「貨幣がない自給自足や物々交換の経済には、市場が存在しないのです。逆にいえば、貨幣は市場を作り出す媒体として機能しているのです」（P13-4）
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　「地域通貨は一般の貨幣と同じく、「価値尺度」「交換手段」「価値保蔵手段」ですし、一部の地域通貨は「決済手段」として働きますが、国家通貨とは異なり、地域通貨はいくら持っていても利子がつきませんから、その価値が自然に増殖していくことはありません」(…)「地域通貨はゼロまたはマイナスの利子がつくわけです」(…)「価値増殖する資本にならないお金なのです」(P19-20)
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　「グローバル資本の急速な移動によって、富める者や地域はますます豊かになり、貧しい者や地域はますます貧しくなっていきます。資本が大量に流出した地域内では、貨幣循環が滞って財・サービスは流通せず、景気は冷え込みます。就業機会の減少や深刻な失業問題が発生します」(P28-9)

　「地域通貨は、こうしたグローバル市場の投機やマネーゲームを引き起こす急速な経済変動の影響をこうむらないように地域経済を部分的に分離することによって守り、自律的で安定的な成長を可能にするためのセーフティーネット、あるいは国家通貨を補う補完通貨としての役割を果たすものでもあります」(P29)

　「共同体や個人の内部へと商品化が進み、ますます多くの人間活動が消費、さらに投資として捉えられるようになるならば、貨幣価値という一元的情報のみが肥大化するため、文化や価値観の多様性が失われ、市場における個人の匿名性が拡大します」(P31)
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　「「紙幣方式」とは、発行委員会が独自のデザインやメッセージを印刷した紙幣を発行し、それが人々の取引を通じて転々と流通していくタイプの地域通貨です」(P36)

　「「口座方式」とは、紙幣を発行製図、参加者が残高ゼロから出発する口座を持ち、モノやサービスを提供した（売った）ときに黒字（プラス）、提供してもらった（買った）ときに赤字（マイナス）を記帳していくことによって取引を多角的に決済していく方式です。」(P38)

　「「手形方式」とは、モノやサービスの提供を受けた個人が自ら新たな手形（債務証書）を振り出すか、第三者から受け取った債務証書に裏書して使うかのいずれかによって、取引を行う方式です」(P41)

　「地域通過の世界でも競争がまったくないわけではありません。しかし、そこは匿名的な経済主体が価格を通じてのみ情報を伝達するような市場ではありません。お互いが相手をよく知っているか、なんらかの価値や関心の共通性に基づいて参加している者どうしですから、売り手と買い手の関係はもう少しおおらかで値付けにもさまざまな要素が入ってきます」(P47)

　「地位通貨はより多く儲けなければならないお金ではありません。むしろ、できるだけ早く使い他の参加者とできるだけ多くの取引をすることが目的で、そしてその取引結果を記録するためのお金です」(P48)
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　「地域通貨を使えば、ボランティアという無償行為を有償行為に、ビジネスという営利活動を非営利活動に転換していくことができるはずです。地域通貨が創り出す新しい市場では、こうれらもその受け手によって主体的にその価値を評価されるからです」(P64)

　「地域通貨をいくつももつことで、個人の選択可能性と自律性を高めること、それがこれから目指すべき道です。コミュニティも個人も確固として存在しているわけではありません。地域通貨には、自律しつつもけっして自己完結できない個人を、それを媒介にして緩やかにつなぐことで多様なコミュニティを生み出すという側面もあります。」(P78)

　「地域通貨は、経済的な自立や活性化を実現するだけではなく、コミュニティにさまざまな形でつながる個々人や諸団体が共同的な経済社会システムを形成することを目指しているのです」(P79)
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