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河邑厚徳+グループ現代 2000 『エンデの遺言 根源からお金を問うこと』 NHK出版 ,B5,262P


目次


プロローグ−『エンデの遺言』 その深い衝撃(内橋克人)

第1章 エンデが考えてきたこと


第2章 エンデの蔵書から見た思索のあと

第3章 忘れられた思想家シルビオ・ゲゼル

第4章 貨幣の未来が始まった


第5章 お金の常識を疑う

エピローグ− 日本でも「お金」を問い直す機運高まる

おわりに(河邑厚徳)





プロローグ−『エンデの遺言』 その深い衝撃(内橋克人)


 「この(地域通貨)ような循環においては、なによりも人びとは労働と成果の受益を等しい対価で交換することが可能となる。100の労働に対しては100の報酬を得ることができる、というふうに…」(P7)

 「新しい通貨は共生セクターの成立基盤を強固なものとし、共生セクターはまた新たな通貨の普及をうながす。両者の相互作用を杖としながら地域は「マネーの暴力」を暴圧する。多元的な経済社会は多元的な通過を生みだすだろう」(P8)

第1章 エンデが考えてきたこと


 「エンデは工業国の生産と消費をつらぬいているのが、一種の成長の強制だと考えます」(…)エンデは成長の強制は資本主義鉱区が共通にもっている「お金」の問題つまりお金の発行から管理、運営、保証などを含む金融構造全体にある、との結論に達します」(P22)

 「「今日の貨幣、つまり好きなことだけ増やすことができる紙幣がいまだに仕事や物的価値の等価代償だとみなされている錯誤にあります。(…)重要なポイントは、パン屋でパンを買う購入代金としてのお金と、株式取引所で扱われる資本としてのお金は、二つの異なる種類のお金であるという認識です。」」

 「「第一次大戦後、レーテ共和国時代のバイエルンにシルビオ・ゲゼルという人物がいて、ゲゼルは『お金は老化しなければならない』というテーゼを述べています。ゲゼルは、お金で買ったものは、ジャガイモにせよ靴にせよ消費されます。しかし、その購入に使ったお金はなくなりません。そこでは、モノとしてのお金と消費物資との間で埠頭競争がおこなわれている、とゲゼルは言います。(…)そこでゲゼルは、お金も経済アプロセスのおわリにはなくなるべきであるといいます」」(P32)

 「「マルクスの最大の誤りは資本主義を変えようとしなかったことです。マルクスがしようとしたのは資本主義を国家に委託することでした。つまり私たちが過去70年間、双子のようにもっていたのは、民間資本主義と国家資本主義であり、どちらも資本主義であって、それ以外のシステムではなかったのです」」(p40)

 

第2章 エンデの蔵書から見た思索のあと

 「実際の株式市場などでお金が自己増殖し、実質的な価値以上の価値をもってしまうこと、そして、そこに生じた豊かさはその将来的な成長、つまりそれ自身から成長していくという現象を幻想的な形で提示しているということです」(P54)

 「第一にお金にはモノや労働をやりとりする交換手段としての機能があります。第二にお金は、財産や資産の機能ももっています。そのお金は貯め込まれ、流通しないお金です。さらにお金には、銀行や株式市場を通じてやりとりされる資本の機能も与えられています。そこではお金そのものが商品となり投機の対象となります。いくらでも印刷できる紙幣、さらにコンピューター上を飛び交う数字となったお金は、実体のないままに世界を駆け巡っています。現代の通過はまったく違う機能を、同時にもたされているのです」(P56)

 「ケネディはわたしたちは借金があろうとなかろうと、この経済システムのなかで生活しているかぎり、つねに利子を支払わざるを得ないような仕組みになっているのだといいます。「たいていの人は、借金しなければ利子を支払う必要はないと信じています。しかし、私たちの支払うすべての物価に利子部分が含まれているのです。商品やサービスの提供者は、機械や建物を調達するために銀行に支払いをしなければならないわけで、銀行への支払い部分が物価に含まれているのです。あるいは、投入した自分の資本を、銀行やその他のところに投資した場合に得られたであろう利子が価格に上乗せされます」」(P66)

 「ゲゼルの自由貨幣は、一ヵ月につき額面1%にあたる費用を負担しなければ使用できなくなるという仕組みによって、流通を促進しようとしたお金です。それに対して、シュタイナーの老化する貨幣は、お金に二十五年程度の期限を設け、お金に価値の高低をつけることで、決済・融資・贈与という領域の間で自動的な調整が行われて経済がバランスを保つというものです」(P75)

 「フランス革命のスローガンである『自由・平等・友愛』は革命前からある言葉で、もとはフリーメーソンのスローガンに他なりません。この三つの概念は、いま話した三つのレベルに相応します。すなわち、自由は精神と文化、平等は法と政治、そして今日ではまったく奇異に聞こえますが、友愛は経済生活です」(p76)

 

第3章 忘れられた思想家シルビオ・ゲゼル

 「お金を貸し付けること、つまり保有を一時的に断念することに対して報酬を与えています。つまりプラスの利子が支払われるわけです。お金を借りた人は当然のように利息を払います。誰もこれを疑いません。しかしほんとうにそれが当たり前なのでしょうか」(P106)

