けるとすすめ、預かり証だけを手渡すペーパー商法。鈴木(2002,p.49)

1986 ソ連 チェルノブイリ原子力発電事故。

1986 米 アメリカ自動車協会(American Automobil Association, p. AAA)が自動車クレームを受けるプログラムを開始。林田(1995, p.70)

1987 日 特定商品等の預託等取引契約に関する法律制定。

1988 英 グリーンコンシューマリズム提唱。鈴木 (2002,p.25

1988 日 無限連鎖講防止法改正。ねずみ講方式で経済的利益を集めることを禁止する法律。

1989 米 ロバート・メーヤー『消費者運動――市場の監視者』(Consumer Movement, p. Gurdians of the Market place)出版。Warne & Morse(1993=1996, p.259)

1989 日 国民生活審議会消費者政策部会「国際化時代の消費者政策検討委員会」設置。境井(2002, p.26)

1989 蘭 国際フェアトレード連盟(IFAT)発足。本部:ブリュッセル。(Litvinoff & Madeley. (2007, p.78), 村田 (2005, p.20)

1989 蘭 フェアトレード認証ラベル「マックス・ハヴェラー」が作成され、売上に寄与する。認証ラベルのついたコーヒーは3%近い市場シェアを獲得する。(Litvinoff & Madeley. (2007, p.76)

1990 日 食鳥処理の事業の規制および食鳥検査に関する法律制定。

1990 米 スティーブン・フローベック『現代の消費者運動――その状況と担い手』(The Modern Consumer Movement; Reference and Resources)出版 Warne & Morse(1993=1996, p.260)

1992 日 計量法改正。

1994 欧州 フェアトレード店の団体NEWS!(Network of Europian World Shop)が発足する。(Litvinoff & Madeley (2007, p.77)

1994 英 イギリス最初のフェアトレード認定産品。グリーン&ブラック社がマヤ・ゴールド有機栽培チョコレートを販売する。(Litvinoff & Madeley (2007, p.252)

1995 日 (平成7年)製造物責任(Product Liability:PL)法施行。

1995 消費者インターナショナル(CI)設立。1960年に設立された国際消費者機構(IOCU)からの改称。水谷ほか編 (1997, p.98)

1997 米 たばこの製造物責任が始めて認められる。「喫煙は肺がんなど疾病の原因となる」と判断され、以後25年で総額3685億ドル(約42億円)の和解金を払うことで合意する。この和解によってメーカーはすべての個別訴訟と集団訴訟から免責されることになった。タバコ自動販売機の設置禁止、野外広告の禁止、あっケージに記載する喫煙についての警告文の強化などが義務付けられた。角野・鈴木編 (2000, p.175)

2003 フェアトレード団体の連合体IFAT(国際フェアトレード連盟)がInternational Federation for Alternative TradeからInternational Fair Trade Associationに名称を変更する。(渡辺, 2010, p.40)

2004 日 消費者基本法(梅田, 2006, p.)

2004 世界フェアトレードデー(5月4日)。(Litvinoff & Madeley. (2007, p.76)

2004 世界社会フォーラム(インド・ムンバイ)で、フェアトレード認証マーク「FTO」が制定される。商品に付される認証ラベルではなく、組織に付されるラベル(Litvinoff & Madeley. (2007, p.76)

2004 IFATがFTOマークの認知度を高める目的で、世界ツアー「グリーバル・ジャーニ」を行なう。(Litvinoff & Madeley. (2007, p.79)

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【論】

 

◆Warne E. Colston & Morse Richard L. D. (1993=1996) Consumer Movement Family Economics Trust Press. U.S.A (小野信夸 監訳 『アメリカ消費者運動の50年 -コルストン E. ウォーン博士の講義』 批評社 335p ISBN4-8265-0215x)

しかし、ワーバッシー医師は、人道的社会においては、法律を制定することによってではなく、協同組合的交換を通し人々に商品を供給することによって、営利的商品の販売を廃止すべきだと感じていた。生協店の利潤追求の店と自由競争させれば、人々は正直に販売を行ない無駄や不当表示は除外されるであろう。そして、消費者がよりよいサービスのほうを好み、小売の需要が増えるにつれ、卸売りもまた成長し、生産は徐々に利潤追求から非利潤追求へと変化するであろう。(WM/p.32)

最大のおそれは、名誉毀損で訴えられることであった。なぜなら、辛口のテスト結果を公表していたからである。たくさんの人々に『CRブリティン』が送られており、徐々に時が経つにつれて内容が改善されてきたように思えたものの、非常によく知られたブランド名の商品をあからさまに罵倒していた。(p.46)

フランセス・エヴェレット・タウンゼント(1867−1960)は、""Old Age Revolving Pension Plan"(老齢回転年金プラン)を提唱した。これは、60歳以上の人に政府から月額200ドルの補助金を出すというもので、その資金は、すべてのビジネス取引に対しかせられる2%の売上税によってまかなわれるというものであった。その受給者は、200ドルを30日以内に使わなければならず、彼らの支出によって経済全体が刺激され、不況が救済されるというものであった。(p.54 注釈)

フレッド・シュリンクに提案された多様な案のいくつかを説明してみよう。すぐにだされたアイディアとして、冷蔵庫などの商品がテストできるのであれば、信用もテストできるのではないかというものがあった。信用リスク、銀行、金融のすべての分野の分析ができるのではないか?病院の看護や医療の範疇のものすべてを分析をしてはどうか?そこへ追加のアイディアとして、テストされた商品を販売する組織を作るというものも出された。格付けをする期間と、まったく別のその格付け機関によって推薦された商品を、割引して販売する機関を作るというものである。(p.61)

驚いたことに、多くのアメリカ大衆はものを読まない、あるいは読みたいと思わないのだということを知った。(…)我々への支持の大半は、高度に洗練された中産階級から来た。結局限定版を廃止し、年間3ドルで11冊の月刊誌に『購入ガイド』(Bying Guide)が付くという標準構成に切り替えた。名誉毀損で告訴されることを恐れて、我々は資料の利用を家族のメンバーだけに限定した。(p.86)

 消費の選択の自由は、我々の経済体系の原動力であるが、我々の時代においては、視覚障害者が、その衣服の色を買わせる自由は限られすぎている。知識を持たずになされる選択は、自由な選択ではない。それ故、それに代わるシステムを補強するために消費者運動が生まれつつあるのである。(p.110)

ハリス・レトリの調査結果にもあるようにCUの購読者は、かなり保守的であり、また教育程度が高く、堅実な出費を考える市民である。ビジネスのシステムを非難するのではなく、効率性に関心を寄せ、だまされたくないと考える市民である。(p.189)

 

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◆正田 彬 (1972) 『消費者の権利』 岩波新書


はじめに 
T 消費者の地位と権利
U 消費者の生命と健康
V 消費者の権利と表示の問題
W 取引条件の決定と消費者
X 顧客の不当誘引と消費者
Y 消費者行政のあり方
Z 消費者組織・消費者運動
[ 消費者運動と労働運動・市民運動

 この点と関係して考えるべき消費者の特殊性は、消費者が、「個人で」、「多品種」「少量」の商品を、「消費生活のために」購入するということである。(p.12)

 価格を強制する仕組が、消費者にささえられて維持されていることになるが、この場合に、消費者の側に、前にのべた人間としての弱みが大きく作用しているのである。消費者は商品と価格とを結びつける能力を欠いていること、そして、再販商品といわれるもの、すなわち再販売価格維持行為が原則として禁止されているなかで例外として認められているものは商品を知るために手がかりになる表示がないか、あるいは極めて不十分であることが消費者の購買行動をまったく異なった面から決定させることになっている。(p.20)

消費者から、競争を通して確保される取引条件の決定に参加する権利は奪われていることになる。この場合、取引き条件の決定に参加するという消費者の権利は、直接、公共料金の決定に参加するというかたちで具体化されることになる。公共料金の「公共」性は、消費者の立場からみて、公正妥当に決定されることを必要とするということであり、消費者が、どのようなかちで参加してそれが決定されるか、すなわち公共料金決定制度の如何が、ここで問題とされるのである。(p.36)

 消費者を相手とした価格カルテルが形成されると、消費者は強制された価格で買う以外、当該商品を購入する途を失う。いわば、決定的かつ一方的な価格の強制というかたちである。(p.80-1)

 再販制の正当性を主張する人達ー業界ーが何時も口にするのは「おとり廉売の防止」ということである。再販売価格制度の維持という行為が具体化してきた契機が、商標品のおとり廉売が行なわれてきたことに対する生産者の、とくに集団の力による対抗策、としてであった事実である。ある有名メーカの有名商品が目玉商品として利用され、それが一般化すると、その商品は、目玉商品としてしかあつかわれなくなってしまう。通常の市場価格で販売することが不可能となって、一般小売店では扱われないという事態にまで発展してくると、生産者は企業として存立しえないところまで、追い込まれるという場合である。(p.102)

 メーカーは、小売価格を定価として付する場合、メーカーの利潤はもとより、卸・小売のマージンも考慮し、流通段階では、定価を維持して販売する意欲を起こさせるマージンを考慮しながら、小売価格を決定するのは当然である。この商品から、メーカー肇流通業者は、これ以上の利潤はまったく期待しない、という利潤を組み込んだ価格、それが「定価」にほかならない。(p109)

消費者との関係で考えてみると、事業の性格が公益的なものであって、しかも、競走による利益を消費者が得ることがd系ないというような事業の場合に、独占ないし競走制度を制度化する必要が生じてくるということになろう。国民の日常生活にとって不可欠な商品、サービスの提供をいとなう事業のすべてが、独占を必要としているわけではない。その中で、とくに明白なものは、供給源ー商品を生産する場所ーから供給先まで、一定の土地をともなうなんらかの施設ー線と果敢とかーによってつながれていることによって、はじめて商品の供給サービスの提供が可能となるという事業の場合である。(p.119)

 消費者の「つくらせる」地位から「買わされる」地位への移行が、旧に復するということにもならないのである。したがって、諸費者が取引条件の決定に参加する権利を確保するためには、組織化による社会的な力、いいかえれば、取引条件の決定に参加しうる組織的な力の形成が不可欠ということになるのであって、ここに、消費者運動の積極的な面ー防御的な性格にとどまらない側面ーが見出される。(p.178-9 )

