うまなり[Home] / 『組織科学』
Organizational Science
【注】このページは、私(高田一樹)が、個人的に作成しているものです。
組織学会 (The Academic Association for Organizational Science) 学会のサイト
出版社:丸善
組織学会 編 1973 『組織科学 7号 (特集) 企業の社会的責任』 丸善
◆垣見陽一 1973 「企業の社会的責任 −リベラリズムの自壊作用にふれて」 『組織科学』7(3) 組織学会 p.4-14.
◆加藤良三 1973 「企業と社会 −その法的考察」 『組織科学』7(3) 組織学会 p.15〜42.
◆景山喜一 (1973) 「組織の病理と社会的責任 −フィードバックをはばむふたつの壁−」 『組織科学』7(3) 組織学会 p.43-55.
◆徳谷昌勇 1973 「ソーシャル・コストと企業の社会的責任」 『組織科学』7(3) 組織学会 p.56-65.
◆佐々木恒男 1973 「企業の社会的責任に関する文献」 『組織科学』7(3) 組織学会 p.76-79.
◆高宮晋 1974 「現代企業と「経営の社会性」」 『組織科学』11月号
◆加藤良三 1973 「企業と社会 −この法的考察 このようにして制度化されたものは、国民(権利、義務の主体として企業も含まれる)がそれを遵守しなければならないという社会的(従って法律上の)義務を負うのである。かかる義務に反する行為は、この意味において、まさに反社会的行為であり、それは同義的義務違反と考えられるべきではない。このような社会的義務違反に対しては、国家権力による刑罰によって報復され、かつかkる行為の繰り返されることがぼうしされなければならない。この意味で法による刑罰という報復は、反社会的行為に対するまさに責任といえよう。 …以上に述べてきた刑罰法規および特別賠償規定はすでに法制度化されたものであるという意味では法的責任であるが、国民が遵守しなければならない最小限の義務であるという意味では社会的義務したがって社会的責任ということができるだろう。(p.29) 企業は一個の独立した法的存在として換言すればその権利義務の主体として、この社会のいけるその存在が法的に容認されていることに基づいて、具体的な実定法規の有無に関わりなく、社会の「公共の福祉」に反する行為は、これを「なしえない」又は、「行なってはならない」という一定の不作為義務責任と責任を負わされている。この義務ないし責任を、「社会的義務又は責任」ということができる。(p.30) 「善良なる市民としての会社」(corporate good citizen)の考えは、Owen D. Youngによって1929年にとなえられた。Youngは次のごとく述べている。「私が会社の受託者であるか、投資者の代理人であるかは、GEの業務執行者としての仕事に対する私の態度に大きな違いが出てくる。若し私が受託者とするならば、誰れが受益者なのか、私は誰に対して義務を負うのか。(中略) 消費者には、大企業はその仕事を正実、かつ適切に行なうのみならず、その公共的務め(public obligation)を果し、また公的義務(public duties)を履行すべきこと−要するに、漠然とはしているけれども、大企業は一人の善良なる市民たるべきことを要求する権利があると。(p.33) 企業は社会問題の解決に参加することは、企業目的に照らして可能であり、また望ましいというこのと、企業はかかる行為を義務として行なわなければならないというのでは、雲泥の差がある。もし企業がかかる行為を公的義務として負うとすれば、それこそHetherington教授のいうごとく、現在の産業制度を根本から変革することにかるのではないだろうか。 まだ法的義務までに至らない社会的義務(準法律的義務)がもし守られていない場合があるとするならば、少なくともその違反者に対しては、世論の制裁が加えらえようが、それがやがて法的義務にまで高められる性質のものであることから、法的義務違反に準じて扱われるであろう。以上述べたところから、要約するならば、企業の社会的責任という概念は、それ自体、法的概念ではなく、近時企業経営がいわば自己防衛的又は自己保存的概念であるといえるのではないかと思われる。したがって、この概念がこのような内容のままで、法が把えるとすれば、それは米国の判例又は多数の学説の説くごとく、どちらかといえば企業の私益の保護をポイントに置き、企業の目的には反しないこととして、企業が短期的利潤追求から長期的利潤追求を可能ならしめ、同時に企業が生き残り、繁栄する道を残さなければならない。(p.41-2)
◆景山喜一 (1973) 「組織の病理と社会的責任 −フィードバックをはばむふたつの壁−」 『組織科学』7(3) 組織学会 p.43-55.
|