 「お金が内世界でのモノの貸し借りという異なった時点にわたって取引が維持される契約関係を例に考えています。(…)モノにはそれぞれに特有な減価率があるからです。時の経過のなかで傷んでいくわけです。どのようなモノも、ごく少数の例外を除いて、それぞれに特有な率で劣化していきます。(…)これに加えて保管の費用やら、モノの保有にはお金に比べてコストがかかります。ですから、もしこれを借りてくれる人がいれば、モノの減価分に保管費用を足した分を貸し付けた量から控除した量が返済されても、何の損もありません。それはちょうど分が保管していてもそうなるのですから。(…)しかしお金が介在してくると、つまり貨幣供給者が登場すると事態は一変します。(…)お金はいつまでもっていても減りはしません。(…)お金をもっている人間はお金を持ちつづけても費用がかかりません。(…)貨幣供給者が農民に金を貸す場合は、利子を請求します。(…)とにかく資金が要るのですから。そうして農民はこの資金を借り入れるさいの利子という費用を自分がつくった穀物を売るときに、その価格に乗せなければならなくなります(…)結局、通貨供給者があげる利益は社会が負担することになります。(…)このことが、社会に富と権力の集中が続いてきたことの理由です」(p117-8)

 「そして賃金の支払いのために、1シリング、5シリング、10シリングの、街独自の労働証明書といわれる地域通過を発行したのです。公共事業に従事した労働者ばかりか、町の、町長をはじめ、すべての職員も給与の半分をこれで受け取りました。(…)この紙幣の特徴は毎月1%減価していくところにあります。(…)この紙券は、保有していると、月末には減価分に相当するスタンプを町当局から購入してして紙券の裏に張らないと額面価額を維持できないのです。町はこのスタンプの売上を貧困者の救済基金に充てました。(…)紙幣の流通する速度は平均12くらいだったといいます。10シリングの労働証明書が月に12回流通したわけですから、120シリングの取り引きを発生させたことになります」(P145-6)

 

第4章 貨幣の未来が始まった


 「委員会がイサカアワーを印刷するのはこうやって新しい加入者ができたとき、地域の非営利団体が寄付を申請してきてそれが会議で受け入れられたとき、誰かがローンを申請して認められたときの三つのケースに限られています」(P168)(…)「非営利団体への寄付以外に無利子でアワーを貸し出すケースも認められています」(P172)(…)「利子のつかないイサカアワーは繰り返し使われることでその本来の役割を十分果たしているようです。これまで発行されたイサカアワーは日本円で800万ほどですが、絶えず地域のなかの循環とすることで2億円以上の経済効果を生み出しているといいます」(P176)(…)「イサカアワーで得た収入は課税対象となります。ドルに換算されドルで税金を支払うことになります。ですから国家にとっても地域通貨で地方の経済が活性化することを歓迎するのは当たり前のことなのです」(P180-1)

 「一八三〇年代前半、イギリスのロバート・オウエンなどの社会主義者たちが考案した「労働紙幣」です。この「労働紙幣」は生産物の生産に要した労働時間を具体的に示した証書であり、労働者みずから生産した生産物を「労働交換所」にもちこんでその労働時間に等しい「労働貨幣」を受け取る仕組になっていました。これで自分の欲しいものと交換することができたのです。一八三二年にオウエンはロンドンで実際にこの労働交換所を設立し「労働貨幣」を実践に移しました。しかしわずか三年でこの試みは失敗します。問題は「労働貨幣」を使うグループとその外部とをどう関係づけるかにありました」(p194)

 「交換リングは限られた会員のなかで、従来の通過ではなく、独自に設定した勘定単位を用いて物やサービスを取引する仕組みです」(P198)(…)「交換するもの同士で自由に取引の値段を決められるのも、交換リングの大きな特徴です」(P203)(…)「交換リングで生計を立てていることで就業しているとみなされ、失業手当が停止されそうだというのです。」(…)「交換リングの取引もひとつの商取引に違いありません」(P207-8)

 

第5章 お金の常識を疑う

 「お金という、何とでも交換できる無限の流動性を人に貸し与えたのなら、それは自分がいま享受できる利便性を放棄したわけだし、これには利子という報酬が与えらえっるべきである(節欲への報酬)という考え方にとらえられています。」(p230)

 「利子は国民が生産したすべてに対する先取りです」(p231)

 「利息の高い、低いがあるということは、私たちが、いつもお金が不足している状態におかれているということです。これを希少性といいあらわせば、利子はそれゆえに、希少性の代価として存在しているわけです。流動性のプレミアムに希少性の代価分をプラスしてもの、それが利子です」(P236)

 「一九四三年に、ケインズはマイナスの利子率の国際通貨、バンコールのシステムを提案しました。いわゆる「ケインズ・プラン」ですが、そこでは国際生産同盟の黒字諸国は国際通貨として考えられた「バンコール」建て残高にマイナスの利子率が課され、そのことで対外貿易を加速させながら国際収支の均衡維持をはかることが考えられました。この案は無念なことに米国のホワイト案に敗れてしまいました」(…)「プラスの利子のシステムによって現在のような国際間の不均衡が生みさされる世界経済は持続するものではなく、マイナスの利子システムが経済の均衡維持と持続的に存続しうる経済を導くという発想です」(P241)

 

エピローグ− 日本でも「お金」を問い直す機運高まる


おわりに(河邑厚徳)



シルビオ・ゲゼル
ヘルムート・クロイツ
ルドルフシュタイナー(廣嶋準訓 訳)『社会問題の核心』人智学出版社
ルドルフ・シュタイナー(西川隆範 訳)『シュタイナー経済学講座』筑摩書房
ディーター・ズーア『老化する貨幣、貨幣理論からみたルドルフ・シュタイナーの概念』


041023作成
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