 

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◆ 国民生活センター 編 (1996) 『消費者運動50年 −20人が語る戦後の歩み』 ドメス出版  4-8107-0438-6

 
T 消費者運動をふり返って
U 戦後消費者運動史年表

 よくよく訊いてみると、配給としてはちゃんと黄燐もつけ木の材木も渡しているのに、ヤミ市に流すために、配給品果てぬ死していたことがわかりました。「それはけしからん」ということになり、マッチメーカーが平謝りに謝って、「二度と悪い物は作りません、ヤミに流すことはいたしません。欠陥マッチが五本以上入っていたらそれは九割引にします」と、そして役人は「十分に取り締まります」と約束をした。(p.10)

 これからの社会は、高齢社会を迎えるでしょう。経済・労働が、趣味・娯楽など個人的な時間の消費とおなじ価値であると考えられる時代になると思います。今までは労働中心で、休んでいると怠けていると思われた。時間的に息を抜く暇がなかったし、気持ちの上でもそうです。今から、本当の意味で自分を確立して、楽しい時間を作っていける人間を育てていかなければならない。私は、そういう価値観をもつ人間がひえていく社会になるように、教育の現場で努力していくつもりです。(p.33)

 援助というと、政府がやればいい、誰かがやればいい、という感覚。だから、たとえば「日本の農業がつぶれるから自由化反対」と叫んでも、外の共感が得られないんです。我われが、もっと目を開いて、消費者自身が人も出し、金も出し、外の消費者運動を援助しなくてはね。こうしたことは、他の国ではすでにやっているのです。(p.63)

 ユリア樹脂性織機を作っているのは、零細・中小メーカーが多かった。心配されたように、つぶれたメーカーも会ったのです。ある時、NHK解説委員の東浦めいさんが、「タクシーに乗ったら、運転手が『高田に会ったらただじゃおかない』といっていた」というんですね。その人は、ユリア樹脂問題で倒産したというのです。私たちのテストは、経済的な事情から家電製品などは試買できず、どうしても中小企業いじめになる側面があります。しかし、やはり健康に悪い物は悪いと、企業の大小にこだわらず割り切らないと。(p.83)

 

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◆芹沢 俊介 編 (1991) 『消費資本主義論――変容するシステムと欲望の行方』 新曜社 ISBN4-7885-0389-1

 

T
新しい貨幣の出現をたたえて 序にかえて 芹沢俊介 
境界としての銀行 宗近真一郎
M&Aの現象論 相対的価値の行方へ 宗近真一郎
コンビニエンス・ストア論 来客者を挑発する活性化の構造 藤村厚夫
学校と子ども 消費をめぐる攻防 山下英三郎 
<地価都市>論 戦後家族の位相をめぐって 米沢慧
変容するシステムとしての住まい 野辺公一 
 
 
U 
他者の幸福のための消費 大塚英志
ビジネス書を読む 予測の需要と可能性 三上治
現代サラリーマン事情 「女」からみた 山下悦子
自民党と派閥 その政治経済学 滝村隆一

 
V
変容する世界と薬物 小笠原常夫
宮崎勤事件 高度消費主義時代における身体感覚の変容 山崎哲
クルマ走行論 スピードを観点に 芹沢俊介
歌の”解体”とカラオケ 朝倉喬司
アイドル論 未知な現代のハイ・イメージ・アイドル 藤井東
「花博」論 自然のファシズムか文明の爛熟か

 

 
他者の幸福のための消費 大塚英志

 <エコロジー>は80年代の日本人が消費社会において獲得した特権を庇護し、むしろ<地球にやさしい商品>という<消費>の余剰部分に対応しうる新たなものを少数ながら作り出した点で画期的であったとさえ言える。結局、この消費社会の合意事項としてあるのは、@差異化によるモノ作りを原則とした消費は飽和している、Aしかしそれによって獲得した既得権(豊かさや幸福、中流意識)は捨てずにむしろそれはより向上させたい、という二点に他ならない。(p.128)

 

 

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◆下垣内 博 (1991) 『消費者運動――その軌跡と未来』 大月書店 ISBN4-272-14033-7 

 


第1部 消費者運動と消費者の権利
 T「企業社会」と消費者運動
 U消費者運動と消費者の権利
 V消費者運動としての生活協同組合 −期待と課題
 W消費者運動の国際連帯について
 X「開かれた新聞」への忠告
 Y関西の消費者運動
 Z大阪消団連の運動と課題 −生活を守る運動の新潮流
 
 
第2部 主要な問題領域と消費者運動
 T消費者はなぜ情報公開を求めるのか
 U円高・原油値下げと差益還元問題 −10のポイント
 V地球環境の危機と生協運動
 Wコメ輸入自由化の危険性 −21世紀の食糧問題と食管制度
 X輸入食料と市場開放は、国民の生命と健康になにをもたらすか −「アクション・プログラム」の問題点
 Y粉ミルク値上げは独占禁止法違反ではないのか
 Z消費税・12の問題点

 

 生命、自由、幸福の追求「不可侵の権利」であるにもかかわらず、消費者被害は、お金を出した商品・サービスで、生命を落とし、健康が侵され、財産を失い、家族の幸福が破壊される。人間社会の根本ルール違反が、消費者への加害行為なのである。(p.52)

 

 「ゆたかさと幸福のシンボル」「母乳より良い」などの大宣伝が展開され、母親たちは貴重なお金をわが子のために支払って粉ミルクを買い求める。だいじな「粉ミルク」をできるかぎり使おうと、基準の八倍に薄めて赤ちゃんに与える。薄めても白くあれば「母乳より良いミルク」と信じて・・・。赤ちゃんが栄養失調になるのは当然の帰結であろう。水道設備のない汚れた河川の水で粉ミルクを溶かす。哺乳ビンを殺菌しないため、バクテリアが繁殖する。これらも、赤ちゃんの大量死につながっていく。この責任は、第三世界の人々の多数が文盲である事実を知りながら、大事な使用方法を説明せず、ただバラ色の効果を誇大宣伝して売りつける国際乳業資本がとるべきであろう(p.74)。

 

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◆日本国民生活センター 編 (1981) 『消費者運動の現状と課題』 勁草書房

 


序章 調査研究の方法
第T章 消費者団体の組織運営の実情 
第U章 消費者団体の活動内容
第V章 消費者行政と消費者運動
第W章 消費者運動団体における共同行動の現状
第X章 消費者運動の現状と展望

 

 

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◆境井 孝行 (2002)「国際消費者運動 −国際関係のフロンティア」 大学教育出版 ISBN4-88730-471-4

 


第T部 消費者運動の国際的発展
 第1章 消費社会と消費者運動 −生成から国際化への過程
 第2章 国際的社会集団の形成と機能 −国際消費者機構(IOCU)の事例
 第3章 国際消費者運動 −変革の対象と方法
 第4章 NGOの消費者保護に関する考察


第U部 消費者問題の国際政治過程
 第5章 国際消費者問題と消費者運動の資源動因 −国際消費者保護ガイドラインのケース
 第6章 食の国際化と消費者問題
 第7章 消費者問題の政治学的研究
 第8章 国際消費者問題の政治過程 −国連消費者保護ガイドラインの生成とアメリカ


解説(国際消費者運動と国際関係論) 初瀬龍平

 「生産」と「消費」の分離は、一方で消費者問題を引き起こすことになったが、他方で消費者としての「自我」が目覚める分岐点にもなった。個人が消費者としての意識を持つようになるといっても、個人の消費行動だけで消費者問題に十分対応できるものではない。消費者問題が、社会的、組織的な性質を帯びているだけに、その対応もまた社会的、組織的にならざるをえない。消費者問題を後の祭りとしてすまさないためにも、消費者は、「市民社会」のメカニズムに期待することなくみずからの消費生活を防衛し、さらには消費のための「消費社会」を建設する道を模索し始めるのである。(p.14)

 商品テストは、「買い手危険負担」ではなく「売り手危険負担」を生産者側に自覚させていく役割を果たすことになった。その結果、消費者の主体性が徐々に確立されていくことにもなったのである。大衆消費社会において、消費者の生産者に対する主要な対応は、「共同体」の建設によるものではなく、まさしく「科学」と「情報」によって消費を守るものであった。(p.21)

 製造物基準の厳しい国なら、基準が未整備な国、あるいは基準がない国に製造物が輸入される点にある。それは、先進諸国間よりも、とりわけ先進国と途上国との間でよく起こる消費者問題といえる。(p.30)

 消費者問題の国際化について検討してきたが、その要因とは、第1に市場の国際化であり、第2に製品の輸出であり、第3に企業の海外生産であった。…「生産」の場と「消費」の場は、比較優位に基づいた自由貿易への信仰によって、切断されてしまう。国際分業体制のもとで、自分で作ったものを自分で消費する古典的な生活様式は、崩壊の方向へ進んでいる。(p.35)

 

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◆Borrie, Gordon & Diamond Aubrey L. (1964,1968,1973). THE CONSUMER, SOCIETY AND THE LAW, aLLEN LANE THE PENGUIN PRESS LTD. England. 


