うまなり[Home]/馬群に沈んだデータベース/そのまま!そのまま! [論点紹介]/ビジネス・エシックス用語集
ビジネス・エシックス用語集
David Stewart,BUSINESS ETHICS,The McGraw-Hill Companies,inc.,1996(企業倫理研究グループ訳,『企業倫理』,白桃書房,2001,P261-268より引用) アメリカ哲学会企業倫理委員会作成「倫理学の基本概念」一覧からの引用もあり、それらの定義はクルト・ベイヤー、ノーマン・ボウィにより執筆されている。 悪しき信念(自己欺瞞)(bad faith),ジャン・ポール・サルトルによって使われた言葉で、われわれが自由に選択した行為の責めを他者に負わせる人間の自己欺瞞を指す。その中心的な特徴は、欺く者と欺かれる者とが同一人物である点にある。エピクロス学派(Epicurean),エピクロス(紀元前341-270年)の学説の継承者たちをいう。彼は人間の幸福を真に実現するための道が、物質から得られる快楽(人の自己制御力を超えることがしばしばある)よりも、精神の快楽(人が制御力を有している)にあることを強調した。応酬可能性(reversibility),今日の道徳哲学者の一部がカントの道徳哲学のある側面を特徴付けるものとして使用する用語。それはある原理が道徳的原理であるのは、それに基づいて行為する人々が、その同じ原理が彼らに対しても適用されることを容認する場合である、ということに関わる。カントが挙げている例は、困っている人を助けないという原理を人に採用できないのは、自分が困った状況にあるときに助けてほしいと願うからである、というものである。懐疑主義(skeptism),いくつかの一定の型の知識についてはそれを得ることが不可能であるとする見解。快楽主義(hedonism),その英語表現は快楽を意味するギリシャ語に由来する。快楽主義とは、快楽が人生の目標であるとの見解を持つ倫理哲学である。しかし、多くの哲学的快楽主義者は知的快楽が感覚的快楽に勝ると主張する。快楽主義的計算方法(hedonic calculus),ある一定の行為が生み出すと考えられる快楽もしくは苦痛の数量化を、強さ・持続性・確実性・遠近性・多産性・純粋性・範囲などの範疇を用いて行うベンサムの試み。格差原理(difference priciple),ロールズの正義の第2原理(優先順位第2位)で、その主張は、社会的基本財の配分における不平等は、それが社会のすべての人々の地位改善、特に最も恵まれない人々のそれに貢献する場合にのみ正当化されうる、というものである。格律(格率)(maxim),カントによれば熟考された行為によってあらかじめ仮定されている行為の原理。仮言命法(hypothetical imperative),条件付の命令を指すカントの言葉。「もし・・・ならば、・・・しなさい」という型式の命令は仮言命法に当たる。観念論(idealism),哲学において、観念論とは、すべての現実は精神に依拠しており、精神および理念の観点から説明されうる、という見解を意味する。多くの観念論はブラッドリーのように、観念論は万物の相互連結性についての見解を生み出す、という。帰結主義倫理学(conequentialist ethics),行為の正不正を、それらの行為によって生ずる結果によって評価する倫理理論。規則功利主義(rule utilitarianism),功利主義の諸原理から一般的規則が導き出され、行為の指針として用いられるとする功利主義の一形態。規範(norms),物事を測定する基準。倫理学において規範とは適切な行動を判定するための基準である。規範的(normative),正しいものと正しくないものとを識別するための基準の設定にかかわる哲学的機能。その方法は推論、信念、美的判断、あるいは実行のいかんを問わない。義務(duty),人が道徳的にその実行を求めらえるもの。責務を参照。義務論的(deontological),英語表現は「義務」を意味するギリシャ語を語源とし、行為の道徳性は人の行為が義務の意識から生じることに依存するのであって、その結果ゆえではないとする倫理理論体系を指す。客観主義(objectivism),倫理学での意味は、客観的原理が存在し、それは人々のそれに対する感情とは独立に真であったり誤りであったりする、という見解を指す。倫理的言明に関して客観主義は、そのような言明は真実価値を有すると主張する。すなわち、それらは真でありうるか、あるいは誤りでありうるかのいずれかである、というものである。主観主義に対するもの。共同体的資本主義(communitarian capitlism),チームワークと社会的価値とを重視するドイツおよび日本の資本主義形態を指す。