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Smith,Adam. 1789. An inquiry into the nature and cause of the wealth of nation, fifth edition. LL. D. and F.R.S. of London and Edingburgh : one of the commissioners of his majesty's Customs in Scotland ;and formerly proffessor of moral philosophy inthe University Glasgow. In three volumes. London.
(水田洋 監訳 杉山忠平 訳 2000『国富論』岩波書店 文庫 白 105-1


目次


凡例
第三版の読者に
第四版の読者に
序文および本書の感想


第一編 労働の生産力の改良、および労働の生産物が民衆のさまざまな階級のあいだに自然に分配される順序について


 第一章 分業について

 第二章 分業を生む原理について

 第三章 分業は市場の広さによって制限されるということ

 第四章 貨幣の起源と使用について

 第五章 商品の実質価格と名目価格について、すなわちその労働価格と貨幣価格について

 第六章 商品の価格の構成部分について

 第七章 商品の自然価格と市場価格について

 第八章 労働の賃金について

 第九章 資本の利潤について

 第一〇章 労働と資本のさまざまな用途における賃金と利潤について

 第一一章 地代について

 

第二編 資本の性質と蓄積の用途について

 序論

 第一章 資本の分類について

 第二章 社会の総資本の一特定部門と考えられる貨幣について、すなわち国民資本の維持費について

 第三章 資本の蓄積について、すなわち生産的労働と不生産的労働について

 第四章 利子つきで貸しつけられる資本について

 第五章 資本のさまざまな用途について



第三編 さまざまな国民における富裕の増進の相違について

 第一章 富裕の自然的増進について

 第ニ章 ローマ帝国没落後のヨーロッパの旧状での農業の阻害について

 第三章 ローマ帝国没落後の諸都市の発生と発達について

 第四章 都市の商業はどのようにして農村の改良に寄与したか



第四編 経済学の諸体系について

 序論

 第一章 商業主義すなわち重商主義の原理について

 第二章 国内で生産できる品物の外国からの輸入にたいする制限について

 第三章 貿易差額が自国に不理とみられる諸国からの、ほとんどすべての種類の品物の輸入にたいする特別の制限について

 第四章 戻し税について

 第五章 奨励金について

 第六章 通商条約について

 第七章 植民地について

 第八章 重商主義についての結論

 第九章 重商主義について、すなわち土地の生産物がすべての国の収入と富の唯一または主要な源泉だとする経済体系について

第五編 主権者または国家の収入について

 第一章 主権者または国家の経費について

 第二章 社会の総収入すなわち公収入の財源について

 第三章 公債について


解説(水田洋)
索引
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 「分業の結果、同じ人数の人たちのなしうる仕事量がこのように大いに増加するのは。三つのことなる事情による。第一に、すべての個々の職人の技術の増進、第二に、ある種類の仕事から別の種類の仕事に移るさいに通常失われる時間の節約、そして最後に、労働を容易にし、省略し、一人で多人数の仕事ができるようにする多数の機械の発明による」(P29)



 「二匹のグレイハウンドが同じウサギを追いかけているとき、一種の共同行動をしているように見えることがある。(…)しかしこれはどんな契約の結果でもなく、その特定のときに同じ対象についてかれらの情念が偶然に一致した結果なのである」(P37)

「われわれが自分たちの必要としているような相互の援助の大部分をたがいに受け取るのは、話し合いや交換や購買によってであるように、本来分業を生むのも、この取引するという同じ性向なのである」(P39)

 「自分自身の労働の生産物のうち自分の消費しきれない部分をすべて、他人の労働の生産物のうち自分の必要とするような部分と、確実に交換することができるということが、各人を特定の職業に専念するように、そしてその特定の仕事にたいして彼のもつどんな才能や資質でも育成し完成するように、しむけるのである」(P40)

 「すべての国で、ついに人々はこの用途のために、不可効力的な理由で、他のすべての商品にまさるものとして金属を選ぶことに決めたように思われる。金属ほど腐敗し難いものはほとんどないから、保存しても損失を招かない天で金属は他のどんな商品にも劣らないばかりでなく、同じようになんの損失もなしにどんな数の部分にも分割できるし、しかもそれらの部分を溶解によって用意に再結合できるのであって、(…)」(P53)

「この粗製の状態で金属を使用することには、二つの極めて大きな不便がともなった。第一には重量をはかる手間、第ニには試金する手間がそれである」(P55)