第一章 法の形成
第二章 契約の自由
第三章 売主の義務
第四章 製造業者の義務
第五章 消費者に対する犯罪
第六章 割賦販売
第七章 サービスと消費者
第八章 銀行と顧客
第九章 保険
第十章 旅行
第十一章 独占と消費者
第十二章 制限的取引慣行
第十三章 消費者の行手

 

 …合意の神聖性という概念がまだ存在せず、過失によって生じた損害に対しても、まれにしか法律上の責任が問われなかった厳格な個人主義の時代においても、宿屋の主人は、宿泊客の所持品の紛失に対して責任を負うと判事された。宿泊客の所持品が盗まれれば、たとえ宿屋側であらゆる予防策を講じていたとしても、宿屋の主人は責任を負わねばならなかった。裁判官は、宿屋の主人に対してこのようのな非常に厳格な義務を課する理由について十分理解していた。宿屋の主人は、他の大部分の人々よりも物を盗む機会が多かった。事実、宿屋の主人は、まるで泥棒やスリの共犯者であるかのように考えられており、追剥とぐるになれば、利益の挙がる道楽となることは間違いなかった。旅行することが、困難で危険であった時代には、旅行者は、悪質な宿屋の思うがままになっていた。したがって、このような厳格な責任を課するには、それだけの正当な理由があったのであり、この厳格責任は、つとに1368年の判例にも見られ、また、裁判官は、宿泊客の所持品の紛失に対する責任は、その紛失が天災(不可抗力)、大規模な戦争(外敵の行為)、または宿泊客地震の過失によって生じたことが立証されない限り、免れないと判事し、「王国の一般的慣習」(the common custom of realm)をすすんで強行してきたのである。(p.2)

 …免責約款は、無知な顧客に押し付けることが可能である限りにおいて、優れたからくりなのである。しかし、見え透いた意思を公表することは、下手な広告となるのが落ちである。(p.54)

 取引の不正を規制する特別立法は、ずっと昔から存在していた。度量衡(weights and measures)の規制、および金銀の取締りは、中世にさかのぼる。13世紀のパン・ビール法(Assieze of Bread and Ale)には、これら2つの用品についての量目が規定され、そのすぐ後に、ピロリー法(Stature of the Pillory)が次のように定められている。すなわち、もしパン屋もしくはビール醸造業者が、パンビール法を守らなかったために、有罪の刑罰を受けるならば、…もしその違反の程度がひどく、また頻繁に行われ、改められそうにないならば、肉体ぜめ(Punishment of the Body)、すなわち、パン屋は、頸手枷(Pillory)で、ビール醸造業者は、水ぜめ椅子(Tumbrel)で処罰される… 同法は、また、虚偽の度量衡の使用、および肉屋による病気にかかった肉の販売を処罰し、また、パン屋の不当な収益を規制している。(p.129)

 

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◆Nader, Ralph. (1965). Unsafe at any Speed. Grossman Publishers. New York
= 1969年 河本 英三 訳 『どんなスピードでも自動車は危険だ』 ダイヤモンド社 

 
1 スポーティなコルベア −ひとりでに起こった事故
2 なおざりにされている人災 −自動車が抱えている時限爆弾
3 二次衝突 −搭乗者が車の内部ぶつかるとき
4 エンジニア
5 スタイリング・デザイナー −大切なのは曲線美である
6 交通安全運動の既成勢力 −ドライバーは責めても車は責めるな
7 来るべき安全闘争

 事実アメリカの場合、ハイウェイの殺りく事故で生じる巨額の経費が、サービス産業の一部を支えている。医療、警察、行政、法律、保険、自動車修理、葬儀業など広範囲なサービス業者たちが、直接間接の差はあれ、自動車による傷害事故を処理すべく待機している。自動車事故というものが、これらサービス業者に対して何十億ドルという経済的需要を生み出しているのである。そして弁護士や医師などの専門家が活躍するのは、自己が発生してからあとの分野になる。かれらはこの分野でそれ相当の報酬を得、才能やエネルギーを発揮している。ところが事故防止の分野では、いくら働いたところであまり金にはならない。したがってわれわれの社会にあるのは、自動車事故の直接、間接的事後処理を行なう複雑な組織だけである。しかし、人間社会がやらなくてはならないのは、事故を防止するにはどうすべきかであって、自己の後始末に奔走することではない(p.A)

 インディアナ大学のメリル・アレン教授はこうした設計者たちの完全な不注意を、はっきりと証明してみせた。木立の並んだ街路で、一台の車の中にすわり、その約15フィート前方に白昼の光の中で、一人の男を立たせ、アレン教授はその情景を二度写真に撮った。最初の写真では、風防ガラスにダッシュボードが映っているために歩行者は全く見えなかった。二枚目のときは、ダッシュボードの上に黒い綿ビロードを置いて光を吸収させただけで、歩行者ははっきりと見えるようになった。設計者たちがダッシュボードその他の反射しやすい物体の表面に防眩処理を行なっていないために、向こうから来る車のドライバーの視界から自分が全く除かれている場合がいかに多いかを考えてみる歩行者はほとんどいない。(p.54)

 1959年の下院衛生安全小委員会における証言で、クライスラーの副社長でありAMA(米国自動車工業会)のスポークスマンでもあるポール・アッカーマンは、「その問題は目下研究中です」というのと、「消費者はそれを望みますまい」という答えを繰り返し、それ以来この二言は業界の模範解答となっている。(p.59)

 交通法規には、人々が街路やハイウェーにおける事故を避けるためにはどうすべきか述べられている。スクール・バスを追い抜いたり、追い越したりする阿波胃の規則などはきわめて明確である。しかし一方では、”無謀運転”とか、”危険な運転”とか、その定義が明らかでなく、ほとんどどんな場合でも当てはまるようなことを禁じている規定もある。したがって、車の設計から来る要因もドライバーの責任に帰することができる。法律は転化無敵の原理を体現している。「彼は事故を起こした。故に彼は法を犯した。」ここには自己の責任と、車自体の設計もしくは製造が危険だったために生ずる障害の責任との間の明確な区別はない。過失致死の罪は当然のようにドライバーのものとして記録される。しかしながらメーカーにも車の欠陥に対して同様の罪が問われて然るべきである。ところが法律には、交通事故犯の刑罰の対象にメーカーを含める条項はなく、かといってメーカーを一般法に照らして起訴する人もまれである。(p.190)

 …近年の他の消費者保護の分野におけると同様、議会が自動車の安全性に対して「無法」の法を制定する危険が大いにある。「無法」の法の主要目的は、真の必要性を満たすまやかしのものをもってすることである。それは、消費者に対する危険という問題を管理するという看板でもって、遠くにいる大衆を感動させ、近くにいる議員連を安心させる。実際には、業界団体や規格団体によって推進されている私的政府の現体制を、公的政府の一部とすることを防ぐ安全装置の役目をなおざりにしてしまう。「無法」の法は、強制(シートベルトやブレーキ・オイル法案のような)についてはあいまいであったり、全く触れなかったりしており、諮問委員会のバランスのとれた構成(あるいは、いかにして、いつ会合を開くべきか)についての規準も与えていない。…資金援助の権限を名目的なものでなければゼロにひとしい少額に限定しており、基準の作成や公布日については、「任意」という言葉でごまかされている。”規制”の対象となるべきグループは、政府から給与をもらわない公僕となることに巧みであり、そこで彼らの使える公衆とは彼ら自身のことにすぎない。(p,286)

自動車業界には、技術的能力も知っており、道徳的要求の重要性を認識しうる人々がいないわけではない。しかし、これまで彼らは臆病で、企業の硬直した官僚主義に迎合しがちであった。何百万という人間を不必要な不具化から解放するような自動車が設計されるようになったとき、それらの人々は、より安全な自動車の開発が抑圧されていることを知りながら何年も沈黙していた大学および政府の人々と同じように、恥ずかしい気持ちをもってあたり前に率直であることが勇気だと思われていた時代を回顧することであろう。(p.290)

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◆宮崎 健一 1980 「不確実性と保険および企業責任ルール」 『一橋ビジネスレビュー』23(2) pp.2-15

 製造物責任とは、商品の欠陥によって消費者に被害が生じたとき、直接の契約関係にある小売業を超えて、背後にあるメーカーに「無過失責任」を求める考え方である。製造物責任制は現行の伝統的な取引ルールである「買い手危険持ち」の考え方を修正し、新たに「売り手危険持ち」に変えようとするものである。それは「過失なきところ責任なし」とする近代市民法の大原則に、修正を求める。(p.4)

 もともと経済学的にみると、製造物責任問題は、商品の売買時に契約内容に反映されていなかった欠陥が、どの消費主体に、どれほどの被害・損害を発生させるかが確定し得ないことにある。この「不確実性」を売買契約時に盛り込んだ取引ができないとき、市場は機能を発揮しえず、「市場は失敗」する。解決への道は従って、@この種の不確実性を適切に処理する制度を、市場に補完するものとして設計することであり、またA既存の商品市場(消費財市場)とは別に、不確実に対応可能な市場喪失の条件を、制度的に整えることである。危険の買手から売手負担への以降の制度化、過失責任制から無過失責任制へのルール変更は、まさに前者@の具体化である。また、製造物責任保険の私的マーケットの創出は、後者Aの具体化に他ならない。(p.5)

 モラルハザードの発生は、被保険者が、保険会社の情報上の不備に乗じて、彼の持つ自己確立の高さを隠して保険に加入して利を得ようとする行動にもとづいている。こうした被保険者の行動の結果、次の自体が誘引される。@保険会社にとっては、保険料の引き上げによって、そうした主体の申し込みを排除することは、不可能となる。A他方、被保険者に対しては、事故の確率を減らそうとする努力(自己防衛)を怠らせるよう因果、保険加入による責任のなしくみを通じてはたらく。(p.10)

 …保険会社のとりうる対応の主要な方法には、二つを挙げうる。(イ)その1は、被保険者に対して、危険のある部分を一部を負担させることを求めることであり、(ロ)もう一つは、被保険者が行なう現実の損失防止行動に従って、保険価格を決めることである。前者(イ)は、保証額を損失額より一定額だけ減ずる「ディタクティブル方式」をとることである(deductivle,被保険者側からみれば自己負担ある控除方式、保険会社から見れば免責額方式)。あるいは、保証額を損失のある一定比率だけ差し引く「コインシュランス方式」(coinsurance)を採用することである。(p.12)

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◆2006 『クォータリー at[あっと]』, 3号 太田出版

