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法的遵守(遵守) / コンプライアンス (文献)

◇1990's
★長谷川俊明 (1999) 『戦略的企業法務』 経済法令研究会
★高橋裕夫 編著 (1998) 『日米企業のケース・スタディによる企業倫理綱領の制定と実践』 産能大学出版部

◇2000's
★KMPGビジネスアシュアランス株式会社 (2003) 『コンプライアンス・マネジメント』 東洋経済新報社
★国廣正 五味祐子 (2005) 『なぜ、企業不祥事は、なくならないのか −危機に立ち向かうコンプライアンス』 日本経済新聞社
★郷原信郎 (2005) 『コンプライアンス革命 コンプライアンス=法令順守が招いた企業の危機』
★笹本雄司郎 (2004) 『これならわかる!コンプライアンス』 第一法規
★高巖 (2001) 『ECS(2000 このように倫理法令遵守マネジメントのシステムを構築する』 日科技連出版社


★巌 (2003) 『コンプライアンスの知識』 日本経済新聞社
★高橋善樹 著 (2005) 『個人情報保護のコンプライアンス・マニュアル 作成の手引』 日本法令
★笹本雄司郎 (2004) 『これならわかる!コンプライアンス』 第一法規
★浜辺陽一郎 (2005) 『コンプライアンスの考え方 −信頼される企業』 中央公論新社
★松嶋泰監修 加藤博康著 2004) 『わかりやすいコンプライアンス 法律を守る「心」 −基礎と実践』 金融財政事情研究会

★国廣正 五味祐子 (2005) 『なぜ、企業不祥事は、なくならないのか −危機に立ち向かうコンプライアンス』 日本経済新聞社
第1章 なぜ企業は危機に陥るのか
 1 日本的風土としてのタテマエ論
 2 現状認識の欠如
 3 リスク管理という発想の欠如
第2章 危機管理失敗の三つの共通点
 1 理念なき危機感理論
 2 「あってはならない」の呪縛
 3 内部告発を誘発する企業文化
第3章 実践的リスク・マネジメント論
 1 コンプライアンスを生きたものにするには
 2 コンプラアンス・プログラムの作り方
 3 企業内ホットライン・ヘルプラインの実務
第4章 危機に立ち向かう四原則
 1 隠さない
 2 説明する
 3 決断する
 4 闘う
第5章 ケース・メソッド「危機管理」
 1 設例1
 2 設例2
 3 設例3
第6章 伸びる会社のコンプライアンス経営
 1 企業を再生させる新しい芽
 2 投資家から見たコンプライアンス
 3 CSRとは何か
 4 コンプライアンス経営、CSR経営と企業ブランド

 このように不祥事を繰り返して企業存続の危機を招いた原因は、この会社がコンプライアンスをタテマエ、あるいは社会的批判を逃れるための一時しのぎのアリバイとしか考えてこなかったことにある。(p.15)

 企業の目前に危機的状況が存在している。にもかかわらず企業内で、その時点での作為、不作為のもたらす影響についてのリスク分析が行われることはない。(p.39)

 複数の選択肢のリスクを分析し、どの選択のリスクが相対的に小さいかを深く考え、決断するのがリスク管理(危機管理)なのである。(p.44)

 それは、企業は常に合法的に行動すべき存在だからである。違法行為を行わないことは自由競争社会への参加資格なのである。(p.46)

 (・・・)「企業が内部告発されてしまった」というよりは、むしろ「企業が本人を内部告発に追い込んだ」というのが事体の正確な認識である。企業から見れば、せっかく企業内で「このようなリスクが存在しています。このままでは危険ですよ」という警告が発せられているにもかかわらず、みすみすこれを見逃しているのだ。そして、警告を見過ごした結果、「外部に対する内部からの告発」が行われ、企業は危機に陥るのである。(p.80)

 経営トップがコンプライアンス経営の必要性を理解して、社員に直接働きかけなければ、社員の意識にコンプライアンスは浸透しない。社員の意識がかわらなければ、いくらシステムを作ってもそれは機能せず、企業のリスク・マネジメントは実現できない。(・・・)トップの発言が一人一人の社員に「あれはタテマエではない。本気だ」と受け取られるか否か、これがコンプライアンス経営の成否を決定づける(p.96-7)

 いくら社員に法律知識を押し付けても、意識が変わらなければリスクはなくならず、かえって水面下に隠れるだけである。コンプライアンス体制を構築するさい、もっとも重視すべきは、社員に知識を詰め込むことではなく、社員の意識を変革するということである。(p.111)

 (・・・)「会社のため」という言い訳は、社会のルールを破ることに対する葛藤や心理的抵抗を弱め、その結果として、不正行為を常態化させ、企業の危機を拡大するという役割を果たす。「会社のため」は「会社を殺す結果」を生む論理である。だから危険極まりないのだ。