ハーバード大学のジョージ・C・ロッジ教授の言葉。個人主義的資本主義に対するもの。形式的(formal),カントの倫理学において、ある原理が道徳的に受け入れられる可能性はその内容ではなく、その形式的構成に依存する。すなわちその行為原理としての受容可能性は特に、その原理に則して行為する個人がそれを普遍的法則として受け容れることができるか、あるいは受け入れる意志があるかどうかに関わるのである。形而上学(metaphysics),究極の現実の性質に関する哲学的研究。この言葉はまた、哲学的分析に使用される基本的原理についての分析をも指す。決疑論(casuistry),正しい行動は特定の事例への規則の適用により実現されるする倫理学上の見解。なお、このような方法はしばしば正と不正とを定義するのにますます複雑で微妙な規則を生み出す傾向があるため、決疑論という言葉は好ましくない意味でも用いられてきている。健全性(soundness),推論の健全性は、その推論が妥当であることと、その前提のすべてが真実であることとの両者を必要とする。権利(rights),社会哲学や政治哲学においては、権利とはある人が他の人に対して有する、もしくはなすことができる正当な要求である。その要求の根拠は、生得で、普遍的なん人間の特質(「譲渡不可能の権利」)であったり、道徳性であったり、社会的法規であったりする。権利はそれに対応するする義務を相手側に生ぜしめる道徳的資格を与えることができる。行為功利主義(act utilitarianizm),功利主義のうち、すべての行為に対する判断を、功利主義的考察から導き出された規則によって行うのではなく、効用の基準によって行う形式を取るもの。規則功利主義を参照。公正(fairness),ジョン・ロールズの哲学において、社会における構成は社会の便益と負担の配分基準が次のような場合に結果として生じる。それは、自由で公平無私な個人がその基準により自己がこうむるであろう影響がどのようなものであるかを知らぬままに、その基準に同意すると考えられる場合である。これはカントの道徳哲学に由来するものでそこでは道徳的原理とは、道徳の担い手が他の人々もすべてそれに基づいて行為することを快く許容するようなものであると主張されている。功利(効用)(utility),利益が考慮されている当事者に対し、便益・利益・快楽・善・幸福などを生み出すことに役立つあらゆる対象物に備わる性質。功利主義(utilitarianism),19世紀のジェレミー・ベンサム、ジェームス・ミル、ジョン・スティアート・ミルなどの著作に基づいた倫理理論。功利主義者たちは、行為は一般的善、もしくは最大多数の人々によっての最大善を目指す場合に道徳的であると主張する。合理主義(rationalism),知識の源を直覚ではなく理性に求める見解。その極端な形態においては、合理主義はすべての知識は理性に由来すると主張する。功利性(効用)原理(utility priciple),われわれは最大多数の人々に対して最大善を生み出すような事柄をなさねばならないと主張する功利主義の原理。「最大幸福原理」と呼ばれることもある。個人主義的資本主義(individualistic capitalism),ハーバードのジョージ・C・ロッジ教授が考え出し、レスター・サローによっても用いられた表現で、イギリスおよびアメリカの資本主義の形態を説明する。それは個人主義的な価値と業績とを強調する点において、チームワークと社会的価値を強調する共同体的資本主義と異なる。最大の平等な自由の原理(greatest equal liberty principle),ロールズの正義の第1原理(優先順位第1位)。各個人は平等な基本的自由のもっとも広範な全体系に対する平等な権利を持つべきであり、それは他のすべての人々が同じ全体系に対する平等な権利を持つことと両立しなければならない−−とするもの。自然状態(state of nature),道徳性も法の型式も存在しないところでの人間生活を叙述するためにトーマス・ホッブズが用いた言葉。自然状態での人間生活は「孤独で貧しく、きたならしく、残忍で、しかも短い」であろうと、ホッブズは考えた。自然法(nature law),普遍的に妥当する行動原理で、理性のみによって知られ、それゆえひとつの国や社会の実定法とは異なり、すべての人々が用いることができる。古代ギリシャ哲学に起源を持つが、自然法理論は中世の哲学者たちによって神の存在に対する証明の一つとして利用された。神が自然法の起草者と考えられたのである。
うまなり[Home]/馬群に沈んだデータベース/そのまま!そのまま! [論点紹介]/ビジネス・エシックス用語集
|