特集 コーヒーの世界システムと対抗運動 コーヒーは古くて新しい「植民地作物」の代表例である

堀田正彦 「岐路に立つフェアトレードの現状と課題」

 欧州のフェアトレード団体がコーヒーを市場化しようとしたときに直面したのが、スーパーマーケットに販売チャンネルを依存するしかないという現実だった。当初、このメインストリームに参画するためには、いわゆる「商品の差別化」が必要であり、かつ、スーパーマーケットにフェアトレード商品を並べることが運動の成果でもあったということがある。これを可能にしたのが<フェアトレードマーク>というアイデアであった。しかしこれは当初から、「販売戦略だけにおいて有効な手段と見る批判的かつ冷静なグループと、これこそ「市場経済のなかにフェアトレードを組み込む最大の発明である」と考える楽天主義的グループとの葛藤があったと思う。しかし、例えばわれわれのように大きくまとまった生活協同組合運動がある状況とは違い、スーパー市場しか選択の余地のなかった欧州フェアトレード団体としては、この<フェアトレードマーク>はメフィストフェレスの誘惑のように、いかにも現実的な手段として活用されるようになったのである。(p.37)

 問題は<フェアトレードマーク>というアイディアに潜んでいた「トロイの木馬」なのである。フェアトレード運動は、社会的なオルタナティヴ運動として、第一義的に、弱者の社会的権利を護り、拡大し、定着させようとする運動であり、これからもそうである。けっして、大企業を改心させてフェアな価格を生産者に払わせようという運動ではない。フェアトレードの中心にいる人々はその様に考えているはずである。しかし、メインストリームのスーパーマーケット市場にコーヒーという商品が売り出しはじめたときにとったマーケティング戦略でしかなかった<フェアトレードマーク>が状況を複雑にしてしまった。マークを認定するには「公正な第三者」という抽象的な存在が必要になる。かつ、「民主的である」ことを標榜するために、「認証基準」というものを公開し、その基準を満たせば「誰でもがフェアになれる」というシステムを作ってしまった。(・・・)<フェアトレードマーク>は、その認証基準に以下のような一項をくけ加えておくべきだったのである。つまり「マークを使う企業は、その製品の51%以上がフェアトレード間商品でなければならない」という一項である(p.37-38)

辻村英之 「日本のコーヒー産業の特質とフェア・トレード」

 要するに日本の消費者が、小売店で例えば800円/200グラムの焙煎豆「キリマン」を購入する場合、38.5円が生産者の取り分、79.0円が生産国の取り分、更には喫茶店で、例えば一杯450円の「キリマン」を飲む場合、2.0円が生産者、4.1円が生産国の取り分になっているに過ぎない。(p.64)

 企業によるフェアトレードは、たとえソーシャル・マーケティングが目的であったとしても、かなりの販売量を実現しないと、つまり一定の利益が確保されないと、事業の継続が困難になる。生産者支援を目的とし、販売・利益より生産者との連帯・交流が重視される提携方とは、事業の理念・行動が大きく異なる。そういう理由もあって「イオン」は、 消費者への販売可能性を前提とした生産者支援を強調し、自社の「フェアトレード」コーヒーの低価格を自慢スrう。挙句の果てに彼らは、FLO認証基準が、最低輸出価格を超える価格設定を義務付けることに対して、小売価格が上昇して「消費者にとっての公正」が護れない、つまり「フェア」トレードではなくなると批判する。従来の貿易の不公正さをまったく無視した議論である。(p.70)

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◆Brown, Michael. Barratt. (1993). Fair Trade : reform and realities in the international trading system. London ; New Jersey : Zed Books. (青山薫・市橋英夫 訳 1998 『フェア・トレード 公正なる貿易を求めて』, 新評社)


第一部 不公正貿易
 序章
 第一章 歴史的に見た世界的分業
 第二章 富める者と貧しい者の世界資源の格差
 第三章 世界市場
 第四章 市場の役割
 第五章 仲介業者

第二部 貿易をフェアに
 第六章 市場を帰省する
 第七章 市場を援助する
 第八章 計画経済貿易
 第九章 並行貿易システム
 第十章 市場内外のオルタナティヴ・トレード
 第十一章 今何ができるか

 古典経済理論によれば、世界貿易の分業体制においては、工業製品と一次産品どちらの生産者にも不利益はないことになっている。反対に、双方が恩恵を受けることになっているのである。リカードの比較優位の法則は、どの国も、その国にもっとも適したものの生産に集中すれば、持てる資源から最大限の利益を得ることができると規定する。本当にそうなることもあるかもしれない。けれども、歴史的な資本と富の分配がある機関にどのようになされたか、また、資本と労働の移動には将来どのような可能性があるのかということについて、問われるべきことはたくさんある。中でも一番重要な問いは、ここで最大限に得られた利益が、立場のちがう取引の参加者の間でどのように分配されるかということだ。(p.81)

 需要と供給の関係によって商品の価格が決まり、市場のバランスが保たれる。供給業者は、損をすれば廃業するかほかの生産物に乗り換える。利潤を得れば成功して生産を拡大できる。誰かが失敗して廃棄すれば、労働と資本と工場はほかの企業が使うだろう。したがって市場は、買い手と売り手を一同に集め値段を設定するだけではなく、労働、資本、土地資源、そして天然資源を一番需要の大きいところへ配分するのである。(p.101)

 実際は、米国が多くの食品生産物の輸出を牛耳っているため、米国の農民が補助金を受け取る以前の価格が食料の世界価格となるのである。米国の制度が一般化されれば、米国で行なわれるような大規模農業ビジネスがもっとも効率的に生産するものの価格水準が農産物の世界価格の水準になるのに対して、ヨーロッパの制度は、ヨーロッパの農民の生産コストに近づくように世界価格が上がることをよしとしている。それが米国とヨーロッパの補助金制度の違いである。そうなれば、ヨーロッパの農民の生産コストは世界化価格自体と同額にもなり、ヨーロッパ共同体はその予算をほとんど飲み込んでしまうほどの農家に対する補助金を減らすことができる。(p.157)

 このようなオルタナティヴ・トレードの姿勢は、生産者を消費者に近づけることから始まる。最初は、ある商品を生産するのにどんな原材料が使われたかを問うことになる。それが消費者の健康にどのような影響を与えるか、また生産者の健康と生きていくこと自体にとってはどうか、環境と地球上の生態系への影響はどうかなど問うことである。これは、生産物が有機的に栽培されており、生産物の加工や食品生産の過程で家畜が残酷な扱いをされていないことを考慮する自然保護運動の基本でもある。しかし、オルタナティヴ・トレードを支える主な理念は、人間に対する、つまり現実の生活を生きている小規模一次産品生産者である農民に対する配慮である。輸出作物を作るために土地が転換されたとき、商品価格が下落したとき、巨大企業が第三世界の土地や鉱山や工場を乗っ取って第一世界で販売するためのものだけを生産するとき、農民や労働者になにが起こっているのか。このような貿易が可能にしていくのはいったいどんな開発なのだろうか。(pp.294-2952)

 1989年の調査が明らかにしたのは、次の三点にわたる一般の人々の態度である。@世界の貧困問題に対する長期的な解決策として、45%の人がフェアトレードを支持した。一方、政府援助を支持した人は37%、6%がチャリティによる寄付を支持した。A高価格が生産者の賃金引上げにつながるのなら、79%の人がもっと高く品物を買ってもいいと答えた。Bこの79%のうち、紅茶を一袋買うとして、26%の人々が10ペンス[1ペンスは約2円]余計に払ってもいいと答え、44%が20ペンス、23%が50ペンスでもいいと答えた。性別、年齢、階級、居住地域別の分析でも、結果は驚くほど一定していた。フェア・トレードを保障することの何よりの目的は、社会正義と長い目でみた開発とにある。この大筋の目的に沿って、ATOが買い付けと公益の条件の基準について段階を踏んで話し合った。(p.333)

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◆Stiglitz, Joseph E. (2005). Fair trade for all : how trade can promote development. Oxford University Press.(高遠裕子 訳 2007 『フェアトレード : 格差を生まない経済システム』, 日本経済新聞社)


第1章 はじめに −これまでの経緯
第2章 開発に寄与する貿易
第3章 開発ラウンドの必要性
第4章 ドーハ・ラウンドでこれまでなにが達成されたのか
第5章 基本原則 −公正な合意の基礎
第6章 途上国に対する特別待遇
第7章 開発ラウンドの優先課題
第8章 どのように市場を開放するか
第9章 国内政策の優先課題
第10章 アジェンダに載せるべきでないもの
第11章 貿易体制への参加
第12章 制度改革
第13章 貿易自由化と調整コスト
補論1 市場アクセス問題の実証的レビュー
補論2 シンガポール・イシューの実証的レビュー

 自由貿易論者の標準的な理論では、貿易自由化は国の平均的な効率が向上すると説く。外国製品の輸入で、効率的な国内産業の一部は打撃を受ける可能性があるものの、競争力のある国内産業が外国市場への輸出を拡大することによって、その損失を吸収できると想定する。貿易自由化は、こうした形で、生産性の低い保護産業から生産性の高い輸出産業へ、資源の再配分を促すとされている。だが、この議論では、当初の状態として完全雇用が仮定されているが、途上国の大半の失業率はつねに高水準である。輸出部門に投入する資源を増やすために、ほかの部門から資源を再配分する必要はない。それまで利用されていなかった資源を活用するだけでいい。現実には、貿易を自由化すれば、競合する国内の輸入産業が打撃を受ける一方、輸出企業は、事業拡大に必要な供給能力を自動的に持てるわけではない。したがって、貿易を自由化すれば、労働力が一時的に、生産性の低い保護産業から、生産性ゼロの失業に移行する場合が多いのである。残念なことに、貿易自由化による公正拡大の問題を扱うモデルのほとんどは、完全雇用を仮定しており、未利用の資源がある国に対する貿易自由化の影響という大きな問題には答えていない。だが、この失業問題は理論の上だけの問題ではない。貿易を自由化すれば失業が増加するとの懸念が、おそらく自由化に反対する最大の理由になっているという事実がある。そして、この懸念は、失業保険がなく、社会的な安全網が脆弱な国ほど切実なのである。(p.28)

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◆Litvinoff, Miles., & John, Madeley. (2006). 50 REASONS TO BUY FAIR TRADE. Pluto Press. London. (市橋秀夫 訳 2007 『フェアトレードで買う50の理由』, 青土社)