 「家族や子供に説明できるか」という基準を実際に当てはめてみれば分かるが、企業不祥事の多くはこれで防げることが分かるだろう。(p.115)

 匿名通報を認める考え方は広く情報を収集するという点を重視する。しかし、匿名通報には問題点がある。一回の通報で事案の全容がつかめることは稀であり、事案を正確に把握するには、通報者と二回、三回と「対話」が必要になるが、匿名ではこれができないのだ。(p.132)

 @ホットライン制度が信頼にたるものかどうか。A通報することが会社を救うことになると思えるかどうか。B「社員は不正を見て見ぬ不利をしてはいけない」という通報義務を課する規定の存在C外部窓口の存在がゆうこうになる(p.137)

 危機管理広報で大切なことは「報道されないこと」ではなく、「報道を一回で終わらせ、連続報道を防ぐこと」なのである。(p.145)

★笹本雄司郎 (2004) 『これならわかる!コンプライアンス』 第一法規

 上司の指示がどうのとか、費用がいくらかかるということで左右されてはなりません。法律や規則に違反していないかどうか、一人ひとりが注意深く点検して、危険の芽を見つけたらただちに取り除くことが大切です。これがコンプライアンスの基本的な姿勢です。(p.22)

 しかし、私は、企業倫理やコンプライアンスが、社会にも社員にも大きな利益をもたらすことに気付いたのです。その大きな利益とは、皆さん一人ひとりが仕事への誇りと愛着を強めてヤル気を出していくれるということです。(p.27)

 第一には、企業倫理やコンプライアンスをどれだけ徹底するか、経営者の思いが現場の一人ひとりに正確に届いていないということです。(・・・)第二には、皆さんの心の持ち方です。なにごとも、これまで続けてきたことを変えることには不安や苦労が付きまといますので、できるだけ避けたいという気持ちがだれにでも生まれます。(・・・)第三には、法律解釈のグレーゾーンに対する関係者の理解不足が挙げられます。(・・・)ですから、境界線の付近で合法開放かはっきりしない状況や当初想定していなかった状況、つまり法律解釈のグレーゾーンがどうしても生じてしまいます。(p.39-41)

 しかし、消費者は表示を通じて会社を信用しているのです。あ、だまされた、と感じる気持ちが怒りに変わるのです。(p.52)

 長谷川俊明 (1999) 『戦略的企業法務』 経済法令研究会

 1991年 アメリカ連邦量刑ガイドライン制定(p.5-6)
(a)不正防止のための基準や手続きを明文化すること
法令順守の統括責任者(コンプライアンス・オフィサー)として上級役員を一人以上おくこと
違法行為に走りがちな社員の裁量権を制限すること
行動規範の遵守を確実にするために必要なシステムを行って不正行為の発見などに努めること
報復を恐れずに不正を報告できる制度を整えることなど、適切な規律維持の方法を通じて行動規範を義務付けること
再発防止のための違反者に対する懲戒制度を導入すること

 1992年 全国銀行協会連合会(現 全国銀行協会) 「銀行の公正取引に関する手引き」

★郷原信郎 (2005) 『コンプライアンス革命 コンプライアンス=法令順守が招いた企業の危機』

 「コンプライアンス」は、社員の手足を縛り、萎縮させ、何事にも消極的な姿勢にしてしまいかねない。新しいことをやろうとしてコンプライアンス規定に抵触するなら、いっそのこと何もやらないほうが無難だ。こうして企業は「事なかれ主義」におおいつくされる。

 実際には、「法令順守コンプライアンス」を徹底しても企業不祥事を防止することにはつながっていない。むしろ逆に、社内に「事なかれ主義」を蔓延させるというマイナス面をもたらしてもいる。(p.25)

 「充足する、調和する」といいう本来の意味と、工学用語における「物質のしなやかさ」という意味を総合すると、コンプライアンスという言葉は「外部からの何らかの要求に対して、組織や個人がいかに柔軟に対応して、自らの目的を実現していくか」といったイメージで捉えることができる。(p.34)

 日本の企業で、法令順守を徹底するための「内部統制システム」としてのコンプライアンス・プログラムが型どおりに徹底され、法令に反した行為をおこなった従業員が厳しい処分を受けることになれば、法令と実態の乖離に悩みつつ、社会的な非難を受けるような問題を起こさないように配慮しながら事業活動にたずさわっている現場の担当者たちが厳しい立場に追い込まれる。そういう彼らにとって、「法令を遵守せよ」という指示は、なんとも空虚でしらじらしいものに違いない。その指示に従って厳密に法令を遵守できるのであれば苦労はない。それができないからこそ大変なのである。彼らにとっては、適当にやったふりをするか、逆に、「違法行為」が絶対にバレないよう巧妙に隠蔽しながらやり続けるかのどちらかしかない。(p.46)