「注意すべきは、価値という言葉には二つのことなる意味があり、ときにはある特定のものの効用を表わし、ときにはそのものの所有がもたらす他の品物を購入する力を表わすということである。一方は「使用価値」、他方は「交換価値」と呼んでいいだろう」(P60)

「ある商品の価値は、その商品を所有し、かつそれを自分で使用するつもりも消費するつもりもなく、他の商品と交換しようと思っている人にとっては、それによって彼が購買または支配しうる労働の量に等しい。したがって労働がすべての商品の交換価値の真の尺度なのである」(P63)

 「それ自体の価値が耐えず変動している商品はけっして他の商品の価値の正確な尺度ではありえない」(P68)

 「労働だけが、それ自身の価値に変動がないために、いつどこでもすべての商品の価値を評価し比較することができる、究極的で真実の基準である。労働はそれらの商品の実質価格であり、貨幣はたんにその名目価格にすぎない」(P68)

 「労働は、価格のうち労働に分解する部分の価値ばかりでなく、地代に分解する部分の価値ばかりでなく、地代に分解する部分と利潤に分解する部分の価値をもはかるのである」(P95)

 「文明国では、交換価値が労働だけから生じる商品は少ししかなく、圧倒的大部分の商品の交換価値には地代と利潤が大いに寄与しているのであるから、その国の労働の年々の生産物はつねに、それを産出し、加工し、市場にもっていくのに用いられる労働よりもはるかに多量の労働を、購買または支配するのに足りるだろう」(P102)

 「ある商品が通常売られる実際の価格は市場価格と呼ばれる。それが自然価格を上回ることも、下まわることも、それとちょうど同じであることもありうる。どの個々の商品の市場価格も、実際に市場にもってこられる量と、その商品の自然価格、つまりその商品を市場にもってくるために支払われなければならない地代と労働と利潤との総価格を、支払う意思のある人々の需要とのあいだの割合によって左右される。そのような人々を有効需要者、かれらの需要を有効需要と呼んでいいだろう」(P105)

 「彼らのあいだでただちに競争がおこり、市場価格は不足の大きさあるいは競争者の富と気ままな贅沢が、たまたま競争熱をかきたてるのに応じて、多かれ少なかれ自然価格を超えるだろう」(P106)

 「市場へもってこられた量がちょうど有効需要を満たすにたりるだけであって、それ以上でないばあいには、市場価格は自然に自然価格と正確に同じになるか、あるいは判断しうる限りそれに近くなる。手持ちの全量はこの価格で売りさばかれ、それ以上の価格で売りさばかれることはありえない」(P107)

 「自然価格は、いわば、すべての商品の価格を耐えず引き寄せる中心価格である。価格がこの静止と持続の中心に落ち着くのを妨げる障害がなんであろうとも、価格はたえずこの中心に向かっているのである」(P108)

 「彼の特別の利得は彼の秘められた労働に対して支払われた高価格から生じる。その利得は、本来はその労働の高賃金なのである。しかしそれは彼の資本のすべての部分にたいしくりかえしてあげられ、そのためその総額が資本に対して規則的な割合をもつので、一般には資本の特別利潤と考えられている」(P112)

 「独占価格は、どの場合にも、獲得できる最高の価格である。逆に、自然価格、すなわち自由競争価格は、たしかにすべてのばあいではないにしても、かなりの期間にわたって獲得できる最低の価格である。(…)すなわち買い手が与えることに同意すると思われる最高の価格である。他方は、売り手が不満なく受け取ることができ、また同時に自分たちの仕事を継続することのできる最低の価格である」(P114)

 「どの特定の商品の市場価格も、その自然価格を長く上まわることはあっても、長く下まわることはめったにない。自然率以下に支払われた部分が何であろうとも、それによって利害に影響を受けた人たちはただちに損失を感じ、しかるべき量の土地か労働か資本をただちにその用途から引き上げ、そのため市場にもってこられる量はまもなく有効需要を満たすだけのものとなるだろう」(P114-5)

 「たしかに職人のなかには、一週間くらせるだけを四日間で稼げるときには、残りの三日間は無為に過ごすものもいるだろう。しかしこのことは、大部分のものにはけっしてあてはまらない。それどころか職人たちは、出来高で気前よく支払われると、つい働きすぎ、数年で健康や体質を壊してしまいがちになる。ロンドンやその他のいくつかの場所では、大工は八年以上元気一杯に働きつづけるとは考えられていない」(P148)

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041030作成
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