 イギリスで生産することができるというのに、世界のあちこちからリンゴを空輸することにどんな意味があるのだろう?フェアトレードはこうした問題については関わらない−関わっていく意図も、持たないフェアトレードが持続的な発展に貢献するのは北野諸地域では簡単に、あるいは現在のところローカルに生産できない商品においてである。大半のフェアトレード商品は、西側諸国が長年にわたって搾取してきた熱帯地域からもたらされているし、そうした地域に住む人々の多くは私たちの連帯を必要としている。であるから、私たちが彼らの紅茶、コーヒー、カカオ、バナナを買うとき、そのたびに私たちはフェアトレードを実現できるのである。(p.13)

 フェアトレードの認証を受けると、生産者組織に対して最低価格が保障される。最低価格は地域の経済状況を考慮し生産コストをカバーするもののとなっているが、加えて生産者の家族がまともな暮らしを享受できるだけの支払いや、農地の改良費用や、生産者協同組合への加入費など、フェアトレード規準を遵守するためにかかる費用がそこに組み込まれる。商品作物の市場が下落しているときには、フェアトレードの欠いては「最低基準価格」と、それに「社会的割増金」を上乗せして支払う。しかし、価格が最低基準価格を上回っているときにはその時点での国際市場価格が支払われる。近年では、フェアトレードの認証を受けたアラビカ・コーヒーに対して生産者に支払われた最低基準価格は平均で重さ1ポンド当たり1ドル21戦とであり、それと比べてみた世界市場価格は1ポンド当たり70セイントである。(p.25)

 フェアトレードのシステムは、実現可能な立証済みの経済的代替案である。フェアトレードは民主的であり、分権的であり、だれにもわかりやすい。国際フェアトレード認証機構−フェアトレード財団はイギリスの加盟団体−は、資格を満たした生産にフェアトレードの認証マークを付与している。食品の場合、条件の一つは、共同組合組織のような小規模農民団体に農民が民主的に組織化されていることである。(・・・)生産者組織は、毎年事業計画の策定や現金収支の予測、長期的な戦略プランの策定を奨励されている。プランテーションで栽培される紅茶のような産品の場合には、必然的に違いがある。プランテーション生産の茶に対するフェアトレード認証マーク条件のひとつに、労働者が意思決定の仮定に経営陣とともにかかわることを可能にし、プランテーションにおける社会開発プロジェクトに影響力を行使することを可能にする、「合同委員会」の発展がある。(pp.45-46)

 ある種のフェアトレード・コーヒーは他のコーヒーよりも生産費が多少かかっているかもしれないが、価格は一般的に言って競争に耐えうるもので、お買い得なものも見つけることができる。なかには、地元のスーパーマーケットで、よく知られたブランド商品よりも安い価格で売られているものもある。(・・・)「消費者はますますフェアトレード産品を選択するようになっていますが、それは品質がよいことと、世のもっとも貧しい人々の一部であるとはいえ彼らに自活できる収入をもたらす助けになるからです」(・・・)(p.90)

 買い物客もまたフェアトレード商品を買うことで長期的な関係を受容することができる。そして、どのくらいの機関で長期と言えるか、自分たち自身の選択で決めることができる。私たちが長期間にわたってある商品を買い続ければ、―ーもちろん、品質が満足のいくものであるという前提であるが――小売業者がその商品を仕入れ続けることを奨励することになる。売れなければ、フェアトレード商品はすぐにでも陳列棚から取り除かれてしまうだろう。(p.212)

 「自由」貿易経済者は、長期的には自由貿易が人々の福祉に貢献するのだと主張する。しかしこれは、自由貿易が主導しつつある世界がどのようなものであるのかを見過ごしている。−−それは小規模農民が駆逐された世界であり、そこでは多国籍企業が生産手段を所有し、貧しいものの生活を経済的に管理する。この状況では、貧困が解消されることなどほとんど起こりそうにない。貧しいものに対して国際貿易体制が短期間のうちに作り出した問題を解決するために長期間かけることなど、貧しいものにはできない。西側諸国は、「自由」貿易によってのみ発展してきたのではなう、開かれた市場と保護貿易とを組み合わせてやってきたのである。19世紀および10世紀においてイギリスは、いくつかの分野では生産者に市場を開放しながらも、競争に太刀打ちできない経済分野は保護してきた。二本立ての路線の追求がなされたのである。フェアトレードは第三の千年紀にとって有効なひとつの経済的選択肢である。貧しいものが発展するのを助ける交易への合格済みのアプローチである。(pp.245-246)

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◆村田武 2005 『コーヒーとフェアトレード』, 筑摩書房

さらに、一般輸入商品よりは割高であっても、先進国の消費者には途上国の生産者の顔が見える役割を通じて、消費者は「安ければ良い」とする考え方、すなわち現代グローバリゼーションが消費者の利権だとする新自由主義のイデオロギーに絡みとられた消費者の暮らしの意識を変えていく機会を得ることができます。(pp.20-21)

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◆Roozen, Nico., & Frans van der Hoff. (2002). L'aventure du Commerce É:quitable. Une alternative á la mondialisaton per les foundateures de Max Havelaar. Editions JC Lattés. (永田千奈 訳 2007 『フェアトレードの冒険 草の根グローバリズムが世界を変える』, 日経BP)


1章 貧しきもののなかに生きて
2章 支援の本当の意味
3章 希望のためにがんばる農民たち
4章 マックスハベラーの誕生
5章 欧州市場を目指せ
6章 フェアトレードバナナへの進出
7章 繊維業界への進出
8章 底辺から目指すグローバリズム
終章 過去と未来を見つめて

 彼らは小規模生産者が、品質のいい豆を作れるとは信じてくれなかったし、安定供給ができるかどうかを疑っていた。僕は、高品質と安定供給こそ取引の基本であることに今更ながら気づかされた。また、どの会社でも倫理的な適正価格とはいえ、通常より高いコーヒーを継続して購入する消費者は、ほとんどいないだろう、といわれた。現状批判や社会責任に基づいて買い物をする消費者など、市場のごく一部の人間だけだというのだ。(p.105)

 マックスハベラーの市場シェアは、2パーセントにとどまった。事前調査の数字には、ある種の社会的な「見栄」が含まれていたのだ。調査員に対し、7−15%のオランダ人が、人道的かつ環境に優しいコーヒーならば、少し高くても買う、と答えた。だが、実際に店頭に立つと、習慣がものを言う。ほとんどの消費者は、買いなれた「いくつもの商品」もしくは、一番安いものにとを伸ばす。人々はいつも同じコーヒーを買う。そこが重要だ。顧客はコーヒーの味わいを大切にしている。(p.125)

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◆Boris, Jean-Pierre. (2005). Commerce Inéquitable: Le roman noir des matières premièeres. Hachette Littèratures. (林昌宏 訳 2005 『コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語 −−生産者を死に追いやるグローバル経済』, 作品社)

 ネスレは、表向きは国際市場の相場価格の低迷に苦慮している。ネスレは、生産者には満足のいく労働対価を保障し、焙煎業者にとっては市場販路拡大を促す相場価格安定化のためのシステム構築に賛成を表明している。同様にネスレは、コーヒー相場が低迷することには反対の立場である。スイスのヴヴェーに本社のあるネスレは、コーヒーの正解生産量の12%を買っているにすぎない。「わが社の力だけでは、市場相場価格を上下させることはできない」と、ネスレの幹部は2002年7月に開かれた記者会見の場で語った。ウォールマート、テスコ、カフール、アールドなどの大手スーパーマーケットが、ネスレをはじめとする焙煎業者に低価格を強いたことがコーヒー危機の原因であるとして、ネスレもまた責任を他者になすり付けた。(p.50)

 安売り店舗に消費者が殺到する状況において、割高なフェアトレード製品に明るい未来があるのであろうか。国際経済はまさに戦闘状態であり、なんでもありの状況であることをすっかり忘れている。フェアトレードを支持する一部の企業や組織の力では、国際経済において巻き起こっている巨大な力を制御することなどけっしてできないであろう。公正の概念についての定義が非常にあいまいであり、また、理論作業もまったく十分でないことから、フェアトレードの生産者側と買い手側には、その影響力や意義について共通の理解が存在していない。(pp.180-181)

 また、もうひとつの問題点として、フェアトレードの恩恵を受けているのは最も貧しく惨めな人々であると信じ込ませている点である。多くの場合、フェアトレードの恩恵を受けている人々とは、すでに教育水準が十分に高く、一致団結した活動的な農民メンバーとなっている協同組合である。こうした協同組合は、フェアトレードを推進する非政府組織と独自に連絡を取り合い、また、課題として与えられた商業的・技術的問題に取り組むことが可能な組織である。こうしたことからフェアトレードは意図せざることとして、最も貧しい人々をさらなる疎外へと追い込んでいるとさえ言える。一方どの社会でも見られるように、協同組合ではフェアトレード価格による余剰金を横領しようとする動きがある。確かにフェアトレードによる余剰金により組織の強化や共同体のインフラ整備がなされている。しかし、いつものことではあるが、末端にいる惨めな農民はフェアトレードが当初意図したような恩恵にはあずかっていない。平均してフェアトレード・コーヒーの買い付け価格であるパウント当たり140セントのうち、50セントは共同体により天引きされている。実地調査によればこのような理由からとくにメキシコ南部のチアパスでは、フェアトレードに加入することをためらう農民が存在するとのことである。(pp.181-182)

 流通経路の末端では、消費者は製品の品質が悪くなったことから消費を減らした。現行のシステムは、規制のかけ方がまずいことから非効率的である。消費者と生産者との間では力が対等ではないために市場原理が正しく機能していないのだ。フェアトレードは、この対等ではないということを攻撃対象としていない。危機ははじまったばかりである。近い将来、投機筋の資金が非常に顕著な形で市場に注ぎ込まれることにより、市場相場価格の不安定性は助長されることであろう。食料品の価格決定に際して、その価格は生産者の要求とますます乖離し、ファンドマネージャーやその出資者による意向がますます反映されるようになるであろう。(p.189)

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◆池尾恭一 (1991) 『消費者行動とマーケティング戦略』, 千倉書房