 朝日新聞の2005年3月5日付朝刊経済面によれば、「企業改革法の適用について、法令順守のための費用がかかりすぎることに米経済界が反発を強め、米証券取引委員会が押され気味で改革の流れが停滞する可能性が出てきた」とのことである。(p.52)

 確かに、食中毒の原因となったエンテロトキシンは法令上の検査項目には記載されていないし、公的な承認制度においても検査が義務付けられているものではなかった。しかし、法令上の義務が課せられていなかったとしても、食品メーカーとして食の安全を最大限に追求するのが社会的義務であり、停電による品質の劣化によって毒素が発生する可能性に対する十分な対応策をとるべきだった。(p.166)

 

★高橋善樹 著 (2005) 『個人情報保護のコンプライアンス・マニュアル 作成の手引』日本法令
第1章 コンプライアンスの必要性とその仕組み
第2章 企業が行うべき15項目
第3章 個人情報保護法コンプラアンス・マニュアルの作成
第4章 その他のコンプライアンス文書の作成
第5章 個人情報保護に関する実務上のQ&A
第6章 個人情報保護法のコンプライアンスを実施するにあたって
巻末資料 
 個人情報保護に関する法律(抜粋)

 コンプライアンスの基本的な枠組みは、コンプライアンスを直接担当する組織を設け、その組織を中心にコンプライアンスのための各種規定を作成し、教育・研修するという点にあります。(はじめに)

 その事業の用に供する個人情報データベース等を構成する個人情報によって識別される特定の個人の合計の数が、6ヶ月以内のいずれの非においても5000人を超えないものは、個人情報取り扱い事業者から除外されます。(p.12)

 つまり、特定した利用目的を公表しておけば(個人情報保護法18条1項)、特定した利用目的の達成に必要な範囲内で個人情報を取り扱うのであれば、本人の同意を要しないということです。(p.16)

 自社がどれだけ個人情報に配慮しているかを公表することは、個人情報保護法が施行された後では一種のアピールポイントになります。(p.24)

 信用分野、金融分野、保険医療分野等のセンシティヴ情報を中心に取り扱う事業分野の企業は、一般企業よりも個人情報の取り扱いを厳しくする必要があると考えられているのです。(p.33)

★巌 (2003) 『コンプライアンスの知識』 日本経済新聞社


T 変わる企業と社会の関係
U 高まるコンプライアンス経営の重要性
V コンプライアンスにおける計画
W コンプライアンス体制の構築と教育
X コンプライアンス体制の運営 −コミュニケーションとモニタリング

 ここでいう「行政管理手法の転換」とは、従来の企業に対する事前調整・事前相談型の影響行使をできるだけ小さくし、政府はレフリー的役割を担っていく −市場と企業行動を監視していく ‐というものです。(p.15)

 (・・・)小さな政府を前提として「行政の事後チェック能力」を高めること、そのための具体的な施策を考えることなのです。(・・・)そのもっとも現実的かつ合理的な回答が、企業自身に順法経営を徹底するための体制を敷いてもらうことなのです。(・・・)加えて、事件後、企業側がより効率的な細胞思索を導入することで、政府はそれがなければ増大したであろう管理上の負担を大幅に軽減させることができます(p.17)

 そもそもアメリカでこうしたガイドラインが作成されたのは、それ以前に法人に対する量刑が裁判官の示威的判断に左右され、公平性にかけるとの批判が出ていたためです。同種の不正行為でありながらも、ある裁判官は一億ドルの罰金を、他の裁判官は五億ドルの罰金を、というように判決に大きなバラツキが生じたのです。(p.26-7.)

 合法・非合法を問わず、売上や利益をかさ上げしようとした企業は、いずれも自らの事業に将来性があるかのように見せかけ、投資家の買いを誘い、自社株の価格を上昇させ続けるという戦略を採用したわけです。(p.59)

 これらの管理コストは、企業倫理を支持する文化があれば、本来、簡単に軽減できたはずのコストです。 (・・・)先にも指摘したように、今の日本企業に散見される問題のひとつは、一方で「社員への信頼」を歌いながら、他方で法令順守上厳しい課題に関し明確な指示を出さず、部下に選択責任を負わせるというものです。(・・・)こうした企業は、一見、管理コストを低く抑えているように見えますが、問題が表面化したときの事後処理コストまで考慮に入れれば、決して低く抑えているとはいえないのです(p.84)

 たとえ本書に従ったコンプライアンス体制を敷いたところで、それをもって企業の倫理性や社会性が保証されるわけではない、といわなければなりません。(・・・)経営トップがPRの延長・対外的なジェスチャーとしてではなく、自らの「インテグリティ」(誠実さ)を高めるためにコンプライアンスに取組み、企業社会責任を遂行していく、ということです。(p.208(

 

 

051103,060412,060525作成


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