第T部 予備的考察
 第1章 マーケティング活動と消費者行動
 第2章 マーケティングにおける意思決定研究と消費者行動研究:概観
第U部 製品差別化と消費者動向 
 第3章 新需要理論の展開
 第4章 線形効用関数と製品イメージ分析
 第5章 消費者の知覚とマーケティング戦略
第V部 情報の不完全性と消費者情報探索
 第6章 消費者情報探索と経済的研究
 第7章 消費者情報探索の行動科学的研究
第W部 消費者行動とマーケティング戦略の分析
 第8章 消費者情報探索のモデルと分析
 第9章 マーケティング戦略のモデルと分析

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◆阿部周造・新倉貴士 編 上田隆穂・白井美由里・趙顕哲・兪在※・青木幸弘・松下光司・佐々木壮太郎・西尾チヅル・青木道代・坂本和子 (2004) 『消費者行動研究の新展開』, 千倉書房 (※は、さんずいに「元」)


第1部 消費者満足と価格
 第1章 消費者満足の測定に関する一考察 阿部周造
 第2章 消費者における価値と価格 上田隆穂
 第3章 内的参照価格の概念と実証分析 白井美由里
 第4章 顧客の役割認識および知覚されたリスクとサービス接点満足との関係 趙顕哲・金兪※(さんずいに「元」)
第2部 消費者とブランド
 第5章 ブランドの比較と魅力――消費者のコンテクストとブランド間競争 新倉貴士
 第6章 製品関与とブランド・コミットメント 青木幸弘
 第7章 セールス・プロモーションによるブランド構築 松下光司
 第8章 消費者の意思決定における考慮集合の形成と変容 佐々木壮太郎
第3部 消費者とマーケティング環境
 第9章 消費者の環境問題に対する認知とコミュニケーション 西尾チヅル
 第10章 エコロジー商品の情報開示に関する知覚品質・知覚価値の分析 青木道代
 第11章 テキスト分析から導出される言語効力について 坂本和子

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◆Newman, Joseph, W. (Ed.). (1966). On Knowing The Consumer. New York: John Wiley & Sons, Inc., (= 1968 北原一身 『消費者行動の分析』, 同文館)


第T部 序章と本書の概要
第U部 購入と消費
第V部 消費者の選択を左右するもの
第W部 市場細分化
第X部 消費者と銘柄の関係
第Y部 まとめと将来の展望

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塩田静雄 (1970) 『消費者行動』, ミネルヴァ書房


第T章 現代社会における消費者行動
 第1節 大衆消費社会の発生とその展開
 第2節 消費者意識の変容
 第3節 余暇活動
 第4節 消費者運動と消費者保護行政
第U章 消費者行動の心理学的研究
 第1節 学習と消費者行動
 第2節 動機づけと消費者行動
 第3節 知覚と消費者行動
 第4節 態度と消費者行動
第V章 消費者行動の社会学的研究
 第1節 社会集団と消費者行動
 第2節 社会的役割と消費者行動
 第3節 社会階層と消費者行動
第W章 マーケティングと消費者行動
 第1節 マーケティングの定義とその性質
 第2節 マーケティング生成発展の歴史
 第3節 マーケティングの理論
 第4節 マーケティングと消費者行動


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◆清水聰 (1999) 『新しい消費者行動』, 千倉書房


第1章 消費者行動の理論的展開
第2章 消費者行動研究の発展過程
第3章 消費者の外的要因に関する理論
第4章 消費者の包括的意思決定モデル
第5章 消費者の内面的要因の研究
第6章 消費者行動とマーケティング・モデル
第7章 個人としての消費者を測定するモデル
第8章 まとめと今後の課題

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◆吉田正昭・村田昭治・井関利明 編 (1969) 『消費者行動の理論』, 丸善

 
1章 大衆消費社会と消費者行動――吉田正昭
2章 消費者行動の行動科学的研究――村田昭治
3章 消費者行動の心理学的要因分析――吉田正昭
4章 消費者行動の社会学的研究――井関利明
5章 消費者行動の地理学的研究――高橋潤二郎
6章 消費者行動とマーケティング・システム――村田昭治

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◆久保村隆祐 代表編集・田中幸一 編 (1969) 『現代マーケティングの構図2――買い手行動の構造』, 三秀舎
T 買い手行動とマーケティング
 1 買い手行動とマーケティング
 2 買い手の価格意識
 3 買い手行動と心理的要因
 4 買い手行動とコミュニケーション
 5 ファミリー・ライフサイクルと買い手行動
 6 買い手行動の予測
U 買い手行動と消費者用品
 1 ヤングマーケット
 2 買い手行動と商業立地
V 買い手行動と産業用品
 1 日本の産業材料の購買手続き
 2 小麦粉
 3 化学品
 4 建材
 

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◆Lazer, William. (1971). Marketing Management: A Systems Perspective. John Weley & Sons, Inc, New York. (=1974 片岡一郎 監訳・村田昭治 嶋口充輝 訳 『現代のマーケティング――マーケティング・システムの究明(全2巻)』, 丸善)
T マーケティング・マネジメント・システム
 1 マーケティングへのシステム視覚
 2 経営におけるマーケティングの役割
 3 市場機会とイノべーション
 4 マーケティング・プランニングとプログラミング
 5 マーケティング組織とリーダーシップ
 6 マーケティング・コントロール
U 意思決定過程と手法
 7 マーケティング・インテリジェンス・システム
 8 マーケティング意志決定:過程と活動
 9 マーケティング意志決定:判定基準と手法
V マーケティング・ミックスの構築
 10 製品・サービス・ミックス
 11 製品・サービス・ミックス:価格政策と意思決定と戦略
 12 流通ミックス:チャンネル意思決定と戦略
 13 流通ミックス:物的流通における意思決定と戦略
 14 コミュニケーション・ミックス:広告意思決定と戦略
 15 コミュニケーション・ミックス:販売管理の意思決定と戦略
W 環境と消費者行動の解明
 16 購買行動と消費過程
 17 購買行動と消費:デモクラフィック要因とライフ・サイクル
 18 購買行動と消費:心理学的考察
 19 購買行動と消費:ライフサイクルと社会学的考察1
 20 購買行動と消費:ライフサイクルと社会学的考察2
X マーケティング領域の拡大
 21 市場とマーケティング:いくつかの拡大的側面
 22 マクロ的視野からのマーケティング:社会的、倫理的側面
 23 マーケティングと政府との関係
 24 国際的視野からのマーケティング
Y マーケティング学
 25 マーケティング学:科学モデルと理論
 26 マーケティング学:行動科学と社会科学の基礎
 27 マーケティング学:数量的基礎
 28 マーケティング額の過去と未来

 マーケティングの第2の概念は、現在、より多くの関心を集めつつあるものであるが、マーケティングをビジネス全体に対する一つの思考として扱おうとするものである。この定義によれば、マーケティングは、一つの機能的研究領域以上のものとなる。そこでは、マーケティングは、企業哲学、ビジネス行為のトータル・システム構築の基礎、ビジネス・ライフの指針とみなされる。このように、マーケティングは、企業の利益を求める一方で消費者の多様な消費問題を積極的に助けるビジネス組織と活動の哲学である。ここでは、利潤のみが問題ではなく、むしろ顧客満足によって生み出される利潤に強調がおかれる。このように、ビジネスの主要目的は、単なる利潤から、顧客の必要を利潤をあげながら満たしていくことに移行しているのである。(2, p.534)

 第4のマーケティング概念は、次章で議論されるが、現在、より多くの関心を集めつつあるものである。この概念は、マーケティングの社会的役割、つまり、社会的側面を強調する。そこでは、利潤動機を越えたマーケティングの責任と、人間、公共の福祉への貢献が問題とされる。この見方は、マーケティングがもはや純粋に経済的な基盤に則って正当化され、受容されないのみならず、同時に、社会的な諸責任、つまり現代の国内、国外的な重要問題への参加、に対処しなければならないという認識である。(2, p.535)

 マーケティングの社会的関心たるマクロ・マーケティングは、利潤動機以上のものを持っている。それは、コミュニティーからの吸収と同時に貢献をも行い、政府と新しい接触を保ち、社会全体の必要性を認識し、学校、病院、道路の発達、恵まれぬ人々の訓練や、文化的志向の上昇化へのマーケティングの役割などを問題にする。ここでは、マーケティングが社会メンバーのアイディア、コンセプト、希望、希求水準、ライフ・スタイルなどを形づくり、その指針を与えるひとつの社会制度であることを強調する。そのような見方は、マーケティング領域に関する幅広い定義へと導くことになる。(2, p.553)

 これまで、ビジネスおよびマーケティングの目標への認識には大きな変化があった。かつては、ビジネスの唯一の目標は、利潤を作り出すこと、つまりその主要責務が、株主に対するものであった。ビジネスが、ビジネス・パワーを責任以って行使することには何らかの咎を受けなかった。現在、責任の見方は社会を包むほどに拡大している。新しいイデオロギーは、社会的流れの中でビジネスの正当性を求めている。ビジネスは、その目標として、天然資源、人間、資金、物流を、企業内より企業外の人々の利益のため、大きくはコミュニティーのために開発、使用していくことを目指している。しかし、利潤は、なお、株主への還元として非常に重要なものである。ただ、エグゼクティヴは現在、利潤だけについて述べることを少なくとも部分的に軽視しているといえよう。(2, p.554)

 社会的に責任を持つマーケティング・エグゼクティブの目標は、株主への利潤責任のみでなく、高い雇用水準、経済と技術の進歩、経済的安定、コミュニティーの開発・改善、より高い生活水準、個人的自由などである。問題は、そのうちのいくつかが相衝突するかもしれないことにある。現在は、社会的責任ないし公共福祉のいかなる具体的な基準もテストも存在していない。ビジネスマン自らがそれを決めねばならないのである。(pp.555-556)

 マーケティング・エグゼクティヴを利潤責任から解放する必要があるのとまったく同じように、社会的責任からも解放する必要がある。二つは互いに絡み合っているものである。なぜなら、社会進歩の主要因は、経済発展であり、それは、競争、イノベーション、研究開発、達成欲求、投資増加などの市場関連活動を通じて生み出されるからである。(p.557)

 マーケティングは、それ自体が目的でもなければ、ビジネス・マネジメントのみの領域でもない。マーケティングはビジネスのみならず社会のゴールのためにも働かねばならない。それは広い公的利益と一致して行われるべきである。なぜなら、マーケティングは、売手・買手間のトランザクションを最終目的とするのではなく、利潤創造を十分超えてその責任を広げていくからである。マーケティングは社会の問題とゴールとを分かち持ち、その貢献も企業のフォーマルな境界を超えて拡大するのである。(2, p.569)

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◆日本消費経済学会 編 (1993) 『消費経済学総論――生活科学のニュー・フロンティア』, 税務経理協会)


第T部 消費経済学の共通課題とその研究領域
 第1章 「消費経済学」登場の経済・社会的背景
 第2章 「消費経済学」の研究領域とその体系化
第U部 日本における消費者問題の現代的課題 ―その問題点と対策―
 第3章 高齢化社会と長期生活設計
 第4章 ライフサイクルと消費生活
 第5章 消費者被害とPL法
 第6章 消費者信用問題
 第7章 日本の土地・住宅問題
 第8章 地域間格差と消費者問題
 第9章 資源・環境問題
 第10章 消費者運動と平衡力の形成
 第11章 行政による消費者対策
 第12章 営利・非営利企業の環境対策 ―エコロジカル・マーケティングの構造と現状

 家政学(Home Economics)の源流は古代ギリシャの哲学者クセノフォン(Xenophon)の"Oikonomicus"(家政論)にまで、さかのぼることができるといわれている。ギリシャ語のoikos(家)とnomos(秩序、取り決め、規則)とが合成されてできたエコノミーということばは、現在では日本で「経済」と訳して用いられている概念で、世界中一般に用いられているが、語源的にみると、元来家庭の秩序とか取り決めという意味である。(p.87)

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◆水谷允一・呉世煌・塩田静雄 編、石田好江・東珠実・芦田起久雄・中山高光・関川靖・朝岡敏行 著 (1997) 『消費者のための経済学』, 同文舘出版)


第T部 「消費」と経済学
 第1章 従来の経済理論体系と消費経済
 第2章 消費行動決定に関わる経済的・社会的要因
 第3章 消費者のための経済学
第U部 消費者主権の出現と消費者運動
 第1章 消費者主権と消費者の権利
 第2章 消費者運動の新展開 ―歴史・現状・課題
第V部 日本の消費構造変化とその背景
 第1章 高度経済成長と消費構造の変化
 第2章 成熟型消費社会の出現と消費区増
第W部 現代の消費経済問題
 第1章 物価と消費生活
 第2章 資金管理と消費生活
 第3章 消費者被害と消費生活
 第4章 生活環境の変化と消費生活
むすび

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◆日本消費経済学会 編 (2005) 『消費経済理論―消費経済学体系1』, 慶應義塾大学出版会


第T章 消費経済学と消費者問題――ミクロ的各論からの脱却、総論としての消費経済学の体系化 水谷允一
第U章 動学的な最適消費の理論 嶋村紘輝
第V章 消費者行動のマクロ分析――産業関連分析による消費者行動の経済効果 宮阪雅幸
第W章 生産者としての家計―雇用市場の分析 高木信久
第X章 有効需要としての消費需要音変動とマクロ経済 関谷喜三郎
第Y章 マイナス成長経済と消費行動 酒井徹
第Z章 消費者の環境意識と消費者行動 中本博皓
第[章 消費者行動と環境問題 石橋春男
第\章 生活経済補償としての公的医療保険と年金保険の新展開 山本眞一
第]章 新:人生設計に関する理論構造 渡辺鉄男
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◆Newman, Joseph, W. (1957). Motivation Research and Marketing Management. Boston; Harvard University Press. (= 1963 松井賚夫・金平文二・村上昭二 訳 『消費者の心理と販売管理』,誠信書房)


T 購買行動の概念とその発展
 1 序論
 2 マーケッティングにおける「購買および消費」の考え方
 3 マーケッティングの今後の問題 ――新しい概念を発展させること
 4 行動科学とマーケッティングのための新しい概念
U 消費者心理の調査法
 5 自動車保険に関する調査実例――ステート・ファーム自動車相互保険会社の調査
 6 コーヒーに関する調査実例――パン・アメリカン・コーヒー・ビューローの調査
 7 自動車に関する調査実例――自動車――アメリカ人にとってなにを意味しているか
 8 家庭裁縫とジッパーの消費に関する研究――ドナヒュー販売会社の調査実例
 9 食餌療法に関する研究――ヤング・アンド・ラビカム社の調査実例
 10 家庭訪問販売に関する調査実例――ジュエル・ティー会社の調査実例
V 販売管理における購買調査動機の意義
 11 消費行動の概念構成を目指して
 12 調査技法に関する若干の考察
 13 調査結果の判断
 14 マーケッティング・リサーチにおける社会科学者の活用をめぐる管理上の諸問題
 15 結論と将来への展望

 直接質問調査法によっても重要な情報を選られはするけれども、この方法には、第12章でやや詳しく述べられているような明確な限界がある。この方法は一般的には、あらかじめ調査者が確認できるような明確な合理的な要因を研究する場合に最も有効である。だが、この場合でも、回答者は本当に意味のある重要な答えをなし得ないし、また応えようとしないということが、この方法の主要な限界となろう。というのは、人々は、しばしば自分の行為や好みの重要な理由を意識してはいないからである。また、かりに意識している場合でも、社会的に受け容れられにくいようなことを合理化し、かくしてしまうのである。(p.31)

 こうした限界にもかかわらず、よりよい製品を供給するという点では顕著な進歩が見られた。これは主として、ある品物を試みに市場に出してみて、その結果を見るというやり方を通じて進められているのである。製品が市場にうけいられるかそうでないかは、それがどんな欲望を満たしたかは分からないとしても、とにかく人々の欲望をみたしえた――少なくとも他の製品よりはよりよく満たしえた――ことを示すものであろう。(pp.32-33)

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◆Wilhelms, F., Heimerl, R., & Jelly, H. (1966). Consumer Economics third ed.. New York: McGraw-Hill. (= 1969 国民生活研究所 訳 『消費者経済学』, 至誠堂)


第1部 アメリカ経済における消費者
 第1章 経済学と消費者
 第2章 アメリカの経済制度
 第3章 変容する経済下の消費者問題
 第4章 消費者の選択行為
第2部 生活設計
 第5章 予算と財政計画のたて方
 第6章 貯蓄計画
 第7章 投資計画
第3部 クレジット
 第8章 クレジットと消費者
 第9章 割賦購入
 第10章 貸付金の借り方
第4章 上手な買いものの諸原則
 第11章 買いものの計画化
 第12章 消費者は広告を食べる
 第13章 広告基準の改善
 第14章 買い物の手引きとしてのラベル利用
 第15章ブランドと商品テスト
第5部 保険計画のたて方
 第16章 生命保険
 第17章 健康保険
 第18章 社会保険
 第19章 財産保険
第6部 住居
 第20章 借家にするか住宅を購入するかを決めること
 第21章 よい家の選び方
 第22章 あなた自身の家を持つこと
第7部 法律と消費者
 第23章 契約書および流通証券
 第24章 商品とサービスの購入
 第25章 法律および法的サービス
第8部 政府と消費者
 第26章 消費者のための政府援助
 第27章 政府と経済
第9部 租税
 第28章 アメリカにおける税制
 第29章 税金と消費者
第10部 消費者の期待
 第30章 変貌する経済下におけるあなたの未来について

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◆Alhadeff, D. A. (1982). Microeconomics and  Human Behavior: Toward a New Synthesis of Economics and Psychology. California: University of California Press. (= 1987 志津野知文・長田佳久 訳 『消費者行動と経済心理学――強化−葛藤モデルによる新アプローチ』, 東洋経済新報社)


序文
1 序論
2 購買行動とオペラント条件付けの考え方
3 購買行動:接近と逃避とのあいだでの葛藤
4 購買行動の予備モデル
5 強化子効用限界
6 購買行動の均衡結果
7 収入および価格の変化後の購入行動
8 金融資産ポートf路リオ構成についてのオペラント分析
9 結び―購入行動の葛藤モデル概要

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◆Howard, J. A. (1977). Consumer Behavior: Application Theory. New York: McGraw-Hill. (= 1982 石川浩・川辺信雄・服部正弘・八十川睦夫・横井義則 訳 『消費者行動――理論の応用』, 新評論)


 序
 第1章 序説:消費者行動の性格
第T部 理論と一般応用
 第2章 反復反応行動
 第3章 限定問題解決:銘柄概念とそれに関する構成諸概念
 第4章 限定問題解決:より深層の情報処理
 第5章 広域問題解決:概念形成
 第6章 広域問題解決:より深層の情報処理
 第7章 注目と探索
 第8章 個人差
 第9章 社会構造
 第10章 消費者政策
 第11章 第T部の結論
第U部 上級課程:消費者行動のモデル化
 第12章 反復反応行動のモデル化:確率論的モデルと確定論的モデル
 第13章 限定問題解決のモデル化:線形、再帰、同質モデル
 第14章 限定問題解決のモデル化:異質、非線形、非再帰モデル
 第15章 広域問題解決のモデル化:結論

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◆チャールズ・ヤン 編 (1974). 『マーケティングと社会責任』, 日本経済新聞社、日経新書210


T 企業の社会的責任とは
U 企業の社会的責任と価格
V 企業の社会的責任と商品計画
W 企業の社会的責任と流通対策
X 企業の社会的責任と広告
Y 企業の社会的責任とセールス
Z 企業の社会的責任と消費者サービス

 企業の利益還元というと、すぐに文化事業や慈善行為を連想しがちだが、ここでいう利益還元はそのようなものでなく、企業の営業活動に立脚するものである。いいかえれば、マーケティングにおける各機能をそのままの形で遂行することで企業の利益還元行為が実現するわけである。たとえば、身障者用の各種商品の開発、過疎地におけるセールスマン活動、有料媒体への広告出向による支援などは、いずれもこれまでの考え方では採算ライトにのらないものだが、それをあえて実施するところに営業活動を踏まえての利益還元が行われるわけだ。
 このように、複合観念のもとにおける利益還元は、社会に対する単なる慈善行為ではなく、倫理観に基づく企業のリーダーシップの発露であり、企業努力の最たるものである。いわば、単純な献金の捻出ではなく、経営ノウハウの実践――すなわち、社会的弱者に対する経営能力の活用であるといえよう。これまで行政能力あるいは福祉的な看護力のみの対象となっていた領域に企業経営で培われた新しい能力が進展し、弱点を変えた貢献を果たす意義は大きい(pp.44-45)

 負担すべきコストを他に転嫁することをせず、また大多数の消費者によって是認されうるような「適正利潤」の上に設定された価格は、その基礎となるコストが十分に経営努力の結果を反映しているものである限り、企業にとって秘密のベールのうちにおいておく必要はもはやなくなるであろう。したがって、それらの数字はいつでも公開可能な状態のもとに把握されているであろうし、また機会を見つけてそれらを積極的に公開し、PRすることによって、現在はほとんど失われているとしかみることのできない企業に対しての消費者の信頼感を再び取り戻すことができるようになるであろう。(p.69)

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◆鈴木深雪 (2002) 『消費生活論――消費者政策 改訂版』, 尚学社


第1部 消費者問題の基礎
 1 消費者が受ける不利益の認識と消費者運動
 2 消費生活の変化と消費者・消費者問題
 3 消費者問題い解消の方策
 4 消費者問題の変遷とその対応
第2部 消費者問題への対応
 1 安全な生活の確保
 2 公正かつ自由な競争の確保
 3 信頼できる情報の確保
 4 適正綱契約の確保
 5 被害者救済
 6 商品テスト
 7 消費者教育
 8 事業者の消費者対応

 

 このように市場メカニズムによって経済活動が動く自由主義経済では、事業者の提供するもののなかからの選択ではあるが、どちらかといえば消費者の選択が市場を動かす力をもっている。このことを消費者に市場を動かす最終決定権があるとして、自由主義経済は消費者主権の経済であるといわれる。言い換えれば、自由主義経済は、本来、消費者の意向・消費者の選択によって動かされるシステムであり、「消費者主権」は、消費者は経済システムの終点であると同時にシステムを作動させる起点であることの指摘で>23>もある。(pp.23-24)

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◆渡辺龍也 (2010) 『フェアトレード学――私たちが創る新経済秩序』, 新評社


第1章 なぜフェアトレードなのか
第2章 フェアトレードの軌跡
第3章 フェアトレードのネットワーク化と基準化
第4章 フェアトレードの現在:その認知度と市場
第5章 生産者へのインパクト
第6章 企業セクターへの広がりと深まり
第7章 政府セクターへの広がりと深まり
第8章 社会への広がりと深まり
第9章 フェアトレード的イニシアチブ全盛とその意味
第10章 フェアトレードへの批判1:右からの批判
第11章 フェアトレードへの批判2:左からの批判
第12章 フェアトレードの拡大と深化
第13章 フェアトレードの課題とこれから

 ひとつは、日米をはじめとする先進国政府やネオリベラリズム経済学者たちの立場で、彼らは、関税や輸入割り当てなどの「貿易障壁」によて国際的な取引がゆがめられることなく、自由に取引できることをフェアトレードと呼ぶ。彼らが追求するのは「自由かつ公正(free and fair)」であり、「自由」であることが構成であるための重要な要件だと見なす。(…)それに対して、多くの途上国政府や市場万能主義に懐疑的な経済学者は、発展段階などが異なる国々に一律に自由な貿易を押しつけることに反対する。横綱と幕下ほど力の差がある先進国と途上国を同じ土俵で戦わせるのはアンフェアであり、途上国には「特別かつ差異のある待遇」を認めることこそがフェアで、正義に叶うという立場劣る。先進国に追いつくまで途上国には「ハンディ=自国産業の保護」を認めるべきだ、と考えるかららが求めるのは、「公正かつ正義(fair and just)」の貿易である。
 以上の二つは、世界貿易機構(WTO)等の場で常にぶつかり合う対照的な考え方であるが、それらとは違うもう一つのフェアトレードの類型がある。それは、途上国の零細な生産者や労働者が人間らしい生活を送れるよう、NGOなどが公正な対価を約束し、従来とは違う「公正かつオルタナティヴ(fair and alternative)」な貿易を実現しようとするものである。それはまた、従来の貿易の在り方全般を問い直し、根本から変革しようとするものでもある。(p.2)

 基準は、大きく「社会的発展」、「社会経済的発展」、「環境的発展」、「労働条件」の四分野からなる。基準の各行奥には、認証を受ける時点で満たしておくべき最低要件(minimum requirements)と、時間をかけて満たしていくべき向上要件(progress requirement)が設けられている。また、遵守の判断に使う指標は、FLO−CERT我部ってこう評している
 最低要件に限って概要を説明すると、「社会的発展」では、組織の構成員の過半数が小規模生産者であること、販売する産品の過半は小規模生産者が生産したものであること、構成員が実質的にコントロールする仕組み・総会・理事会があること、構成員に対して差別的扱いをしないこと、などを定めている。
 「社会経済的発展」では、プレミアム(割増金)の使途を総会で決定し、管理運営を透明に多kナウことを義務付けている。「環境的発展」では、保護区域を保全<75<すべきこと、禁止リストにある脳化学物質を使わないこと、リストにない農化学物質であっても正しく使用・取扱・貯蔵すること、土壌浸食を減らす/防止すること、決して遺伝子組み換え生物(GMO)を使わないこと、等を定めている。
 「労働条件」では、労働者に対する差別や暴力的行為の禁止、債務労働・強制労働の禁止、児童労働の原則禁止、結社の自由(団結権)と団体交渉権の保証、最低賃金の保証、安全で衛生的な職場環境の維持、などを義務付けている。(pp.75-76)

 「最低価格」は、「平均的な生産者が持続可能な生産にかけるコストを賄う価格」と定義される。持続可能な生産のためのコスト(農場私の場合)には、農地・インフラ整備などの初期投資の減価償却費、農地準備コスト、実地生産コスト、収穫コスト、荷造りコスト、組織運営コスト(認証コストや生産者の利益を含む)が含まれる。最低価格は、市場価格が大きく値下がりしても必ず支払われる価格で、それによって生産者は安定した収入と生活を約束される。市場価格が最低価格を上回った場合は市場価格以上が支払われる。(p.82)

 最低価格(ないし市場価格)に加えてプレミアム(割増金)が支払われる。プレミアムには「開発協力」の意味合いがあり、生産者・労働者・その家族・知己社会の社会的・経済的・環境的発展の支援を目的とする。したがって、プレミアムは生産者や労働者個人にではなく、生産者組織や労働者組織(正確にはプレミアム運用のために設立された法人)に支払われ、積み立てられる。その使い道は、生産者組織の場合は組織の総会で決定し、労働者の場合は労働者側と雇用者側の代表からなる労使合同体で決定する。(p.83)

 FLOの仕組みは、生産・加工プロセスを公正かつ検証可能なものにするために、詳細な要件を定めるところに特徴がある。コーヒーやバナナのようにそのまま消費され、加工されることもほとんどない飲食品や、スポーツボールのように素材や生産・加工プロセスが単純なものは要件を定めやすく基準を作りやすい。逆に、多種多様な素材を使ったり、生産・加工プロセスが複雑だったりする産品は難しい。
 民芸品は、そもそも何千何万という種類があるうえに(アクセサリー一つとっても何種類になるか想像もつかない)、多種多様な素材を使い、様座mなプロセス(衣料品の場合は紡ぎ、染め、織り、編み、裁断など)を経て創られるという点で、産品基準作りになじまないものの典型なのである。それだけ多種多様な素材・プロセスからなる手工芸品を網羅する基準を作ろうとしたら、天文学的な数の要件を盛り込まねばならず、人知を超える作業といって過言でない。(p.96)

 事業者が認証を得るには、まず自らの実績を「持続的フェアトレード管理システム(SFTMS)レポート」にまとめ、独立した外部の監査機関/監査人に提出し、検証してもらう。初めて申請する事業者に対してはハードルを低くし、最低限の要求事項(その具体的内容は今後詰める)を満たしているかどうかを判断する。現場にも足を運んで事業者が要求事項を順守していることを検証した検査期間は、認証推薦書をWFTO登録機関に送る。WFTO登録機関が認証推薦書の内容を確認すると事業者は登録され、WFTOのロゴを使うことが許される。ロゴの使用法や今まで通りで、産品に張ることは認められない。
 登録後、事業者は改善のために行動計画を毎年立て、最大3年かけてSFTMSの完全順守を目指す。つまり、主な対象が途上国の小規模生産者組織であることに配慮して、最初からSFTMS認証の取得を求めるのではなく、徐々に管理能力を高めて認証を取得するという制度設計になっている。十分に管理能力を高めた事業者は、より高い要求事項を満たしているかどうか、データが正しいかどうか独立した第三者審査機関に審査してもらい、適合していれば晴れて認証を取得し、ラベル(デザインは未定)を産品に使用することが認められる。
 SFTMSの大きな特徴は、それが団体認証(正確には団体の管理システムの認証)であるにもかかわらず、認証を得れば産品にもラベルを貼れることにある。認証の有効期限は3年で、認証の継続を希望する事業者は3年目に再び第三者審査機関に審査・認証を依頼する。

 誇りや自尊心を高めるという点で、フェアトレードは援助よりも優れている。相手にお金やモノ、技術、情報などを「あげる」一方通行の援助は、往々にして相手を卑屈にしてしまう。人の情けや好意に頼らなければ暮らせないことは屈辱的だからである。人は皆プライドを持っている。国や貧富の差など関係ない。それは、仕事・研究で20カ国以上を訪れた経験から確信をもって言える。が、援助にはそのプライドを傷つける「毒」がある。たとえ善意からであっても、相手を卑下させてしまう力を持っている。先進国からの訪問者に対してメキシコのコーヒー生産農家が、「援助はいらない。われわれは乞食ではない。正当なコーヒー価格が支払われるのなら生活できるのだ」と語ったのは象徴的である。(p.128)

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◆UP:06050/REV:060526,0609236,061221,070223,080721,080905,0906,090724,100625